活動休止について
「無期限活動休止」という言葉が俺は好きではない。なんというか、他者にどこか希望を持たせるような、それでいて途轍もなく無機質のような、そんなズルさを感じる。しかし、今回バンドWaikatoを終わらせるに当たり、俺が選択した言葉は正に「活動休止」である。
まさか自分がこの言葉を使うなんて思ってもなかった。正直使いたくなかった。だけど俺にとって、今回の活動休止は将来にしっかりと希望のある休止。暗い話は全く無いし、モヤモヤとした煙に巻くような内容も一切ない。問題は「何故新アルバムをリリースし、リリースツアーも控えているこのタイミングで休止なのか?」という部分。
これについて、このnoteという媒体を用いて、少しでも自分の言葉として残し、俺が活動休止という言葉に感じている「無機質」の部分を、少しでも血の通った「言葉」に変えられたらいい。少し長くなるが、このnoteを開いてくれたあなたに向けてこれを書いている。最後まで目を通してもらえると幸いです。
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今から5年前の2019年春頃、俺は「全く売れなくていいしカッコ悪くていいから、伝えたい人に自分の気持ちを伝える」という目的でこのバンドを始めた。当時のメンバーにも初めからその趣旨は話していたし、メンバーが入れ替わるたび何度も同じ話をした。人生初めてのオリジナルバンド。始めた当初はたくさん、本当にたくさん苦労したけど、自分の中の軸はここ最近までずっと変わらなかった。(同時にもっと大切にしなくてはいけない部分が当時疎かになってたことを、今は後悔してる)
そんな具合で、俺は今までこのバンドを続けてきたのだが、2023年(ちょうど一年前)の4月、今回のアルバムにも収録した「Hope」という唄を書いた。ずっと伝えたかった人に今の気持ちをそのまま書いた唄。
「例え側に居なくても 正しい人になれなくても 優しさなんて忘れても あなたは死ぬまで生きていてほしい」
何処にいても何をしててもいいから、あなたはあなたのまま生きてほしい。この唄を書き切った時、俺が伝えたい気持ちはこれが全てだなと悟った。それと同時にこのバンドでやるべき事、つまり当初に掲げた目的は果たされたのではないか?そんな気持ちが芽生え始めた。
そして去年の夏頃(7月かな)から、俺の中で曲作りの軸の部分が大きく変わった。唄を歌う対象が「あなた」から「自分」へと変化していった。きっかけは及川の車で偶然聴いた僕のレテパシーズ。あなたへの気持ちを書き切った後、それでも尚Waikatoを続けていくことに対して抱えていた違和感。それを彼らはぶち壊してくれた。音楽で誰かの何かになれなくても、救いになれなくても、誰かを感動させなくても別にいいんだ!って。(レテパの唄は目の前の風景をありのまま嘘をつかず日記のように歌う。俺には革命だった)
それからは堰を切ったように曲が出来た。全部自分の目の前の出来事をそのまま歌った唄。誰かのためじゃなくても、俺はまだ唄を作れるんだなって気がついた。(この曲たちはWaikatoではほとんどやってないけど、実は今で20曲近くある。俺の弾き語りではやってるけどね)
2ndアルバムのレコーディングの予定を立て始めたのは12月頃だけど、その時点で既に俺はこのアルバムで活動を終了しようと決めていた。Waikatoとして発表する予定の曲が全て入ったアルバムを作り、今まで知り合えた仲間、ライブハウス、少しでも応援してくれている人の元に足を運び、感謝の気持ちを直接伝える。そこまでやり切ってから、活動を終了する。俺がWaikatoとして伝えたいものはこれで全てだから。ここから先はWaikatoでなくていい。寧ろWaikatoであってはいけない。その為にはまず、きちんとバンドの終わりまでやり切ることが、このバンドに関わってくれた人、そして俺がずっと歌ってきたあなたに対しての最後の誠意のような気がした。
活動終了することは俺一人で勝手に決めたことで、メンバーには誰にも相談しなかった。今回一番迷惑をかけたのはメンバーのみんなだと思う。正直めちゃくちゃに反対されると思ってたけど、「お前が作ったバンドだから、お前が終わりにしたい時に終わらせた方がいい」
そう最初に言ってくれたのはかいさんだった。半田もしもっちーも俺の考えに納得してくれた。ほんと、いいメンバーを持ったよ。ありがとね。
そして今年に入り無事アルバムのレコーディングは終わった訳だが、リリース前にGtカイが一時休養することとなった。かいさんには色々な面でずっと負担をかけてたなぁと思う。俺自身も5年間(実際には10年近く)ずっと共にしてきた仲間の離脱はかなりショックだった。(この辺はリリース関係で色々なことを決めなければならず、俺も相当バタバタしてた。もっと早くに休養を発表できればよかった)
同時にバンドとして本来の予定であった「ツアーをやり切りラストライブをして活動終了」という予定を「ツアーを完遂しGtカイが戻ってくるまでは活動休止」に変更することにした。やはりかいさん、しもっちー、半田、俺、の4人で最後のライブをしないことには、Waikatoをやり切ったことにはならない。そこは譲れなかった。「活動休止」としたのはそのためだ。
この場でもう予告しておくと、4人揃うことが出来次第、本当のラストライブをする(規模とかは全然決めてないけど)。復活がいつになるかは全くわからない。ただ万全の状態で必ずラストライブをすることは約束する。二言はないぜ。
ちなみに「解散」と「活動終了」は俺は明確に別なものだと思っていて、活動終了は全てをやり切って終わること、解散はその道中で力尽きること。ジャンプで言えば完結か打ち切りかの違いって感じかな。「活動休止」は完結に向かう為に途中で休むこと。休載ってことだね。俺らは休載の段階。
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以上が「Waikato活動休止について」の経緯と現状だ。Twitter(Xって俺はあんまり言いたくないから別に訂正はしないよ)にも書いたけど、音楽が嫌になったとかメンバーと揉めたとか、そんな理由では一切ない。メンバーは自分で言うのもなんだが本当に仲良しで、一緒に飲みにも行くしライブも見に行くし、麻雀したり適当にぶらぶらしたりするだけでも楽しいと感じる。音楽はたまにとてつもなく嫌になるけど、そこから救い出してくれるのもやっぱり音楽だったりする。
いつの間にか俺の生活の中で、バンドが結構な割合を占めるようになっていた。唄を作って歌うことが、無くてはならないものになった。だからWaikatoが終わっても俺の音楽は終わることは決して無いし、これからもずっと続いていくのだと思う。
音楽で誰かの何かになろうとか、救いになろうとか、感情を揺さぶろうとかそうではなく、生きてる中でふと思い浮かぶ言葉に鼻歌が乗るみたいに。悲しみも喜びもただ眺めているように。「誰か」のためでなく「自分」のために。次はそんなバンドを作ろうと思う。
最後になるが、Waikatoは2024.7.14を以て一時活動休止、そして日程は未定だが必ずラストライブをしてから活動を終了する。
形あるものはいつかは壊れるし、ひび割れた破片を集めたところでもう元には戻らない。永遠なんてない。だけど、いつかは色褪せると知っているから、今僕らは輝いているんだろうね。生きてたらまた会える日がきっと来ると思うよ。
だから死ぬまで生きよう
ていくいっといーじー。
2024.4.20
Waikato 齊藤ヨシテル
P.S.
写真は俺が1.5ヶ月伸ばし続けた髭を剃る前に撮った集合写真。チャンピオン戦に向かう前の四天王四人みたいな雰囲気ある。この中なら絶対半田が先鋒だな。
「・・アイツがやられたか。
クク・・しかし奴は四天王の中でも最弱・・」
とか言ってみたいね。まあ全員主人公にボコボコにされそうな見た目してるけど。
P.S.
ここからは完全に今日の日記、今日はあおいちゃんと仙台に来て、これから小山田壮平を観に行く。(あおいちゃんに運転させて、俺は隣でビールを飲んでる)2ndがめちゃくちゃに良かったから楽しみ〜。今日のライブはぶっ刺さる気がするぜ!
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