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§ 中国万華鏡 § 之 ぶくぶくちゃいなノオト(更新終了)

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※当マガジンは2017年12月末をもって更新を終了いたしました。2018年1月からの記事は「月刊『ぶんぶくちゃいな』」(http://bit.ly/2A23ZT7 800円/月)…
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#香港

【ぶんぶくちゃいな】中国に賭けたギャンブルシティ、「ハト」に屈服す

今月初めのメルマガ「ぶんぶくちゃいな」(194号)の冒頭で、「直撃もしない台風で東京は騒ぎすぎる」と書いた。まぁ、今や人口も産業も国の中枢昨日も首都に集中している日本で、東京へのダメージを心配する気持ちはわからんでもない。だが、地震にはあれほど落ち着いた態度を見せる(それは外国人の目にはかなりの驚きに映る)のに、台風になると不釣り合いなくらい大騒ぎするのが不思議でしょうがない。

このバランスの悪

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【ぶんぶくちゃいな】「香港の未来」に出口はあるのか

香港の民主派にとって、今週は運命に翻弄された、かつてない一週間となった。

まず、「中国NewsClip」でも触れた「ホチキス十字架事件」の“被害者”林子健氏が月曜深夜、正確に言えば火曜日未明に「虚偽の被害届を出して警察を翻弄した」容疑で逮捕された。

事件の顛末は先週の「ニュースクリップ」でもご紹介したが、改めて触れておく。

8月11日午前11時、香港の政党「民主党」が緊急記者会見を開き、党の

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【ぶんぶくちゃいな】香港返還20週年・その1:「手弁当でフェイクニュースに対抗する」社会記録頻道 SocREC

香港のメディア界では日本よりも速いスピードでネットに移行している。

今年に入ってから約30年、香港の世論を牽引してきた大衆紙「アップルデイリー」(「りんご日報」)の経営不振が大きく喧伝されるようになっているし、民主派に長らく愛されてきた「明報」もその中国政府への傾倒が人々の口に上っている。中国政府機関に脅された企業が、中国に批判的なメディアに広告を落とさなくなってきたからだ。

いち早くその変化

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【ぶんぶくちゃいな】民主派も親中派も敗北した香港行政長官選挙

3月26日の香港行政特区長官選挙で、現在の梁振英行政長官のもとで今年1月までナンバー2の政務官を務めていた林鄭月娥氏(女性)が当選した。

彼女は政務官辞職直前に、中国北京にある故宮とその香港分館を建設するという合意書を交わしたことを突然発表し、それまで何も知らされていなかった香港社会を驚かせた。この性急な合意書の発表は、同氏の行政長官職立候補を支持する中国中央政府(以下、中国政府)から、順風満帆

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【ぶんぶくちゃいな】過渡期の香港アイデンティティ

【ぶんぶくちゃいな】過渡期の香港アイデンティティ

(カバー写真は空港の書店に並んでいた中国権力トップにまつわる本の数々。デザイン系書籍の取り扱いで大きくなった書店が空港から撤退したりと、昨年の銅鑼湾書店経営者拉致事件の影響を嘆く声は聞いたが、実際に空港に並ぶこうした「内幕」ネタ本は減っていないと感じました。)

香港に行ってきた。わたしは毎年1回は香港に戻る用事があるので、だいたい6月4日の北京天安門事件記念集会、あるいは7月1日の主権返還記念日

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【ぶんぶくちゃいな】「十年」

【ぶんぶくちゃいな】「十年」

香港映画「十年」を観た。5人の香港人若手映画監督による短編作をオムニバス風にまとめたもので、昨年末の上映開始後から香港で大きな注目を集めた。

映画は主に撮影が行われた2015年から10年後にあたる、2025年の香港を予想して描かれている。

インド系香港人と中国から香港に移民した低層階級の若者が自分を受け入れてくれたマフィアの手下となり、結局は中央政府の関係者に道具にされて殺されてしまう「浮瓜」

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【ぶんぶくちゃいな】2016年、香港の旧正月

2月9日、華人社会は旧暦の正月を迎えた。とはいえ、台湾では7日に起こった大地震で崩壊したビルの救出作業がまだ続いていた。中国はといえば、1983年から大晦日に放送されている恒例番組「春節晩会」が政治的イデオロギーや政府の言い分の繰り返しで、正月気分よりも政治会議のようなムードに「数十年前に戻ったようだ」と話題になった中の正月である。

そして香港では旧正月初日(中国語では「初一」と呼ばれる。2日め

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