ほんの少しカフェインを摂ることで(摂りすぎは禁物。就寝前一二時間前も避けよう)、気が散るのを大幅に減らすことが可能だ。注意を払う能力を強化し、そこから長期記憶をしっかりと根付かせることもできるようになる(中略)カフェインを摂取しながら学習した場合は、思い出そうとする際にもカフェインを摂取したほうが、学習内容の記憶がよみがえりやすい(中略)意味記憶(知識の記憶)やエピソード記憶(出来事の記憶)は、海馬で固定される。一方のマッスルメモリーは、大脳基底核と呼ばれる脳の部位で一つにつなげられる(中略)同じスキルの学習を続けるにつれ、小脳と呼ばれる脳の部位が、インストラクターのように付加的フィードバックを与える(中略)次第に、動作に修正や微調整が加えられていく。こうしてスキルが上達する(中略)マッスルメモリーの形成には海馬はまったく関与していない(中略)繰り返し練習すれば、それによって脳が変化する。脳が変化すれば、体の動かし方が変わる(中略)熟練の域に達するには一万時間の練習が必要(中略)知っている知識と記憶にある人生経験とが統合されてはじめて、人は賢くなる(中略)急性ストレスは新しい記憶の形成を促進する。理由としては第一に、ストレスが突発的に高まると注意力が増大する(中略)第二に、アドレナリンとコルチゾールは脳と体を総動員してすばやい行動に備えるが、それだけではなく、扁桃体でノルアドレナリンと呼ばれる神経伝達物質の分泌を活性化する。これにより、扁桃体から海馬にシグナルが送られる(中略)場合によってはコルチゾールが海馬にある受容体に直接はたらきかけ、記憶の固定化を促進することもある(中略)残り時間は刻々と減っていき、しかもAを取りたい。こうした急性ストレスのすべてが、覚えようとしている情報の固定化に役立つ(中略)コルチゾールは、アドレナリンよりやや足が遅い、アドレナリンがものの数秒で現場に到着するのに対し、コルチゾールが最も分泌されるのは、ストレッサーが現れてから十五分ないし一時間経った頃である。