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【経営学4】情報の非対称性(経済学分野)

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はじめに

ゴールデンウィーク……あっという間に終わってしまいましたね🙄
今年は埼玉地方をあっちこっち回って、地盤の調査とか物件の下見やらに忙しかったです。
家庭の事情で、もしかしたら埼玉の奥地に家を持たないといけなくなるかもという状況なので、これから数ヶ月は忙しくなりそうです。

最近、衣食住の内の一つである「住」について何十時間も考えさせられています。
「人生の本質ってなんだっけ」という答えが出なさそうな問をずっと考えています。
自分は「住」環境に何を求めているんだろうかと🤔

ただ、今まで埼玉の地理を全くといっていいほど知らずに生きてきたので、埼玉県という素晴らしい地域のことを知れて良かったです。
毎日1時間半~2時間かけて通勤するというのは私には絶対に無理ですが、リモートワークが定着した世界であれば、埼玉県の奥地は極めて素晴らしい地域です。
土地は安いし、自然豊かだし、ちょっと電車に乗れば栄えた町に到達できる。
不動産屋さんがいうには「最近、リモートワークの普及に伴って、埼玉の物件が飛ぶように売れている」とのこと。
物件の値段が上がらないといいんですけどねぇ🙄


さて、今日はちょっと小難しい話になりますが、経済学分野の超重要知識である「情報の非対称性」について学んでみましょう!

今まさしく私が直面している問題でもあるので、実例も交えてお話できればと思います😁


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1.情報の非対称性とは

そもそも「情報の非対称性」とは、取引の当事者間で大きな情報格差がある状態のことを意味します。

例えば、売手と買手が存在する取引で、売手側はその商品の欠陥や弱点をよく知っているのに、買手はそれを知らないという状況などが発生します。
このような状態を情報の非対称性がある状態といいます😁

考えてみれば、ほとんどの取引で情報の非対称性は存在しますよね🙄
私達が買手になる取引は日々発生していますが、そのほぼすべてで情報の非対称性が発生しています。

この情報の非対称性は、大きく2つの種類に分けて考えられています。

一つが、取引に入る前の情報の非対称性です。
これを「隠された情報」といいます。

もう一つが、取引後の情報の非対称性です。
これを「隠された行動」といいます。

経済学では、これら2種類を区別していて、それぞれで研究が進んでいます😁

ビジネスマンにとって、情報の非対称性は非常に重要な知識で、どういう取引にどういう情報の非対称性が生まれやすいのかということを知っておくと、取引で注意しないといけない点もわかりますから何かと有益だろうと思います。
そこで今日は、いくつかの事例を交えて上記の2種類の情報の非対称性を分析してみましょう。

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2.隠された情報(取引前)

まずは、取引前に発生する情報の非対称性事例について見ていきましょう😁
代表的な事例を3つご紹介します。

(1)中古車取引

情報の非対称性について最も有名な論文は、ジョージ・A・アカロフ教授(カリフォルニア大学バークレー校)が発表した“The Market for "Lemons": Quality Uncertainty and the Market Mechanism”(1970年)という論文だろうと思います。
この論文は、中古車取引においての情報の非対称性に関する論文でした😁

日本でも中古車取引は存在しますが、関東にお住まいの皆さんはあまり車に乗らないと思うので、多くの人が中古車の売買経験は無いと思います。
一方で、地方出身の皆様や地方在住の皆様は一度は検討したことがあると思います👍
私も最初の車は中古車でした。
「壊しても、ぶつけても、気にならない程度の安いやつがいい!」という注文を出して、中古車販売業を営む近所のおっちゃんから諸経費等全部含めて12万円で譲ってもらいました🤣
15万キロも走っていた車でしたが、私がその後18万キロまで走っておっちゃんに1万円で売り戻すまでの間に一度も故障せずに生き残りました🙄
日本車(トヨタ)凄い……。

18歳の私は情報の非対称性なんて一切考えもしませんでしたし、おっちゃんを100の力で信頼していたので、全く気にせず買いましたが、実はここには大きな情報の非対称性が存在しています。

まず、中古車販売業者(売手)は、車のプロフェッショナルです。
自動車整備士資格まで持っている人も多いですから、車の中身を自分で分析することができます。
そのため、中古車販売業者は、その車が事故車なのかどうか、どのような人が乗っていたのか、どこに故障しやすいポイントがあるかなどの情報を把握しています。

一方で、我々消費者(買手)は、通常は車に詳しくありません。
私も車に関しては全くの素人です🙄
知人が乗っているカイエン?とかライオンが「ガオー」ってしてるマークのやつとか、読み方すら全くわかりません。
以前、知人の経営者に「俺のマイバッハが……」と自慢気に話されたのですが、ずっと音楽家の話をしているのだと思っていました(全く意味がわからんかった)。
かろうじてメルセデス・ベンツとBMWが分かる程度です。
ベンツは好きで、三ツ矢サイダーみたいなマークがかっこいいなと思っています。

こんなド素人と中古車販売業30年のプロのおっちゃんとでは、持っている情報の質・量、共に雲泥の差が生まれます。
まさしくこれが情報の非対称性です。

中古車市場では、買手が圧倒的に弱いのです🤔
中古車を買う際は、このことをしっかりと認識しておくべきだと思います。

ちなみに、そのおっちゃんは見た目は本当にヤバい人(スキンヘッド+サングラス+巻き舌で話す)でしたが、見た目とは裏腹に、とても誠実で、いつも全部正直に話してくれて、しかも割引までしてくれる人でした🙄
ああいう人から買うのが一番いいですね。
私が地元の同級生(同じ時期に免許を取得)を数人紹介したらとても喜んでいました🤣

中古車販売業者に知り合いがいない場合は、トヨタ・日産・スズキなどの各メーカーが自社の責任においてチェックして、問題なしと認めた中古車(認定中古車)を販売していることがあるので、それを買うなどすると良いです!

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(2)不動産取引

次に、不動産取引でも情報の非対称性が大きいといえます。

まずは売主・買主が直接的に取引するパターンを考えてみましょう。

情報の非対称性

この場合、家を売ろうとしている売主のおじさんは、家に関する情報を沢山持っています。
過去にどのような修繕を行ったのか、雨漏りやシロアリの被害はあるのか、水道管やガス管の設備はどの程度検査しているのかなどなど。
買主が通常知り得ない情報を多く保有しています。

一方で、買主の若造はというと、ほとんど情報を持っていません。
登記簿謄本等で調べたところで、得られる情報は限られています。
その上、売主が買主に与える情報の真実性については誰も担保しませんから、非常に大きな情報の非対称性が生まれています😵
不動産の価格は通常高額ですから、リスクも大きくなりがちです。

不動産を買うって、本当に大変なんですよ🙄

なお、上記のように売主・買主が直接取引を行うケースは、不動産取引ではレアケースです。
通常は、下図のように間に「仲介者」が入ります🤔

情報の非対称性 (1)

上図のように、契約当事者が3者になるわけですね。
仲介者となるのが誠実かつ経験豊富な不動産屋であれば問題ないですが、担当者の質が悪いと売主にとっても買主にとっても不幸な結果になります🙄
そして、残念ながら、日本の不動産業者の質はかなり低いです。
素人の私より知識がないことがほとんどで、とてもじゃないですが仲介を任せようとは思えないです。

このような3者間取引では、直接取引よりも複雑な情報の非対称性が生まれます。

まず、直接取引の場合と同様に、売主が買主に対して、自己に不利になる情報を伝えてくれない可能性が大いにあります。
売主としては高く売りたいわけですから、わざわざ自分に不利になるような情報を伝えませんよね😭
まさしく「隠された情報」そのものです。

そして、仲介者である不動産業者も、取引成立時に手数料をもらうビジネスですから、わざわざ買主に対して商談が破綻する可能性がある情報を伝えようとはしません🙄
基本は、聞かれない限り言いません。
そのため、買主はここでも圧倒的に不利な状況に置かれています。

一応法律である程度は守られていますが、何かあったときに法律に基づいて強制執行するのは相当に大変なので、多少の告知義務違反なら泣き寝入りする人がほとんどでしょう。

情報の非対称性は不動産取引ではとても大きな問題です。
普通の人は、一生に一度か二度しか不動産取引をしないでしょうから、知識も経験も浅いままです。
したがって、情報の非対称性から逃れられない🤔

私は運良く不動産が大好きで、過去に不動産関連の事業で法務をさせてもらっていた経験があるのである程度の知識がありますが、普通はそんな知識はありません。
でも、不動産には十中八九、知識がないと気づけない瑕疵(欠陥)があります😭
一生に一度か二度しかない取引で失敗するのは痛すぎる……。

そのため、私はサラリーマンは全員「宅地建物取引士」を取得するべきだと常々思っています。
それは、不動産取引の情報の非対称性があまりに大きく、失敗した場合に取り返しがつかないからです。
せめて宅建程度の知識は持ってないと、自分が騙されているということにすら気づけないでしょうし、不動産業者が素人以下の知識しかないことすらあるということにも気づけません……。
隠された情報に気づける程度の不動産に関する基礎的な知識は学んでおきましょう!

(3)雇用契約

最後に、雇用契約での情報の非対称性についても見ておきましょう😁

雇用契約は、会社と従業員との間で締結されます。
そして、この契約形態では、いずれもが強者と言えます。

まず、会社側の情報について考えてみましょう。

会社側は、自社に不利な情報をたくさん持っています。
部署にパワハラ上司がいる、福利厚生が殆どない、給与が全然上がらない、同僚に変な人がいっぱいいる、サービス残業が毎月40時間くらいあるなど!
それらの情報を会社側が正直に話すことがあるでしょうか😵
私の知っている限りではほとんどありません。
多くの企業が自社企業を実際よりも良く表現します。
そのため、会社と従業員間には会社側の情報について、情報の非対称性が発生しています


次に、従業員側の情報について考えてみます。

従業員は、自分自身の不利な情報をたくさん持っています。
前職で問題を起こして解雇されたことがある、学歴を詐称している、実は全く能力がないなど!
これらの情報を会社側にわざわざ伝えますか?
伝えませんよね🙄
伝えたら普通は採用されませんから。

そのため、会社と従業員間には、従業員側の情報について、情報の非対称性が発生しています

このように雇用契約では、両者それぞれで情報の非対称性が発生しているのです🤔
私が思うに、情報の非対称性をなくすようにお互いが正直に話すのが一番だと思っていますが、それが実現することは今後もないでしょう。


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3.隠された行動(取引後)

では次に、取引後の情報の非対称性について見ていきましょう😁
取引後の情報の非対称性についての事例を2つご紹介いたします。

(1)保険契約

最も有名な事例は、保険契約です。
特に自動車保険契約の事例が有名ですね!

車に乗っているほとんどの方が自動車保険(任意保険)に入っていると思います。
この「保険」という仕組みはとても素晴らしいものです。
滅多に起こらないことだから、皆で少しずつお金を出しあって、フォローしあおうという相互扶助の精神によって成り立っています。
その取りまとめを行ってくれているのが保険会社で、保険会社は手数料という形で保険料の一部を利益として計上しています。

この保険契約でも情報の非対称性が発生します。

まず、保険会社としては、契約者同士の公平性の観点から、「運転が荒い人」との契約を避けようとしますし、そうすべきです。
しかし、保険会社の時点では、契約しようとしている人の運転が荒いかどうかが正確にはわかりません🙄
それに、契約前までは丁寧な運転をしていた人が、保険に入ったがゆえに運転が雑になったなんてこともよくあります。

このように、契約後に加入者がどういう行動をとるのか予測がつかないのです。

そのため、保険会社は、通常必要と思われる保険料よりだいぶ高い金額を徴収しています。
情報の非対称性を理解した上で、それに対する対策を講じているわけですね!

でも、これは、真面目に運転している人にとっては、運転が荒い人の事故可能性を考慮した高い保険料を支払わされているという不利な話です。
そのような制度のままだと誰も自動車保険料に入りたいと思わなくなります。
そこで、保険会社は、等級制度を利用して、無事故無違反で運転し続けている人たちに安い保険料を提示しています。
これによって公平性を保っています😉

その他、年齢(事故を起こしやすい年齢帯がある)や車種(事故りやすい車種がある)、年間走行距離などで事故の起こる確率を計算し、それぞれに対して最適な保険料を提示する努力をしています。
最近では保険営業マンを不要とするネット加入型自動車保険(ソニー損保など)が台頭してきていて、大きくシェアを伸ばしています😍

経営戦略としても実に面白い分野です🤔

(2)賃貸借契約

賃貸借契約も取引後の情報の非対称性が大きい契約です。

賃貸人(貸す人)は、出来る限り部屋をキレイに使ってくれる優良な賃借人を求めています。
しかし、契約段階で得られる情報だけでは、とてもじゃないですが人間性までは読み取れません。
悪質な賃借人も、わざわざ自分から「汚く使います!部屋で飲み会毎日します!」なんて言いませんから、賃貸人は慎重に審査をせざるを得なくなります😭

情報の非対称性が大きい分野であるがゆえに、不都合がたくさん起こっているのです。

私も以前、恵比寿の物件の審査で落とされたことがあります。
理由は「ITベンチャー企業に勤める30歳男性だから」という理由でした🙄

以前、その部屋ではITベンチャー企業の30歳前後の男性を賃借人としていた時期があったそうで、その人が毎晩毎晩自宅で飲み会をして大騒ぎするので、それ以来ベンチャー企業の人間は全部落とすと決めたそうです。
今では、「東証一部上場企業に勤める女性」か「公務員」しか審査を通していないらしいです(笑)
1Kの物件にしては狭き門です。

でも、賃貸人の立場で考えてみると、情報の非対称性が大きいので、そうせざるを得ないと思います。
私がお酒もタバコもギャンブルもしない超インドアガリ勉であるという事実をあちらは知らないですから😑


おわりに

情報の非対称性について、少しは伝わりましたでしょうか?
あまり耳慣れない言葉なので、明日からすぐ使える経営学かどうかは怪しいですが、知っておくといろいろと仕組みを理解しやすくなるので便利です😁

営業マンをしている方は、情報の非対称性をなくす努力をしてみると良いと思います。
お互いに情報を十分に持っている者同士だと、最適な選択肢に自動的に落ち着きます。
その方が商談もスムーズですし、予測可能性が上がります。

経済学を学ぶようになって思うのですが、意外と実務で使える知識が多いんですよ😋
皆さんももしご興味ございましたら、経営学や経済学を学んで上手にビジネスで活用してみてください😏👍


では、次回もお楽しみに!


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著者:瀧田 桜司(たきた はるかず)
役職:株式会社WARC 法務兼メディア編集長
専門:法学、経営学、心理学
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