ナチュラルキラー細胞はガン細胞の表面に穴を空け、その穴から毒性を消すプロテインを注入する。つねに体内にいてもらわなければ困るということだ。そして睡眠が少なくなると、ジェームズ・ボンドはあっという間にいなくなる(中略)睡眠不足がガンにつながる具体的なしくみもわかってきている。原因の一部は、睡眠不足によって交感神経が過度に興奮することだ。この状態が長く続くと、体内の免疫システムが炎症という反応を示す(中略)ある種のガン細胞は、炎症因子を腫瘍の中に誘い入れ、その力を借りて腫瘍に酸素と栄養を送り込むための血管をつくる。さらに腫瘍は、炎症因子を利用して、ガン細胞のDNAに損傷を与え、変質させていくことで、腫瘍の力をさらに高めることもできる。炎症因子と睡眠不足がセットになると、腫瘍が元の居場所から切り離され、他の場所に転移することも知られている。現在わかっているのは、睡眠不足ががんの成長と転移の一因になっているということ