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電車広告と男と女

おいらは野良
先日、東京メトロC線に揺られて
墓参りに行ってきた。

電車内の人間観察をしているとおもしろい。スマホ7割、読書1割、居眠り1割無1割といったところである。そこでしか見られない景色があるから、どこにいてもスマホを見ているのは、ちょいともったいないとおいらは思う。スマホにイヤホンは誠にキケンである。いつ何時発狂した人間が襲いかかってくるかもしれぬのだ。おいらは野生の男。常に目を光らせている。スマホに夢中になれるのも、居眠りができるのも、それだけ日本が平和な証であろうか?

目の前の男がスマホを見て笑っている。ちょいと薄気味わるい。気になったおいらは前の席の網棚に移動して、ちょいと失敬、上から覗き見してみた。ふむ。どうやらお笑い動画を視聴しているようである。まあ、仏頂面のスマホ人間よりは笑っているスマホ人間を見ているほうが平和である。

その隣の人間は新聞を読んでいる。ふむ。「値上げ」「事故」毎日たくさんのニュースで溢れている。暗いニュースが多いけれど新聞のいいところは自分にとって関心の薄い記事内容が目に入ってくることである。詳しくは分からないながらも、世の中ではこんなことが起きているのかと世界が広がる。ネットのニュースは自分が読みたい記事だけ検索やら閲覧して世界が狭くなる。

ちなみにおいらがよく読む「のらねこ新聞」にも様々な記事が掲載されている。3丁目に三毛君が引っ越してきたとか、1丁目のあのお宅に行けば餌をもらえるとか、あの公園には不審人物がいたから要注意だとか、縄張り争いでクロ君が負けたとか。猫のセカイにもいろいろあるのだ。

電車内の広告もおもしろい。男は薄毛治療で毛を増やしたがり、女は脱毛して毛を減らしたがる。男性諸君、オトコは髪の毛よりもハートだ。本当は愛をもて余している、女よりも愛情深いそのハートをオープンにして愛情表現をしてみるのだ。オトコはみな、王子さまである。ふん、俺はそんなガラじゃないって?いいや、あなたのぬくもりが「あの人」を幸せにするのだ。お嬢さん方よ、あなた方はアニメのキャラクターでもお人形さんでもないのだ。イビツな二次元のセカイに、嘘だらけの情報に、彼の好みに合わせるだなんて、くだらん事はよしたまえ。女も容姿年齢は関係ない。笑顔だ。あなたのその女神のような優しい微笑みが「あの人」を幸せにするのだ。

広告は人間の劣等感や欲望を刺激するよう上手くできているものである。おいらのようにかえって文字を認識できないほうが情報に操作されずに平和なのかもしれない。まあ、おいらは天才ゆえ人間の文字を解読できてしまうのだが。

そういえば今朝ののらねこ新聞の広告欄に「ブルーベリーエキス配合。瞳イキイキ!」との広告があった。おいらもコレを飲めば更に視力が増して暗闇でのケンカに有利であろうか?「瞬足!チーターもびっくり!」なに?このシューズを履けばお魚くわえて逃げるときなんぞ、もってこいではないか。う、うむ、気になる……

ちなみにおいらは猫ゆえに、すばしっこいし、ほんの僅かな隙間もなんなく通り抜けられるが駆け込み乗車はやらない男である。

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