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検察庁法改正案問題について自分なりに分析してみた

おはようございます。もしかしたらこんにちは。こんばんはかもしれません。

なるこです。

今日は検察庁法改正案の一連の騒動について書いていきたいと思います。

今日書く内容は、あくまでも私の個人的な考えであり、私は専門家でもなければ、この件について特別な知識があるわけでもないので参考程度に読んでいただければと思います。又、意見や疑問がありましたら遠慮なくコメント欄に書き込んでいただいて結構です。


以下、検察庁法改正案問題について

先日、安倍総理は秋の臨時国会への見送りを発表し、黒川氏の賭け麻雀の報道がされ、黒川氏が検事長を辞職しましたが、世間を騒がせた検察庁法案に対して考えていこうと思います。国家公務員の定年延長については2008年から議論されています。これは年金支給年齢を65歳に引き上げられた為、定年も65歳に引き上げようという動きです。元々検察官は63歳が定年ですが、これは検察官になるのが一般企業に比べて遅いことから定年も遅く設定されていた為です。ちなみに検事総長の定年は元々65歳です。
2008年の国家公務員制度改革基本法というもので最初に議会に挙げられてから、閣議決定3回、人事院の意見具申を2回され、2〜3年毎に少しずつ進められていた法案です。
では何が問題なのでしょうか。

まずそもそもなぜこんなにも問題になっているのか、問題になったのかというところから。

【1】S N S等で挙げられた問題点とその点に関する考察

S N S(主にTwitter)で#検察庁法案に抗議しますというものが拡散されたことが発端となり、そこに各業界の著名人が同様のハッシュタグを使用して投稿を重ねました。

挙げられた主張は以下の通り
① 三権分立が脅かされる問題だ
② 内閣が検察庁の検事総長を選ぶことは政治介入ではないか
③ 内閣の勝手な法解釈を許していいのか
④ 民主主義じゃない

ひとつひとつ考えていきましょう。

① 三権分立が脅かされる問題だ
・三権分立とは
  三権分立は国が有する権力を行政権、司法権、立法権の三つに分けることによって、
国家の暴走を抑制し、民主主義を実現させるためのシステムです。

・三権分立は脅かされるのか
  そもそも検察庁は行政機関です。検察庁の件については三権分立を引き合いに出すのは少し論点がずれているのではないかと思われます。しかし、日本国憲法第六章第七十七条には「検察官は、最高裁判所の定める規則に従わなければならない」という記載があり、国民の権利保持の観点から準司法機関と呼称されることもあるのは事実です。

② 内閣が検察庁の検事総長を選ぶことは政治介入ではないか
これについては、内閣が検察庁の検事総長を選ぶことは政治介入ではありません。
検察庁法第十五条に「検事総長、次長検事及び各検事長は一級とし、その任免は、内閣が行い、天皇がこれを認証する。」というふうに書かれています。また、第十四条には「法務大臣は、第四条及び第六条に規定する検察官の事務に関し、検察官を一般に指揮監督することができる。但し、個々の事件の取調又は処分については、検事総長のみを指揮することができる。 」という記載もある。法律上は検事総長の直近上位職は法務大臣であり、検事総長、次長検事、検事長に至る検察官の出世ルートの一通過点と位置づけされている、法務事務次官の直近上位職も法務大臣(及び副法務大臣)なのである。
以上の理由から内閣が検事総長を「選ぶ」こと自体は全くもって政治介入ではないことが分かる。

③ 内閣の勝手な法解釈を許していいのか
結論から言うと、許していいかどうかは内閣法制局と国会議員が決めることなんですよね。根本的な問題として国会議員は全国民の代表ということが日本国憲法第四章第四十三条で定められている以上、国会議員が代表して内閣が提示している法改正を許せるか許せないかを議論しているわけです。今回の件でいうと、許せなかったという結論になったのだからそれでいいんじゃないの?っていう(笑)許せるか許せないかは主観的な問題なので許せなければ声をあげればよくて、その方法として選挙があり、デモが許されているわけなので(笑)なので許していいのかという議論がそもそもおかしいのです。
ちなみに、法律案が出された時、内閣法制局がすることは、「審査」「意見」「修正」をして「上申」することです。上申とは伝えることです。つまり、審査して修正してこういう意見ですということを伝えるだけなんです。修正して返す添削のようなものではありません。これは内閣法制局設置法第三条に記されています。

④ 民主主義じゃない
今回の騒動で民主主義が危ぶまれるという話が出ていますが、どうでしょうか。
民主主義(国民主権)とは、日本国憲法の三大原理のうちの一つです。
基本的人権の尊重、国民主権(民主主義)、平和主義(戦争放棄)の3つですね。
民主主義とは、国民が主権を持ち国民自らの為に政治を行うことです。主権とは国家を治める権力のことを指します。まぁ絶対王政とかじゃないよって感じですね。
民主主義は大きく2つに分けることができます。ひとつは「直接民主制(主義)」、もうひとつは「間接民主制(主義)」です。現在、ほとんどの民主主義の国が間接民主制を採用していますが、その多くは一部に直接民主制を併用しています。日本の国政レベルの話でいうと、憲法改正の際に行われる国民投票がわかりやすいかと思います。というか、日本ではほとんどそれしか機能しません。
これは国政レベルの話ですので、地方自治に関する直接民主制は一旦置いておきます。
また、アメリカの大統領選挙は形式上は大統領選挙人を選出するので間接選挙ですが、事実上は直接選挙といえます。上記した例はいずれも民主主義です。
つまり日本の場合、間接民主制で議会制民主主義(選挙で選ばれた国会議員が、全国民の代表として議会にて議論し、政治を行うこと)なので、選挙で選出された国会議員たちが国会という話し合いの場で議論をしている以上、民意の反映がなされているということになり、民主主義であるということになります。

【2】検察庁法改正案と黒川氏に関する疑問

では何がこんなに問題になったのか?ということに触れていきます。
今回の検察庁法改正案で最も問題とされたのは黒川検事長の勤務延長についてです。
そんな黒川検事長ですが、今月1日と13日に賭け麻雀をしていたということを報道され、法務大臣から訓告処分を受け、その後辞表を提出している為、現在は元検事長ですが。(笑)
今回、問題となっている部分は黒川氏が内閣の判断で勤務延長され、そしてそのタイミングで国家公務員の定年を65歳まで引き上げることになるというところですね。そこで安倍首相と仲が良いとされる黒川氏の定年を延長したことで検事総長の職に就かせ、内閣にとって有利に働くようにするためではないのか、内閣が検察を掌握してしまうのではないかという考えの元の批判でした。
これに関してもいくつかの内容に分けて考えていきましょう。

① 黒川氏の定年延長が今回の検察庁法改正案によってどうなるのか
② 黒川氏の勤務延長はいかがなものなのか
③ 黒川氏を検事総長にするための法案である
④ 政治介入をすることによって検察から政権への捜査をなくすための法案である

① 黒川氏の定年延長が今回の検察庁法改正案によってどうなるのか
どうもなりません。黒川氏の勤務延長は閣議決定が行われており、この法案がどうなったところで変わりません。しかし、これは内閣の法解釈の変更によって行われたものであるため、そこに対する指摘は多く寄せられています。

② 黒川氏の勤務延長はいかがなものなのか
これに関しても様々な意見が飛び交っています。内閣が勝手な法解釈をして良いのか、またそれを許して良いのかという声も多く聞かれますが、これに関しては問題ありません。法解釈の最終決定権は内閣にあるので、そこに関してだけを考えるとなんら問題はないということになります。しかし、国家公務員の勤務延長制度が制定された当時、国会において同制度が検察官には適用されないという答弁がなされていたにも関わらず、今回の解釈変更を行なったということが本当の問題であり、多くの野党議員が指摘するに至ったところだと考えられます。内閣の主張としては、カルロス・ゴーン被告人や当時まだ捜査中であったIR汚職関連を含めて、「東京高等検察庁管内において遂行している重大かつ複雑困難事件の捜査公判に対応するためには、…黒川弘務の検察官としての豊富な経験・知識等に基づく管内部下職員に対する指揮監督が必要不可欠」と政府が判断したとのことでした。これに関しては、ちょっと内閣強引すぎない?ということになっても致し方ないのではないでしょうか。

③ 黒川氏を検事総長にするための法案である
不可能な話ではありませんが、あくまでも憶測の範囲を超えられない話ではあります。
なぜなら、今回の改正案の施行日は2022年4月1日です。
黒川氏の誕生日は2月8日で現在62歳です。今年度63歳になられるわけです。
今年の1月31日に政府は黒川氏の勤務延長を行なっており、その期間は8月7日までとなっています。そして、現検事総長の稲田氏は2018年7月25日に就任されており、定年の2021年8月13日まで退官されない可能性もあります。稲田氏が黒川氏の検事総長就任に反対する場合、このようなことも考えられるわけです。仮に稲田氏が定年まで検事総長であり続けたとして、退官された場合、黒川氏はその時63歳6ヶ月です。この時点で検事長の定年を迎え終えているので、2度目の勤務延長がなされていることになります。そして、そこから65歳まで約1年半しかありません。さらには、検察庁法改正案の施行はそれから半年以上先の話となります。しかし、検事総長以外は63歳が定年ですから、黒川氏が定年まで退官されなかった場合、3度目の黒川氏の勤務延長を行う必要が出てくるのです。しかし、今回の勤務延長に関する指摘は、検事総長の平均在任期間が約2年であることから、今年の7月25日に稲田氏が退官する前提で話されていることであり、稲田氏が反対している場合、現在の勤務延長期間中に黒川氏が検事総長に就くことはできないということになります。元より稲田元検事総長と法務省は名古屋高検検事長である林氏を次期検事総長に起用する人事案を固めていました。今回の2020年1月31日の黒川氏の勤務延長を受け、稲田氏は退官を取り止めています。つまり、稲田氏は黒川氏に検事総長のならせる気がないのです。つまり黒川氏を検事総長に任命する場合、何度も勤務延長をする必要が出てくるということです。内閣にそのような思惑がないという証拠はありませんし、動きを見ると思惑があると思われても仕方がないのですが、逆にいうと黒川氏が検事総長になっていなかったため思惑があるという確固たる証拠もないのは事実であることから、黒川氏を検事総長にするための法案であると言い切れるものではなかったのではないでしょうか。

④ 政治介入することによって検察から政府への捜査をなくすための法案である
これは黒川氏と安倍総理の仲が良く、安倍総理の違法な行動について取り締まることをなくすためという主張を見ますが、現在検事総長のもとで安倍総理に対する捜査は行われていません。また、I R汚職が疑われた議員に関しては立件が見送られていますし、河井案里氏と夫で元法務大臣の河合克行氏とその秘書に関しては調査が進んでおり、つい先日克行氏に対して広島地検が公職選挙法違反の容疑で立件する方針を固めたています。公設秘書に関しては、もうすでに逮捕・起訴されています。そもそも、【1】の②でも触れていますが、検事総長の任免自体は政治介入でもなんでもありません。

【3】検察庁法改正案条文と各所の意見から考えられること

検察庁法改正案に関しては様々な組織からも反対があがっています。日本弁護士連合会をはじめ、全国の弁護士会も会長声明を、検察O Bなどからも意見書が出されています。
なぜ定年延長の法案が問題なのでしょうか。
それは法務大臣(普通は閣議決定であると思うが検察庁法改正案条文には法務大臣と記載されている)が勤務延長をする必要があると判断した場合、法務大臣によって定年を迎えた検事正の勤務延長をしても良いという内容が検察庁法改正案に追加されたためです。また、その期間は1年未満であるが、それ以降も必要だと判断した場合再延長することが可能であるということも書かれています。これは役職定年延長とされています。
しかし、上記した内容は、昨年秋に提出された法案にはありませんでした。昨年秋までの法案の中身は簡単にいうと、検察官の定年を65歳まで引き上げることと、次長検事と検事長は63歳を迎えた次の日から平検事になるということでした。
さて、これのどこが問題なのでしょうか。簡単な話なので、読んでいる人も分かっていると思いますが、そこまでやる必要ある?そんなに延長しないといけないことある?というところと、何で内容を今年になって変えたの?というところですね。
間違いありません。確かに、これは何か根拠に基づいていたり、現状政府が何か違法なことをしているわけではないので感覚の問題でしかないのですが、逆にいうと現状延長しなければならないこともないのです。昨年秋までに議会に上がっていた内容でも何ら問題なかったのです。その上で検察内部での人事を内閣が形式上任免するだけの現状でなく、内閣が決めた検察官を検事総長に任免するだけで良かったのです。

【4】役職定年延長になぜ反対するのか

現状の規定でいくと、検察官の定年は検事総長の65歳以外は63歳で定年ということになります。そして定年延長の規定もありません。しかし、政府は今回、国家公務員法にある一般の国家公務員は定年を最大3年まで延長できるという規定を検察官にも適用させ、黒川氏の勤務延長を行いました。この解釈をそのまま3年間適用させてしまえば、現検事総長の稲田氏が定年退職を迎える2021年8月13日を迎えても黒川氏は検事長でいれたのです。そして、任免権は内閣や有しているため、その時点で検事総長に黒川氏を任免することができます。検事総長の定年は元々65歳であるため、2022年2月8日に65歳を迎える黒川氏は検事総長になれるというわけです。検察庁法改正案の施行は2022年4月1日なので黒川氏は65歳を迎えていて定年後になるのですが、今回の勤務延長をみるとその施行まで勤務延長することができるということです。また、改正後の検察庁法が施行された場合、そこから更にその法律に則った上で勤務延長ができるので、この方法でいくと68歳まで黒川氏が検事総長を務めることが可能だったというわけです。このような背景から、黒川氏に限らず、政府に近い関係を持つとされる人間が今後も検事総長に長期的に就くことが可能になるのではないかという憶測からいくと反対であるという見解になります。

【5】内容のまとめ

S N Sで話題になったことに関しては少し論点がズレているかなと個人的には思います。
言及している人間の主張も少し疑問が多く出ますし、陰謀論や感情論での批判や主張というのは、あまりにも説得力に欠けている部分です。安倍首相、安倍政権を批判したいのか、この法案に対する指摘、批判なのか明確に分けられていないというのは問題ですし、議論になりません。
日弁連会長からの声明では、今回の法案全てを反対するものではなく、内閣と法務大臣の裁量の範囲に対する反対を示しており、検察庁O Bとは少し内容が異なりますが、どちらも法律のプロフェッショナル的存在である立場である為、完全に無視して改正案を現在の内容のまま通してしまうと国民の抗議は強まることは容易に予想されます。
役職定年延長に関しては、可能性として内閣の任免した検事長が最長68歳まで勤務できるようになること、これまでの通例である2年間での退官ではなく、かなり長い間検事総長でいられるようになります。又、内閣には任免権はあるものの罷免権はありません。これは安倍政権や内閣といった話ではなく、検事総長ほどの権力を持った官職に一人の人間が長期間居座ることができるということの方が問題であると言えます。
これらの理由から定年延長に関しては賛成できますが、役職定年延長についてはあまりにも不安要素が多く、現状では改正案を通す必要性も感じられません。

【6】個人的意見のまとめ

長々と書きましたが、
・検察庁法改正案自体に反対ではない
・役職定年延長に関して、必要性は感じられず、内容に関しても疑問を覚える
・様々な提出法案があることは理解した上で現状この改正案に対して緊急性、優先度の高さを感じられない

という3点が強いです。
これらの観点から見ると、今回の検察庁法改正案の件に関しては反対せざるを得ないのではないかと感じてしまいます。

しかし、黒川氏は検事長を辞職しましたので、秋の臨時国会と今後の動向に注目していきたいと思います。

【7】最後に伝えたいこと

今回は今までで一番長くなったかもしれませんが、最後まで読んでいただきありがとうございました。

冒頭でも述べました通り、今回の内容はあくまでも私の個人的な考えです。

これに共感して欲しいという気持ちもありませんし、反対した方がいいよとも思いません。

今回の件で話題になったことにより国民の政治に対する意識は少なからず一時的には変わっていると思います。

ですが本当に大切なことは今の状態を継続していくことだと思います。

一時的なもので終わるのか、これを機に今後も政治に対して向き合っていくのか、それが検察が内閣を見張るより大きな力になるのではないでしょうか。

途中少し触れましたが、日本は法治国家です。と、同時に国民主権の民主主義国家です。

民主主義国家において国を作るのは国民です。

政治家に丸投げして文句を言うだけの人間になるのではなく、ひとりひとりが自分が国を作っているという自覚と責任を持って生活することが今後につながっていくのだと私は考えます。

もしこの記事を機に、もっと勉強しようと思ってもらえれば幸いです。

ネットに情報が溢れる時代だからこそ、自分で情報を集め、正しい情報を見極め、しっかりと考え、自らが選択の元、責任を持って自分のために、大切な人のために成長し、行動することが本当に求められていることなのではないでしょうか。


2020年5月23日土曜日 vol.12

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