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生徒さんの所属中学校との連携


以前、「自宅フリースクールのはじめ方」https://note.com/wacotanabe/n/n16224d5769bf

の記事の中でも書いたとおり、私は

1.学習支援

2.生徒さんの所属中学校との連携

以上2点に軸をおいたフリースクールを運営しています。

【2.生徒さんの所属中学校との連携】について具体的に申し上げますと、

①生徒さんの生活・学習状況についての学校様へのご連絡(毎月)

②校長先生、担任の先生、相談員さんとの面談(1~3カ月に一度)

等をさせて頂いています。

【②校長先生、担任の先生、相談員さんとの面談】については、学校様の体制や先生方のお考えによって頻度は様々です。

月に一度、生徒さんの学習と活動報告書を直接学校様にお届けに上がることにしているので、その際に「校長先生、担任の先生にご挨拶させてください」「相談室に寄らせて頂いてもいいですか?」とお願いをして生徒さんの様子をお伝えすることが多いのですが、「忙しくて対応する時間がないから書類だけ郵送して」という学校様もあります。

一方、相談員さんや校長先生自らが「面談の機会を設けませんか?」と言って下さる熱心な学校様に関しては、お言葉に甘えて何度も学校にお邪魔し、たくさん面談の機会を頂くようにしています。

このように私のようなヨソモノをあたたかく迎え入れて下さる学校様も多く、スクールオープン当初は心臓ドキドキバクバクだった学校様訪問も、今では私にとってウキウキと楽しいイベントとなっています。

昨日、すごくすごく嬉しいことがありました。

ふと電話に目をやると、生徒さんの在籍している中学校の校長先生からの不在着信が。

「もしかして、この前校長先生にお届けした書類に不備があったのでは…」

「私はまた何かやらかしたか…?!」

と悪い想像が膨らむ一方。

呼吸を整えて、覚悟を決めて折り返しのお電話をしました。

数コール後、事務の方が出て下さり、校長先生につないでいただくと…

「おぉ!こんにちは!すみませんね!」

と、いつもと変わらず、電話越しでも笑顔が目に浮かぶような校長先生のお声。

私の方はまだ緊張が解けぬまま。

「お電話出られず申し訳ありませんでした…。」と恐る恐る詫びると…。

校長先生「いや~、この前ね!〇〇くん(※うちの生徒さん)が学校に来たんだよ!何とか時間を作って、やっと本人と長い時間、話ができたんだ!」

私「・ ・?」

なんと、私のスクールに通っている生徒さんが学校へ登校できた日に校長先生自らが時間をつくり、この子と一緒にアクティビティ―やお勉強をして下さったとの事。

これまでも、この子が学校に顔を見せた日にはわずかな時間でも彼の過ごしている部屋をのぞいたり、声をかけたりと、1年間かけて少しずつ距離を縮めていってくださった校長先生です。

このお電話で、校長先生は10分程にわたって、この生徒さんと過ごされたおよそ1時間の出来事について、楽しそうな声で詳しくお話して下さいました。

先生のお話が終わる頃、「で、本題は何だろう?」と思ったその時。

「じゃ、そんなわけで」と校長先生。

えーーーーーーーーー!!

このお話のためだけに、ご多忙の中わざわざお電話をくださった模様!

あまりにも嬉しくて、「感激しています」とそのままの言葉を伝えたところ、さらに校長先生は次のように続けられました。

「そうだよ。いつもでぃありす上尾からの報告書、ありがとうね。あれは本当に助かるからね。たまにはこうやって、こっちからも報告しないとね。

文科省からの19年度10月の通知にもあったとおり、今日本の不登校支援の体制は転換を迎えている。

だから、学校もしっかり変化に対応していかないとね。

フリースクールさんとか、学校外の組織とも連携していかないとね。

生徒を奪い合うのでもない

押し付け合うのでもない

一緒にやっていくことが大切だよね」

と。

このお言葉を聞いた時、なんと救われ励まされたことか。

今まで、いろんな校長先生や担任の先生、相談員さんとお話をさせて頂いてきました。

多くの先生方は大変あたたかく迎え入れてくれましたが、

ごく少数、「うちの生徒はうちの学校のものだ」「出席の扱いについては検討はするが、その結果を我々からフリースクールに報告する義務はない。あなた達には今後報告も情報も入れない」と初めましての段階からバリバリの防御態勢の校長先生もいらっしゃり、日本の不登校支援の理想と現実の差に愕然とする出来事もありました。

驚きとも怒りともつかぬ感情でいっぱいになりましたが、正直我々としては、日々謙虚に研鑽を積み、小石を積み上げるように信頼を築くことしかできませんでした。

孤独な気持ちにもなりましたが、とにかく地道に日々の支援と連携に1年間取り組んできました。

その末の、ある校長先生からの「生徒を奪い合うのでもない、押し付け合うのでもない。一緒にやっていくことが大切だよね

とのお言葉。

あぁ、なんだかとても報われた気持ちになりました。

何より、子ども達の成長を一緒に喜んで下さる人がいる喜び。

フリーランスで教師をやっている身としては、これほどありがたい存在はありません。

フリースクール=学校の敵ではない。

学校やご家庭には、フリースクールを最大限にうまく利用してほしい。

私たちは「子ども達の自立」という共通の目標に向かって

学校の”外”にいるからこそできる役割を

子ども・家庭・学校と協力しながらやっていく、チームの一員なのだ

ずっとモヤモヤと抱いていたこんな想いを、初めて丸ごと受け止めて、認めてもらえた気持ちになりました。

校長先生、この1年間のしめくくりに、これ以上ないお褒めの言葉をありがとうございました。

子どもの頃、学校で大好きな先生に「がんばったね」と褒められた時のような気持ちがよみがえった出来事でした^ ^

今回お電話をくださった校長先生をはじめ、上尾市の学校、教育センターの先生方は本当に温かい方々ばかりです。

本当に上尾市に来てよかった、心からそう思う事ばかりの一年間でした。

学校・教育センター・フリースクールそしてご家庭

それぞれがうまくつながったとき、

上尾市は何か子どもたちの大きな力となるような、すばらしい変化を発信する源になるのでは?と、漠然とした予感すら抱いています。

大きな変化が起こるその日まで、

自分にできる小さなことを、謙虚に、まっすぐ、着実に。

来年度4月からも、初心を忘れることなく頑張りたいと思います。

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