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【連載】スポーツ観戦との「再会」・プロローグ

スポーツ観戦をするのは、今年2月23日に行われたフェブラリーステークス@東京競馬場以来のことだった。
その時は、後ろめたさがあった。正体不明の感染症が流行の兆しを見せる中、大きな声を出すのが必須で、かつ人が密集する場所に集まるだなんて……。ただでさえギャンブルには後ろめたい要素があるのに! そんなこともあり、それほど競馬を楽しめないまま、友人たちとの飲み会にも参加せず、最終レース後にそそくさと家に帰っていったのを覚えている。

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あれから半年もの月日が経過した。
3月以降、「スタジアムに通い、スポーツを観る」という習慣は不可抗力によって中断され、競馬や相撲以外の競技は興行すら行われなくなってしまった。
6月に緊急事態宣言が無事に明け、プロ野球やJリーグも細々と開催されるようになった。ただ、すぐにはスポーツを観る気分になれなかった。心理的にも精神的にも、外側に視線を向けられる状況ではなかった。
なので、まずは「外に出る」ということから自分の体を慣らしていった。毎週末はみなとみらい方面を散歩し、美術館や博物館にふらりと立ち寄っては、展示物を眺める。そういう事を積み重ねていると、最初は2時間くらいでそそくさと家に帰っていたのに、次第に寄り道が増えだして、昼に出かけたのにもう夜になってるぞ? というケースも出てきた。
そんな感じで興味の赴くままに歩いていった結果、ようやく「スタジアムへ行きたいな」という欲が湧いてきた。このようにして、「スポーツを観戦する」という身体的感覚が僕の中に取り戻されていったのである。

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では、スポーツ観戦の復帰戦は何にするか?

有観客のゲームを開催しているもので、メジャーなのはプロ野球とJリーグだった。双方とも、厳しい観客制限を設けられている。
まず、チケットは買えるのか? ヤクルトスワローズのチケット販売サイトを眺めてみる。意外と空き席はあった。5段階ある値段設定は一番高いものになっていたが、これは仕方が無い。色々と考えた結果、8月22日の阪神戦を申し込むことにした。土曜日は例年だと最高値設定になっているので、あまり触手は伸びなかったけど、逆にみんな同じ値段ならば最もコスパが良いと考えることもできる、ということなのだ。

1枚チケットを手に入れると、不思議と別の試合も見たくなる。そう言えば、その前の週だとどんな試合があるのだろう? Jリーグだと……。
地元・ニッパツ三ツ沢の試合があった。横浜FC対湘南ベルマーレのカードだった。

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横浜FC。
実を言うと、6年前までは月に1~2回は三ツ沢詣をするほどの「サポーター」だった。この時期までに自分と出会っている人は、和良拓馬≒横浜FCサポーターという印象が強いことだろう。

だが、色々なトラブルに巻き込まれたことにより、僕は「サポーター」としての活動を止めることにしたのだ(※そのトラブルの詳細を書くと相当な文字数になるし、各方面に迷惑をかけたくないので割愛。聞きたい人は個別で)。
観に行きたくても、意識的にスタジアムには足を運ばない。休日の過ごし方は、何か別のことを選び続ける。そうしているうちに、自然と「サポーター」というアイデンティティは薄まっていった。

さらに補足すると、サッカーに対する興味関心も薄くなってしまった。サッカーに限らずだが、僕は「応援するチーム」を起点として、その競技のトレンドを理解してきたのだ。でも、その軸が無くなると、日本代表戦やらワールドカップを見てもピンとこなくなってしまった。ハリルホジッチ監督解任前後に盛んだった「日本サッカーdis」も、「勝敗や知識の有無でマウントを取るサッカーファンの悪いクセ」を延々と見せられていると感じてしまい、ますます意識的に離れることになってしまった。

そういうかたちでサッカーから離れていった人間に、提示されたのが「サッカーが好きになった原点のチーム」の試合だったのだ。
これまで通りだったら、意識的に避けていただろう。
でも、これまで通りではない世界になっているからこそ、イレギュラーな選択をしても良いのではないだろうか?

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かくして僕は、ニッパツ三ツ沢球技場の西ゴール裏席のチケットを確保した。2014年11月23日、山口素弘監督の退任試合を見届けて以来、約5年9ヵ月もの月日が経過していた

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そんなわけで、これから暫くの間、「僕がスポーツ観戦を再開して、何を思ったのか」をまとめていこうと思います。ひとまずは、8月15日の横浜FC対湘南ベルマーレ戦、そして8月22日のヤクルトスワローズ対阪神タイガーズ戦の2本をお届けします。

お楽しみに?

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