アイデアとアイデアをぶつけ合って脳内を活性化させる ブレスト #35 ワイガヤ
人は一人で成し得ることに限界があるために、同じ目的を持った人たちと組織を形成します。
しかし、同じ目的を持っているとはいえ、人格は別物です。
また、その実現手段は個々によって考えは異なります。
その意味でも、目的を果たすために、個々の考えを、集約して、成果に結びつけるマネジメントが重要となります。
マネジメントの機能を高める上で、イノベーションの創造は重要なことです。
イノベーションとは、顧客が望む、自社独自の価値ともいえます。
故に、簡単に創造できるものではありません。
マーケティングの父と呼ばれるフィリップ・コトラー氏は、「イノベーションとは基本的に失敗のマネジメントであり、少数のすぐれたアイデアを得るためには、たくさんの劣ったアイデアを生み出す必要がある」と言っています。
つまり、最初からイノベーションを追求するのではなく、まずは、その種となるアイデアを出し合うことから始めるべきかと思います。
それも、無難なアイデアではありません。
少々、突拍子もないような思い切ったアイデアくらいの方が、イノベーションに発展する可能性があると考えます。
翻せば、イノベーションのためには、過去の既成概念などを一旦捨てて、アイデアを受け入れる場が必要であると思います。
「アイデアのつくり方」の著者で有名なジェームス・W・ヤング氏は、「アイデアとは、既存の要素の新しい組み合わせ」だと定義づけております。
アイデアと言うと、何もないところから生み出さなければないと勘違いしている人が少なくありません。
しかし現実は、そうではなく、既存の価値の切り口を変えたり、既存の価値を組み合わせることで、全く異なる価値を生み出しています。
アイデアを出すための手法の一つにブレインストーミングがあります。
語源は脳(Brain)と嵐(Storming)なので、少々、荒々しく感じるかもしれません。
実際には、何人かの参加者がそれぞれの切り口で意見を出し合うことで、その相乗効果から発想の幅と発展を高めるというものです。
略して、「ブレスト」だったり、ワイワイ・ガヤガヤと意見を出し合うことから「ワイガヤ」と呼ばれる場合もあります。(以下、「ブレスト」)
メリットとしては、他の参加者の意見を聴くことで刺激され、自分でも思いも寄らないアイデアがでるところです。
また、意見交換によって、自分一人ではできないようなアイデアに発展させることができます。
加えて、躊躇せずに意見を出し合える場づくりをすることで、組織のコミュニケーションが高まり、その後の関係にも良い効果が期待できます。
反面、注意すべきこともあります。
まず、目的などの方向性を示さずして、安易に意見を求めると、後々、意見を収束させることが困難となります。
その上で、思い切ったアイデアを引き出したいところです。
もし、思い切ったアイデアを出すことに躊躇して、アイデアを出せなかったり、無難なアイデアしか出せないようだと、当然、イノベーションに発展させることは困難です。
よって、どんなアイデアを出しても良い安全な場づくりが重要です。
決して、他者のアイデアに対して、否定的な意見をしたり、批判するような行為があってはなりません。
前出のコトラー氏の言葉の通り、質よりも量を重視して意見を出し合うことです。
また、ブレストで出た意見は、そのままでは散らかっている状態です。
そのため、例えば、1つの意見を1枚の付箋紙に書き込みます。
それをホワイトボードなどに、切り口別にグループ分して貼り付けて行きます。
ここから、意見を整理させながら、他者の意見と連結してみたり、新しいことを連想したり、便乗して一緒に考えたりすることで、それらのアイデアを発展させて行きます。(KJ法など)
その意味でも、ブレストは、誰が、進行役(ファシリテーター役・場づくり役)になるかでも成果は大きく変わってきます。
参加者全員が積極的にアイデアを出し合い、それを受け入れ合い、そして、皆で協力し合って、イノベーションに発展させるように導かねばなりません。