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実はエッチだった文学小説って新鮮🌼!

カナダ生活10年目のWakeiです。

仕事を辞めて自由時間が増えて、時間を気にせず、大したことでもないことにもどっぷり時間をかけているこの頃です。

そんな中、また2つの文学作品を聴いたので、備忘録として残したいと思います。考えてみれば、ここ数十年、文学小説ってほとんど読んでません。

ところが、今年、この年になって小説を読むのではなく、聴くようになって、文学作品に新鮮な魅力を感じています。前回の備忘録で残した、夏目漱石の「こころ」、宮沢賢治の「グスコーブドリの伝記」に続き、今回は永井荷風の「二人妻」、谷崎潤一郎の「鍵」を聴いてみました。

二人妻  永井荷風


永井荷風というとエッチな描写があるのかと期待したら、そんなことはありませんでした。
この小説では、女同士の、相手の不幸を内心では喜び、そこにかすかな自分の幸福さを見つけて安心する、そんな心理が巧みに書かれていました。

女性の嫌な部分を見せつけられた気分になりました。こうして男性作家がそんな女性の厭らしさ、いじましさを上手く描くってことは、カンのいい男性には、案外丸見えなのかもしれませんね。

また、夫、男性の立場でも妻に対してどう思っているのか、どうごまかしているのか、も心理描写されています。私は女性の立場で、なるほど、と思いました。

鍵    谷崎潤一郎

この「鍵」は、谷崎潤一郎の小説もついでだから聴いておこう、くらいの軽い気持ちで聴いたのですが、こっちこそエッチっぽくて、変態じみてびっくりしました。
主人公の夫婦の変態的な趣味というのか、素直というのか、愛情なのか、強欲なのか、性の持つ、自分でも正体のつかめない、抑えきれない衝動というのか、複雑な人間の感性が、その人の持つ特性とともにくっきりと描かれています。

妻を酔わせて夫が盗撮って、なんやねん!

私は途中、何度か「それはないだろー。」「そうくるかー。」と思わず突っ込みを入れてしまうくらい、驚きましたよ。

でももしかしたら、私のまわりにも実は、この主人公の妻や夫のような人物や夫婦関係もあるのかもしれませんね。

まとめの感想

こうして文学作品を読んでみると、ストーリーの展開ももちろんよくできていますが、行動観察、心理描写、深層心理の掘り起こし、表現のすごさに驚きます。

50代の大学教授が赤裸々に自分の性向を話してくれることなんて、ありませんからね。映画の劇中だって、そこまで詳細には語ってくれませんよ。

私が10代の頃にこうした小説を読んでも理解できるのかな、と思いますが、今なら、その面白さがわかります。

人がどう考えて、どう感じて、何をしたいと思うのか、その行動の動機となる感情を、小説の中の登場人物が語ってくれるからです。

どちらの小説も女性は30代~40代だったので、そのぐらいの年齢の女性なら、なおさら共感できるのではないでしょうか。

映画や漫画では語り切れない、複雑で多様な感情や人間関係を知るのにも、小説はとても役に立つと思います。なかなかまとまって読書をする時間が取れない人でも、読み聞かせ系のYouYubeを利用すれば、短めの作品なら、ながら作業的に読み切ることもできます。

実はエッチな文学作品、スケベ心の楽しみと人間の感情や心理の探索、ひいては自分の心の中を探るためにも文学作品はおススメだと思います。



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