【ツボのなかのぼく】第1話『出会い』
昼下がりのとある焼肉店。
今日も夜の開店に向けて店員さんが
お肉の仕込みで大忙しだ。
「おいマサル、そこのタレ取ってくれ!」
フルーティーでいて
にんにくや香辛料のパンチも効いた
醤油ベースのお店自慢のタレだ。
働き始めてまだ数ヶ月のマサルは
洗い場で調理器具を洗っていた。
「は…はーい、今行きます!」
泡だらけの手を急いで水で洗い流し
冷蔵庫に入っているタレを
店長の元に届けた。
「おお悪いな、ありがとな」
店長は笑顔でマサルに言った。
「いえ、では戻ります」
マサルは照れ