あら じゅん(心理士)

臨床発達心理士、公認心理師、心理学講師。主に「発達障害」が専門。当事者は1歳半~50代…

あら じゅん(心理士)

臨床発達心理士、公認心理師、心理学講師。主に「発達障害」が専門。当事者は1歳半~50代まで。幼児が学童期・思春期・青年期・成人・老年とどの様に成長していくのか全ての年代に関わってきました。少しでも何かお役に立てればと思っています。

マガジン

  • 発達障害者たちの生の声

    仕事で出会った『当事者たちの生の声』。当事者が読んでホッとしてほしい。子どもの気持ちを知りたい家族にも。※了承を得て記載しています。

  • 療育について

    療育現場の裏話や、療育内容、そして、おうちでできる具体的なやり方などまとめています。

  • 今日のホッする一言!(保護者編)

    私が体感してきたことを一言メッセージでお伝えしていきます。

  • 発達障害といじめ

    発達障害がある小学生から成人まで、各ステージごとに学校の対応や、子どもの気持ちなどを書いていきます。

最近の記事

『自分が置かれた立場がよく分かっていなかった』

発達障害者の生の声を日々、お届けしています(了承頂いています) この言葉は、30代男性・会社員(自閉症スペクトラム障害)の言葉です。 彼は小学生の頃から、通級、学童、習い事など、様々な場所に参加していましたが、悲しいことに、どの場所でも、問題を起こしていたと言います。 問題が起きてしまう理由は、『自分が置かれた立場がよく分かっていなかった。なんで、自分がなぜここにいなきゃいけないんだとか、その場で何をすればよいか分からなかった。教えてほしかった』と話してくれました。

    • 『僕がA先生を好きなのは、先生は”僕が頑張っている”ことを知っているから』

      発達障害者の方々の生の声をお届けしています(了承頂いています)。 この言葉は、ADHDと自閉症の二つの診断がある児童(小学4年男児)の言葉です。彼は特性から、周囲からよく注意を受けていました。 そんな彼から、この言葉を聞いた時は、胸がキュゥと締め付けられる気がしました。先生だけではなく、親や周りにも当てはまることですね。 ”できなくても、頑張っていることを認めることが大切”と痛感しました。

      • ことばが遅い子の対応法・その2(発語の促し方)

        以前、『ことばが遅い子の対応法(発語の促し方)』を書かせて頂きました。今回はその続きとなります。 ちょっとその前に、発語に大きく関わる子どもの脳の発達について、 少しご説明させてください。 子どもの脳は12歳ぐらいで大人に近い脳に完成すると言われています。 ・2歳頃⇒脳内のシナプスの数がピークになり回路が完成していきます。 ・3歳頃⇒大人の脳の80%ほどにちかづきます。 ・6歳頃⇒大人の脳の90%ほどにちかづきます。 ということで・・・ お子さんの発語を促したいご両親は

        • 『母親のこと嫌いになりたくなかったから、別のことを嫌いになり”こだわり”が増えた』

          ”発達障害者の生の声” お伝えしていきます。(※了承頂いています) これは、30代男性(自閉症スペクトラム障害)の言葉です。 就職されて、一人暮らしをされている方です。 彼は小学、中学と壮絶ないじめにあい、また、特性からのこだわりも強く、家でもお母様とのバトルがあったそうです。お母様とぶつかるたびに、お母様を嫌いになりたくなくて、その時、身近にあった物を嫌いになったそうです。そうしないと、爆発した感情がおさまらないようです。そのため、喧嘩している最中に聞こえてきた芸能人の

        『自分が置かれた立場がよく分かっていなかった』

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        • 発達障害者たちの生の声
          13本
        • 療育について
          14本
        • 今日のホッする一言!(保護者編)
          11本
        • 発達障害といじめ
          2本

        記事

          『草彅剛の自閉症のドラマ見させられたけど、それより直接言われたかった』

          ”発達障害の生の声”日々、更新していきます。(了承頂いています) これは、30代男性(アスペルガー症候群)の言葉です。 彼は、中学生の時に診断を受けているのですが、 診断後に両親から、上記のドラマ(僕の歩く道)を見させられたそうです。 当時の彼は、違う番組が見たかったそうですが、両親に従ってイヤイヤ観たそうです。特性から両親の気持ちを推測するのは難しく、反感しか覚えなかったそうです。 そのため、その時の両親の気持ちを推測して、『ドラマを観て自己理解を深めたり、何か参考に

          『草彅剛の自閉症のドラマ見させられたけど、それより直接言われたかった』

          『子どものことで諦めたくない』

          ”今日のホッとする一言”です。日々、更新していきます。 この言葉は、6歳のお子さんを持つお母様の言葉です。 お子さんは、重い知的障害を伴う自閉症があり、発声はあっても、 言葉が形成されていません。 6歳で有意味語が一つもでていないと、今後、発語に繋がっていくのは 正直、厳しいですが(もちろん可能性はあります!)、 それを理解したうえでの言葉でした。母の愛情の深さと、支援者も諦めてはいけないと改めて実感した一言でした。

          『子どものことで諦めたくない』

          『人生で友達が必要か聞かれても、いたことないから分からない』

          ”発達障害者の生の声”日々、更新していきます。(※了承頂いています) これは18歳の男子学生(自閉症スペクトラム障害)の言葉です。 授業でテーマトークをした際に、学生同士で色々なキーワードを取り上げて質問をしあっていました。彼がとてもまじめな顔で質問してきました。 『先生!僕、友達っていたことないから、人生で友達が必要か聞かれても分からない。中学で初めてオンラインゲームで大人の知り合いが出来たんですけど、それって友達って言ってもいいんですか?』 私は人生に友達は必要だ

          『人生で友達が必要か聞かれても、いたことないから分からない』

          『僕って男って感じがしない。もちろん女でもないけど・・・』

          ”発達障害者たちの生の声” 日々、更新していきます。(了承得てます) これは、自閉症スペクトラムの診断を受けている19歳の男子大学生の言葉です。服装は男性ですが、雰囲気や話し方が柔らかいのが印象的でした。 彼の恋愛対象は男性ですが、幼い頃より、自分の性別の自覚があまりないと話してくれました。そのため、”男らしく”や”女らしく”といった内容にとても違和感を覚えていたそうです。 私も、沢山の発達障害者の方にお会いしてきましたが、性別がニュートラルや、同性愛者がとても多いこと

          『僕って男って感じがしない。もちろん女でもないけど・・・』

          『お風呂をでて寝るまでが一番幸せ』

          ”今日のホッとする一言”です。日々、更新していきます。 この言葉は、私の友人の言葉です(※了承頂いてます) 彼女は、家事をしながら、自宅で旦那様と働く自営業。中学生と小学生の二人の男の子を持つママです。 彼女は、子育ての悩み、経済的な悩み、介護の悩み、1年間ほぼ休みなく動き、本当に頭が下がります。そんな彼女が一番幸せに感じることは、”お風呂をでてから寝るまでの瞬間” (*´з`) 人間って、子どものためでもなく、仕事のためでもなく、究極、自分の幸せを大事にすることが、頑

          『お風呂をでて寝るまでが一番幸せ』

          『やりたくないことを、やった時しか褒めてもらえない』

          ”発達障害者たちの生の声” 日々、更新していきます。 発達障害のお子さんに限らず、どのお子さんからも聞く言葉です。(*´з`) 『ゲーム止めたくないけど、止めると褒めてくれる』、『お手伝いやりたくないけど、やったら褒めてくれる』『学校行きたくないけど、行ったら褒めてくれる』 日頃からよく怒られている子は、そう感じやすいかもしれません。子どものためなのに、大人ルールになったり、子ども自身が「なんでそうした方が良いのか」本質を理解できていないかもしれません。(*´Д`)

          『やりたくないことを、やった時しか褒めてもらえない』

          ゼロにならない寂しさ

          ”今日のホッとする一言” 日々、更新していきます。 仕事柄、保護者や学生から相談を受けている私ですが、私自身も悩みにハマることがよくあります。(-_-;)  自分のことではなく、間接的なことだと解決も難しく本当に辛くなります。 そんな時、決まって感じるのが、『ゼロにならない寂しさ』 親がいても、パートナーがいても、友達がいても、子どもがいても、ヒトはこの感覚を抱きながら、頑張ってる気がします。生きてるってすごいですね(*´з`)

          ゼロにならない寂しさ

          『教室の後ろのドアからなら入れる』

          ”発達障害者たちの生の声” 日々、更新していきます。 自閉傾向がある方や、不安が高いお子さんからよく聞く言葉です。 ある女子生徒は、『友達がいなくて教室に居たくないから、始まる直前に後ろのドアからそっと入る』や、自閉症の男子生徒は、『前の席は、後ろから見られている感じがして嫌』、小学生の不登校気味の男子は、『注目されたくないから、後ろのドアからなら入れる』と話してくれました。 小学校などでは特に、配慮が必要な生徒を、先生が声かけをしやすい一番前の席にしがちですが、彼ら(

          『教室の後ろのドアからなら入れる』

          『兄弟揃って発達障害・不登校』は良い影響もあると思います!

          ”今日のホッとする一言です” 日々、更新していきます。 発達障害は、男性の発症率が高いことと、遺伝的要素もあることから、「兄弟で発達障害や不登校」のご相談は少なくないです。そのため、保護者の方のご負担や、ご心痛も大きいだろうなぁと感じてきました(;´Д`) 私の大学時代の友人も当事者です。 彼女は中学生、弟は小学生で一緒に不登校が始まりました。彼女は6年かけて高校を卒業し、大学に進学しますが、大学卒業後、弟と一緒にまた、ひきこもり生活を始めます。 その後、一人暮らしを始

          『兄弟揃って発達障害・不登校』は良い影響もあると思います!

          『お母さんは、仕事の愚痴言ってるのに、なんで僕に仕事しろっていうのか分からない』

          ”発達障害者たちの生の声(了承得てます)” 日々、更新します。 中学卒業後、4年間、家にひきこもっていた男性(自閉症スペクトラム)が話してくれた言葉です。本当に沢山の当事者たちから、よく聞く内容です。 小学生は、『なんで先生は、”給食残す子が嫌い”って嫌いな話するの?』、大学生は『親が仕事は大変って言ってるのに、なぜ勧める?』、社会人は、『僕が退職の挨拶したら、上司がわざわざ、”自分の若い頃の苦労話”をしてくる意味が分からない』。 彼ら(自閉症スペクトラム)は、言葉通り

          『お母さんは、仕事の愚痴言ってるのに、なんで僕に仕事しろっていうのか分からない』

          『本人の力を信じる』

          ”今日のホッとする一言です” 日々、更新していきます。 子どものこと、家族のことなど「自分のことではない悩み」は、間接的だからこそ大変だと思います。親御さんが潰れてしまうことも珍しくないです。 私の姉は、男女一人ずつ子どもがいます。義兄はずっと単身赴任です。そんな中、娘が中学3年の終わりにいじめにあいました。 姉は、「親ができることって限られてるよ~。もちろん、出来る限りやるけど。後は本人の問題だからしょうがない。だって、彼女の代わりにはなれないんだから」と話していまし

          『本人の力を信じる』

          『制服の中にナイフ持ってそう』

          ”発達障害者たちの生の声(了承得てます)” 日々、更新していきます。 アスペルガー障害(自閉症スペクトラム)の診断を受けた男性が、中学の時にクラスメイトの女子から言われた一言です。 帰国子女の彼は、中学1年の時に日本に帰国し、公立中学に転入しました。端正な顔立ちですが、意味なくニヤニヤしてしまうのがクセ。自分から話しかけないこともあり、中学校3年間、友達は一人もできなかったそうです。 そんな彼が、中学校3年間通い続けれた理由は『中学校は行くものだから』自閉傾向の方は、ご

          『制服の中にナイフ持ってそう』