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わかおの日記27

野球に情熱を傾けていたせいで、すっかり小説のことを忘れていた。このままではこの夏休みで残した作品はこの日記だけという惨事になりかねないので、今日こそは何かいいアイデアを考えようと思ってたのである。

図書館に向かって、自転車をこいでいる最中にぼくは考えた。どのような話にすれば面白いだろうか、どんなキャラクターが登場すればより良い展開になるだろうか、書き出しはどんな風にしようかなどなど。その結果ぼくの夏休みボケした頭から出てきた構想は、家庭教師と人妻の不倫ものであった。こんなものはただの個人的な願望である。もしかしたらぼくには才能がないかもしれない。

図書館からの帰りに、ダイソーで釣竿を買った。わずか1000円の安物であるが、これがそこそこ本格的な代物であるらしい。家に釣竿があるだけでも、高揚感がまるで違う。その後家に帰ってから、自室の畳に釣竿を垂らし釣りごっこをして遊んだ。とても大学生とは思えないはしゃぎ方である。反省している。

午後は家庭教師に行った。念のため断っておくが、ぼくは家庭教師先の奥さんと、昼下がりの情事に興じたいわけではない。ただそういうシチュエーションが好きなだけである。ぼくの熱心な学習啓発運動が功を奏してきたのか、最近の彼女の学習姿勢の成長には目を見張るものがある。非常に喜ばしいことだ。

授業が終わった後、先日の壁当ての動画を師匠に見てもらった。良くなっていると、師匠からお褒めの言葉をいただき、非常に嬉しかった。ぼくがあまりに熱心に練習するので、東京弥生クラブという、硬式野球のクラブチームに入ってはどうかと勧められた。どうやら弱小らしく、ぼくでも試合に出られるそうだ。そう提案されたとき、目から鱗が落ちる気分であった。クラブチーム!その手があったか!もう少し練習して、わが弱小サークル慶応ロイヤルズでやることがなくなったら、クラブチームに入るのも悪くないと思った。諦めなければ道は拓けるものである。ぼくはルンルン気分で帰宅した。

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