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成長するには努力と我慢が大切 #82 ブレイクスルーポイント

企業は、独自の価値を提供することで、社会における存在意義を果たします。
しかしながら、決して容易なことではありません。
特にスタートアップ企業や、新規事業や新製品などは直ぐに成果につながるものではありません。

ベストセラーのビジネス書にビジョナリーカンパニー②があります。
ビジョナリーカンパニーとは、その名の通り、時代を超えて生存するためのビジョンを持った企業のことです。
この中で、著者であるジェームズ.C.コリンズ氏は、どうしたら「良い(good)企業」が「偉大(great)な企業」になれるのかを6年に渡って、調査、分析して飛躍の法則を導き出しています。

その一つが弾み車(はずみぐるま)の概念です。

「巨大で重い弾み車を思い浮かべてみよう。金属製の巨大な輪であり、水平に取り付けられていて中心には軸がある。直径は10メートル程、厚さは60センチ程、重さは2トン程ある。」

もし、弾み車(Flywheel)と言われてもピンと来ない方は、幼い頃に、公園で遊んだ、球体のジャングルジムで押すと回る遊具(正式名称: グローブジャングル)を思い出してみてください。

「この弾み車をできるだけ速く、できるだけ長期間に渡って回し続けるのが自分の仕事だと考えてみる。」

さぁ、あなたは、どうしますか?
とりあえず、押してみましょうか?

「必死になって押すと、弾み車が何センチか動く。動いているのかどうか、分からない程、ゆっくりした回転だ。それでも押し続けると、2時間か3時間経って、ようやく弾み車が一回転する。」

さぁ、あなたは、どうしますか?
いつまで経っても、早く回らないと思って諦めますか?
それとも、2時間、3時間、一生懸命に押したので、休憩しますか?
それとも、飽きたので、逆にでも回してみますか?
この本の中では、休まずに同じ方向に押し続けます。

「押し続ける。回転が少し早くなる。力を出し続ける。ようやく2回転目が終わる。」

少し早くはなったが、やっとのことで、2回転です。
さぁ、あなたは、どうしますか?
この本の中では、押し続けます。

「同じ方向に押し続ける。3回転、4回転、5回転、6回転。徐々に回転速度が速くなって行く。11回転、12回転、どんどん速くなる。20回転、30回転、50回転、100回転。」

明らかに様子が変わってきました。

「そしてどこかで突破段階に入る。勢いが勢いを呼ぶようになり、回転がどんどん速くなる。弾み車の重さが逆に有利になる。1回転目より強い力で押している訳ではないのに、速さがどんどん増して行く。」

この突破段階が俗に言うプレイクスルーポイントです。
明らかに様子が変わってからだけを見ている人には、どのように映るか?
特別な運や素質に恵まれていて羨ましいと思うのかもしれません。

しかし・・・

「どの回転もそれまでの努力によるものであり、努力の積み重ねによって加速度的に回転が速まって行く。1000回転、10000回転、100000回転になり、重量のある弾み車が飛ぶように回って止めようがないほどの勢いになる。」

この先行きの見えないプレイクスルーポイントを突破するまで諦めずに押し続けることが出来るか否かが飛躍できるか否かの分かれ目です。
そして、このプレイクスルーポイントを超えることで、価値観であるマインドセットが変わります。

この弾み車の概念は、守破離の概念に通ずるものだと考えます。

守破離(しゅ・は・り)とは、武道などの修行の際に用いられる言葉で、最近ではスポーツやビジネスでも多用されるようになりました。

とは、基本であり、なかなか成果に通じない地味な反復であったりします。

とは、応用であり、身に着けた基本を糧として、より高い次元の取り組みにもチャレンジできるようになります。

とは、独自の価値であり、基本と応用があってこそ、生み出されるものです。

ここに、無から離に飛躍することはありません。
守を積み重ねたからこそ、破に取り組むことができるのであって、そこでの経験から離につながるのです。
決して、短期間で容易に離に到達することはありません。

業績の良い企業や部署、仕事のできるビジネスパーソンを見て、それが特別な運とか素質に恵まれているからだと決めつけている人がいるかもしれません。
確かに稀にそのような人もいるのかもしれませんが、再現性はありません。
多くは、他人が何もしていない時に、人知れず、重い弾み車を押し続けていた成果なのだと思います。

決して特別な一押しで、弾み車が勢いよく回転することはありません。
そして、さらなる飛躍を望むなら更に、勢いを付けて押し続ける必要があります。
また、仮に現状維持で良いと思っても、押すを怠ってしまえば、弾み車はたちまち減速してしまいます。

成長を望むのであれば、弾み車の概念を大切にして行きたいですね。

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