第十二回「輝きの中に立っている」
光は、外面の姿形だけでなく、心の奥に秘めた内面や悪意ある本性も、全て見透かすものだと思う。自分が光の中に立った時、俺自身の虚栄心に押し潰されず立っていられる人間でありたい。
また一からやり直そう。
ある程度物事を進めた後で、全部をリセットしたくなってしまうのは、もう俺の一種の悪癖だと思う。一から全部をやり直したら、今度こそ上手くやれるって期待してるんだ。志半ばで別れた人、疎遠になった友人、傷つけてしまったあなたとも、いつか再び笑い合える日が来るのだろうか。失敗も後悔も挫折も、全部無かったことにならないだろうか。平穏な迎えは来るのだろうか。
いや、やり直したって、きっとまた同じ事を繰り返すだろう。そしてぐだぐだに煮詰められた思考が何遍も何遍も、同じ回路を巡るのだろう。
妥協と矛盾で成り立っている、すっかり腑抜けた大人になった俺を、澄み切った目をした君は笑うだろうか。猫背のまま歩く俺を見て、もっとしゃんと背筋を伸ばしなさい、と母は叱るのだろうか。
あぁそうだ、
俺の26年間の生活を、
25分に詰め込んだステージを、
舞台の上に立った瞬間、照明のライトに照らされた瞬間、その輝きの中で、何を思うのだろう。
誇れるものなど何もない内面を、
空っぽで軽薄な本性を、
見透かそうにも滲み出てしまう浅はかさを、
まずは、受け入れるとこから始めよう。
全部を投げ出して、楽になろうとするな。目を背けるな。まだ何者でもないのなら、何にだってなれるから。
P.S.
この日記、更新約二年かかった。飽きっぽさにも磨きがかかった。最近万年筆を買ったんだよ。人生に飽きる前に、やりたいことはやっときたいね。
てる
2023.3.1
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