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【ツボのなかのぼく】第3話『維持』

ぶたちゃんはマサルのロッカーの中で
ひとりぼっちになった。
さてこれからどうしようか。
ちょっと考えてみたけど
考えても何も浮かばなかったから
考えることをやめた。

マサルは厨房で食器を洗っていた。
するとテツヤが声を荒げた。
「誰だよ、壺出しっぱなしじゃん!」
そういえばマサルはぶたちゃんのことが
あって慌てて持ち場を離れたから
それっきりお肉が入った壺を
放置していたのだ。
「すみません、今片付けます!」
マサルは壺の入ったトレーを
冷蔵庫に入れた。
「肉がダメになるとこだったじゃねえか!」
マサルはテツヤにこっぴどく怒られた。
でもぶたちゃんのことでいっぱいいっぱい
だったマサルは謝ることしかできなかった。
ぶたちゃん…あれ?
今ぶたちゃん…俺のロッカーの中…あっ!!
マサルは非日常的なことが起きすぎて
大切なことを忘れていた気がした。
ぶたちゃんはそもそも壷漬けカルビ。
ロッカーの中に入れておいて
お肉が腐ったらぶたちゃんはどうなる?
食器を洗っていたマサルの手が
完全に停止した。
「どうしたんだマサル!?」
店長がマサルの肩に手を乗せた。
振り返ったマサルの顔は蒼白していた。
店長はマサルの顔色の悪さを心配し
今日は帰宅するようマサルに告げた。
「テツヤがマサルをいじめたんだよ。」
と他の店員がテツヤを弄っていたが
マサルは反応することなく
ぶたちゃんのいるロッカーへ
向かっていった。
「ぶたちゃん、無事でいて!」
ポケットから鍵を出して
慌ててロッカーを開けた。
そこには…
つづく?

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