短編:夢見る乾燥とベッド
キスをされた夢を見た。飛び起きた。夢とも似つかぬリアルさに寝汗がすごい。寝覚めの悪い私にしては珍しく、ハッと目が覚めた驚き。えもいわれぬ焦燥感のお蔭だろう。
何故か、左胸が激しく脈を打っている。唇の妙にリアルな感覚に起因することは確かだが感情的な動機は理解できなかった。恐怖か高揚かもわからぬが、ただ後ろめたさだけはどこか覚えている。しばらく心臓が落ち着くまでレースのカーテンの隙間からこぼれる白く濁った太陽光を見つめていた。すぐ横にいる男は今の私の心の動揺など一切知らず、小さ