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わかおの日記25

神宮球場に大学野球を見に行った。高校生の時に、東京大学の野球部の試合を見に行って「ふ~ん、なかなかやるジャン。俺が入ったら、優勝できるカモネ……」と思った経験はあるのだが、東京大学に門前払いされた今となっては、ほろ苦い思い出である。

もちろん今日は東京大学でなく、もっとハードな大学野球を見に行った。東都大学野球1部リーグの試合である。東都大学野球連盟は、六大学(東大慶應早稲田法政立教明治)を除いた、関東圏の大学により構成されている。その中でも1部リーグとなれば、強豪中の強豪である。その中でもぼくは、亜細亜大学に以前から興味があったので、青山学院大学対亜細亜大学の試合を見に行った。なぜぼくが亜細亜大学野球部に興味があるかというと、亜細亜大学は、「軍隊」「刑務所」などと揶揄されるほどの規律の厳しさで知られているからだ。本当にそこまで厳しいのか、興味があったのである。

試合前のキャッチボールから、両校の違いは明らかであった。爽やかな青山学院大学の選手たちは、にこやかにキャッチボールを行っているのに対し、全員丸刈りの亜細亜大学の選手たちは、とにかく大きな声を出しながらキャッチボールをしていた。とにかく大きな声であった。ぼくの推測だが、彼らは声を出さねば射殺されてしまうのではないだろうか。そう思うくらいの気合の入り方だった。

試合前のノックも圧巻であった。ノックが始まる前に選手全員がそれぞれベース上に立ってうんこ座りをしたかと思うと、一斉に奇声を上げ始めたのである。ぼくはこれからマウンド上に魔獣を呼び出す儀式が始まるのではないかと身構えたがそんなことはなく、怒号や激励が飛び交う戦場のようなシートノックが始まったのだった。これも、爽やかにノックをこなす、ツーブロックの青山学院大学の部員たちとは、随分対照的であった。

こんなに気合の差があると、試合にならないのではないかと危惧したが、意外なことに、試合自体は3対4の接戦で、亜細亜大学の勝ちだった。途中からぼくは、「次変化球、その後まっすぐで三振だ。……ビンゴ」などと言って、天才アナリストごっこをしながら観戦した。とても面白かった。

追伸 亜細亜大学のショートが、エラーした次の回で交代させられていたのはさすがにビビりました。

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