深層日和

普通です。 不定期更新

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第二十二回「夏の思い出(後編)」

こちらは後編になります。 前編は第二十一回をご覧くださいな。 ーーーーーーーーーーーーーーーーー 持ちやすくなったスイカを携えながら、待ち合わせ場所まで歩いていると、ドラムや管楽器の生音が何処からか聴こえてくる。何事?と思い音のする方へ向かっていくと「ジャズフェス」なるものが、盛岡城跡公園で開催されていた。 それがめっちゃくちゃ良くて! あ、今日何やっても最高になる日だ!って確信したね。スイカ重いけど。 ビールも飲んだ。すごーくいい空間だった。 人が演奏してるの見てる

    • 第二十一回「夏の思い出(前編)」

      8/24 あおいちゃんのお誘いで、盛岡BeOneBoxのオープンマイクに行く事になった。オープンマイクってのは、出演者が決まってるライブではなく、その場に集まった人たちが1人2.3曲くらいでステージを回すというもの。事前に出演者が全くわからないということに少々敷居の高さを感じていたものの、前から興味はあったのでこれを機に行ってみることにした。 いつもより早めに出かける準備を済ませ、バスで市内へ向かっていると、国道沿いにバカでかいブルーシートを広げてゴロゴロとした球体を並べて

      • 第二十回「The End of the World」

        Why does the sun go on shining Why does the sea rush to shore Don't they know it's the end of the world 'Cause you don't love me any more Why do the birds go on singing Why do the stars glow above Don't they know it's the end of the world

        • 第十九回「旅路」

          日曜日の昼下がり、東京行き新幹線の乗車券を払い戻した後、俺は旅に出た。とにかく北へ北へ。一刻も早く東京から一番離れたところへ行きたかった。 この日は東京に行って、夕方からライブを観る予定だったのだが、寝起きに途轍もない空虚に襲われ全く行きたくなくなった。勿論、そのバンドにとってとても大きな意味を持つライブであることは理解していたし、この目で見届けることが自分にとっても重要なことであると信じていた。 だけどどうしても、身体がついて行かなかった。 何故なら彼らの音楽を聴いても

        第二十二回「夏の思い出(後編)」

          Waikato 2nd Album「あなたは死ぬまで生きていてほしい」歌詞

          1.ユーアンド愛 君が手にした本を読んで 君の流した曲を聴いた 君と同じがいいから 君と同じがいいから 君も知らない場所へ行って 君と二人タバコを吸って いつかその時が来たなら 君の隣に墓を建てる 君の隣に墓を建てる 君の隣に墓を建てたい! 青春時代はyou & Iさ 終焉までゆく 散々愛にまた迷って 報われないくらいが丁度いいから 青春自体が ユーアンド愛さ 1週間で死ぬ 抜け殻になった蝉のように 終わりの限りを息、続けていたいんです 2022.9月作曲 2. 裂傷

          Waikato 2nd Album「あなたは死ぬまで生きていてほしい」歌詞

          2nd Album「あなたは死ぬまで生きていてほしい」全曲解説

          曲の解釈は人それぞれでいいと思う。 しかし、俺が敢えて自分の曲に解説を書く理由は、俺自身が曲に対する思いを忘れないようにするためである。(このnote内では散々言うが)誰かに向けて書いてるわけではないし、知りたくない人は別に読まなくてもいい。ただ作り手の意図する完成系が見えたほうが、より曲に対する解像度が増し、そこから別の風景が見えることもあると思う。まあ見る人が見れば何のことかわかってしまうし、改めて説明する必要のないこともあると思うが。 繰り返しになるが作品に対する解釈は

          2nd Album「あなたは死ぬまで生きていてほしい」全曲解説

          活動休止について

          「無期限活動休止」という言葉が俺は好きではない。なんというか、他者にどこか希望を持たせるような、それでいて途轍もなく無機質のような、そんなズルさを感じる。しかし、今回バンドWaikatoを終わらせるに当たり、俺が選択した言葉は正に「活動休止」である。 まさか自分がこの言葉を使うなんて思ってもなかった。正直使いたくなかった。だけど俺にとって、今回の活動休止は将来にしっかりと希望のある休止。暗い話は全く無いし、モヤモヤとした煙に巻くような内容も一切ない。問題は「何故新アルバムをリ

          活動休止について

          第十八回「ヒーローと」

          いつの日からか、ライブハウスに足を運ぶことに緊張しなくなった。何本もライブを観ている内に、ライブとは自分を見せたいように観てもらうための「作り物」だと感じてしまったからだと思う。いつからこうなったんだっけ。 そんな時、俺はヒーローに出会った。 「ハローグッバイファックユー」「札幌ナンバーの最後」「ロックンロール」に頭を撃ち抜かれた。あなたの書く詞に胸を焼かれ、YouTubeにあったライブ映像に心を滾らせた。アルバムが既に8枚あった。3rdアルバム「永遠に、たまに」のジャケ

          第十八回「ヒーローと」

          第十七回「11月11日」

          朝は居なくなった月を探して、夕方は消えていく太陽を眺めてる。 自分はそんな性格だなと思う。 自分と近い思考や価値観を持った人は心地よい。表現の方法に違いはあれど、俺は昨日のすし詰めのサウナみたいな空間が心地よかった。 今回企画を組んでくれた及川は二ツ下の後輩で、大学の軽音サークルで知り合った。俺は一人アコギのサークルに所属してたのだが、やっぱりエレキギターの轟音が恋しくなり、3年生に上がる際に軽音サークルに入部。そして及川も大学に入学して、俺とほぼ同じタイミングで軽音サ

          第十七回「11月11日」

          第十六回「生活は死ぬまで続く長い実話」

          宮古市重茂。俺が出生から高校卒業までの十八年間を過ごした場所である。ここにあるのは海と山と川。以上。中学の頃に何か新しい遊び道具はないかと買ったエレキギターを持ち込んで、15wの小さなアンプで俺が初めて音を鳴らした場所は、友達の家の海産物の加工場だった。(友達はドラムを買い、やたらとシンバルばかり集めていた。後のMr.Blitz(アジカンのコピバン)のドラムである) 市内にいくまでに当時は車で40-50分はかかった。大抵は一週間に一度、食料を仕入れるために家族は市内へ買い物

          第十六回「生活は死ぬまで続く長い実話」

          「わたしを空腹にしないほうがいい」くどうれいん 読了

          この本の存在を教えてくれた彼女の顔を俺は知らない。だが俺は彼女の発する言葉や、おすすめする音楽、そして普段目を通している書籍たちに全幅の信頼を置いていた。あるいは、もっと彼女のことを知りたいと思ったからかもしれない。俺はこの本を探す旅に出た。 休日、俺は珍しく早起きをし、午前中のバスに乗って意気揚々と市内探索を開始したのだが、一軒目に目を付けていた盛岡紺屋町の「BOOKNERD」というお店で瞬く間にお目当てのお宝を発見し、俺の珍道中は開始早々に終わりを告げた。 このお店は

          「わたしを空腹にしないほうがいい」くどうれいん 読了

          第十五回「広告」

          今、ここ数年未だかつてないほどに忙しい毎日を送っている。まあそのほとんどが、自分で自分を忙しくさせているだけなのだが。ここまで毎日が忙しいと前のライブだめだったな、とか仕事で失敗したな、とか余計なことで落ち込んでる暇がまるで無い。ただただ前進あるのみである。きっと今俺の人生の中でそういうフェーズなのだろう。余計なことは考えず突き進むのだ。 ここ最近、俺は機会があればとにかくアウトプットをするようにしている。自分が思った事、感じた事、考えている事を全て形にして発信する。まるで

          第十五回「広告」

          第十四回「七夕は永遠に曇り空」

          気になっているバンドのCDを数枚買った。 お金が手元にあると、何々と何々と何々は今買えるな、というように商業科特有の金銭管理によって手持ち金を丁度よく使い切ってしまう。そんなことだから当然、俺の預金額は増えない。 CDをパソコンに落とし、今はすっかりただのiPodと化した旧型のiPhoneに転送する。転送が完了したCDからまずは一周、歌詞カードを眺めながら聴いてみる。この時間で好きになる曲は多い。本日も無事成功。 なんだか今日はこの音楽たちを聴きながら、フラフラと夜を徘

          第十四回「七夕は永遠に曇り空」

          「凍りのくじら」辻村深月 読了

          本を読むのが昔から好きではなかった。 だが大学生時代、怠惰な生活を繰り返して時間を持て余していた際に、少しずつだが本を読む習慣ができた。 現在では休みの日に特に予定がなければ、本を読んでいたいと思うくらいには、心にゆとりが生まれつつある(気乗りすれば、だが)。 読んだ本を通して受け取った感情は言語化し、何処かに書き留めておかなければいけない。さも無いと、読後のこの高揚感や胸を焼かれるような葛藤は、遠い記憶の彼方に消え去り、本を読んだという事実さえ無かった事になりかねない。

          「凍りのくじら」辻村深月 読了

          第十三回「天国旅行」

          早く来て。 まだ梅雨時だというのにまるで真夏のような暑い日だった。俺は山で調査を終えた後、山道を降りて舗装道路へと抜けた待避所で祖父の訃報を聞いた。身内しか入れない安置室で、高校まで一緒に過ごした家族が一同に介していた。その側で祖父は安らかに眠っていた。少し前歯がのぞいた口元が印象的だった。 葬祭ホール。大勢の親戚。暑い喪服。 なんだか俺には現実感が無かった。葬儀やら何やらが終わり、5日ぶりに実家へと帰った家族は、すぐに祖父の遺品の整理を始めた。自分も含め、あまりにも早く身

          第十三回「天国旅行」

          第十二回「輝きの中に立っている」

          光は、外面の姿形だけでなく、心の奥に秘めた内面や悪意ある本性も、全て見透かすものだと思う。自分が光の中に立った時、俺自身の虚栄心に押し潰されず立っていられる人間でありたい。 また一からやり直そう。 ある程度物事を進めた後で、全部をリセットしたくなってしまうのは、もう俺の一種の悪癖だと思う。一から全部をやり直したら、今度こそ上手くやれるって期待してるんだ。志半ばで別れた人、疎遠になった友人、傷つけてしまったあなたとも、いつか再び笑い合える日が来るのだろうか。失敗も後悔も挫折も

          第十二回「輝きの中に立っている」