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不登校が増えていることについて思うこと

コメダ珈琲で新聞を読もうと手に取ったら、各紙一面が以下のように不登校の児童生徒が増加しているというニュースだった。「そらそうやん」と思うと同時に「もっと増えたらいいのに」と思った。そうしなければ、たぶん変わらないからだ。

そして、ちきりんさんはこんなふうにつぶやいていた。

これは、文部科学省による不登校児童生徒の定義がざっくりいうと「病気などの理由がないのに、年間30日以上休んでいる児童生徒」なので、いわゆる別室登校している子などは含まれない。小学校と中学校は少しでも行けば、出席扱いになるので、午前中だけ行ける子や午後からなら行ける子も不登校にはならない。

そして何より、「行きたくなくても行ける子」と「行きたい(行かなくちゃ)と思っているのに、行けない子」とでは全然違うし、「行きたくなくて、行ってない子」とも違う。いろんな話を聞く限り、心の底から「行きたくなくて、行っていない子」は少数派だと思う。

不登校は、その子によって本当に背景がそれぞれで、それだけに対応も異なるので、まわりの人間は理解に苦労する。「行きたくなければ行かなくていいじゃん」といった簡単な問題では決してない。

「学校での音が耐えられない」とか「太陽が眩しすぎる」といったで感覚過敏で外に出られないとか、決まった時間に寝たり起きたりできないという「起立性調節障害」という病気を持っている子もいる。発達特性でうまく人と関われない子もいるし、学習障害を持っている子もいる。

そんな子が「わたしだけ普通じゃない」と悩んで学校に行けなくなっているケースが本当に多いと思う。そういう子は、もちろん、わたしが中学生だった30年前にもいて、30年前は「ちゃんとしろ」「学校へ来い」と暴力で無理やりコントロールしていただけだった。そういう人が中年になってなお、傷が癒えず、引きこもりになっているんじゃないの?と個人的には想像している。

でも、今は時代の流れでそういう暴力が使えなくなった。暴力を使えなくなっても、やってることはほとんど変わってないから、学校には何の魅力もない。学びすらなさそう。こないだ長女の英語のテストを見せてもらったら「次の単語の過去形を書きなさい」とかの問題があった。そんなんじゃ行きたくもなくなる。

本当は変わるべきは子どもじゃない。子どもは昔から同じだった。いろんな子がいて当然なのだ。変わるべきは大人のほうだ。

変わるべきは学校

よく「行けるように頑張ろう」って言われるけど、学校や先生たちは何も変わる努力はしなくてもよくて、少人数の不登校の子どもとその家族にだけ努力を強いている。

勉強のあり方もテストも昔から何も変わってなくて、コロナ禍で少しオンライン授業になったけど、それも第1波だけだったし、結局プリントだらけの暗記だらけの授業が続いているだけ。テストも昔と同じようなテスト。

それで、「学校へ来い」ってなんということだろう。先生は昔と同じことをただひたすら繰り返すだけで、学校に来られないこっちが悪いと思っている。

変わるべきは親

そして、変わるべきは親。自分がどう育てられてきたかと、自分がどう育てるかは別だと意識することがまずその第一歩。でも、これは本当に簡単なことじゃないから、ある程度のケアとかカウンセリングも必要だと思う。

今の親世代の30代・40代って、家庭内でも学校内でも会社でも暴力にさらされてきたから、それを子どもにも無意識にやってしまう。抑圧を抱えている親も多い。

だから、子どもが不登校になった時、「見守りましょう」とか「受け入れましょう」とか言われてもどうしていいのかわからない。そういうことをされたことがないから。とにかくわたしはそうだった。

自分自身、何年も精神科に通い、何度もカウンセリングを受けて、本を読んで勉強して何年も経ってやっとこの状態。だから、不登校支援で必要なのは親のケア。まず親の話を誰かが何時間でも聞いてあげてほしい。

「不登校だったAさんもBさんも、今は大人になって大学にも行っているから大丈夫よ」とかいうのはなんの慰めにもならない。だって、その人とうちの子は違うから。

変わるべきは社会

そして、従来の学校だけが生きる場ではないと、もっと広くみんなが認知できればいい。そうなれば、オルタナティブスクールも増えてくる。

また傷ついた子どものケアをする思春期外来ももっともっと増えてほしい。わたしは問い合わせから初診まで半年かかった。今通っている精神科は月に1回10分くらいしか診てもらえない。そのかわりに訪問看護師が来てくれている。診てほしいと思ったら、すぐ診てもらえるようなシステムができたらいい。

子どもの問題を考える時、それは同時に大人の問題、社会の問題でもある。そういう認識が広まればいい。そのためにもこういうニュースがたくさん出たらいいと思う。

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日本語教師でライターが日常をみつめるエッセイです。思春期子育て、仕事、生き方などについて書きます。

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