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【短編紹介】-見えない惑星-

短編が大好き。なんたって文学の可能性を最大限に高めたものな気がするから。
こんな短い話で途方もない妄想想像空想が広がっていく感覚が大好きだ。


「見えない惑星」 ハオ・ジンファン
 :『折りたたみ北京』収録 (早川書房)

ある個体が訪れたことのある惑星について別の個体に話しているという設定で話が始まる。

さまざまな惑星の気候・環境・生物相を説明しそこで生きる惑星人の文化や行動について語られる。
とてつもなく客観的なそれは想像の限界ギリギリを攻めてくる。

歴史を持たない惑星。虚言癖、起源不明の住民。惑星が生きているような感覚にさせられる。
人間社会の前提がぐらつき混乱する。

多様な民族が共存する惑星。穏やかな物腰でどんな話でも聞いてくれる住民。本来の気質はとんでもないもので…。
虚しい真理に言葉が詰まる

二つの世界-間違いなく本物で一つの文明を持った世界-が干渉することなく存在する一つの惑星。
想像力が勝手に走り出し、自分という存在が脳に置いてけぼりにされる感覚

短編集ならではの「全てを見せない」文学。想像力の文学だ。

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