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【初心者向け】マーケティング・コミュニケーション入門はこちら

良いコミュニケーションをつくることは、ブランドや企業のコミュニケーションのアウトラインをとりあえず頭に入れて、俯瞰してしまうことが近道です。

今回はマーケティングコミュニケーションのアウトラインをお伝えします!


コミュニケーションがブランドを築く


マーケティング・コミュニケーションとは、企業が販売する製品やブランドについて「消費者に情報を発信することで説得、想起をさせる手段」です。

そして企業はコミュニケーション施策によって「ブランドと消費者との関係性の構築」が可能です。
過去には、Google創業者が「Execution(実行)にしか価値はない」と発言しましたが、消費者の目に実際に触れるものは、製品パッケージや広告です。
つまり、あなたの打つコミュニケーション施策は短期的な売上のみではなく、タッチポイントとしてブランド資産も同時に作られているということです。

夏、青い空、白い雲、青春。「渇きにポカリスエット」の
ブランドイメージをTVCMでつくりあげた
「サードプレイス」を軸に、店舗出店や新メニュー、店員の接客などの
コミュニケーションでブランドを築いた

ブランド・エクイティ(資産)構築は、マーケディングコミュニケーションによって下記~④を築くことが可能です。なぜならブランドとは「生活者の頭の中にあるイメージ」だからです。

レベル「ブランド認知」 
ブランドが知られている状態
レベル②「ブランド・イメージ」
基本性能や特徴、世界観や印象など、ブランドに関する意味やイメージ
レベル③「ブランド・レスポンス 」
良い悪い、好き嫌い、購入意向といった、ブランドに対する反応。理性的、感性的な評価
レベル④「ブランド・リレーションシップ」
 ブランドとの絆やつながり、共感、同調

重要なことはあなたのブランドの立ち位置としては、どのレベルに対してアプローチすることが有効かを理解して、コミュニケーション施策を行うことです。例えばユニクロや丸亀製麺、USJなどの企業名を知らない人はほぼいないはずです。そこに対して認知率をさらに引き上げようという施策は伸びしろが薄いため、ナンセンスです。ブランドを飛躍させるために、何が有効なコミュニケーションか理解することが重要です。


企業のマーケティング・コミュニケーションの種類

企業が実施できるマーケティング・コミュニケーションは大別すると、「➀広告」「②販売促進(SP)」「③イベントと経験」「④PR・パブリシティ」「⑤人的販売」「⑥ダイレクト・マーケティング(DM)」の6つとなります。

前述の通り結果的に、これらのコミュニケーションによりブランド資産が構築されます。必然的に、販売促進とブランドづくりを同時に行っていることを忘れてはいけません。

「➀広告」

マス4媒体 (新聞、雑誌、ラジオ、テレビ) 
・インターネット、SNS広告
・電車やバスなどの交通機関内の交通広告
・屋外広告(看板、ポスターなど)
・シネアド など

最大の特徴は「媒体を通じて伝達されるメッセージ」であることです。生活者のブランド認知の大半はTVCMやSNS広告といったメディア接触でつくられています。➀メリットは枠を買えば露出が約束されること。②訴求内容を企業の方でコントロールできること。デメリットは、いわずもがなコストがかかることです。テレビなどは、リーチ数が多い都市圏ほど高額になります。

【15秒CM放映費(1本あたり)】  https://liskul.com/tvcm-cost-29170を参考に作成。

一般的に人は知らないものを買うことはできません。また人には損失回避の心理があり、認知率が下がることは購買リスクを引き上げることになります。特に、購買リスクが少ない飲料・食品、洗剤などの最寄り品は、認知率が売上に大きなインパクトを与えます。

忘れられた、知られていない商品を商品棚に置き続けるほど、流通サイドも優しくありません。スーパーやドラッグストアの棚を守ることにも認知率は重要です。

そして、商圏エリアも媒体設定に影響を及ぼします。例えば、住宅などの不動産や店舗ビジネスは地理的制約が強いです。エリアやターゲットを絞った、チラシ広告やSNS広告、直接的なDMが行動喚起に有効でしょう。

ターゲティングは一般的にしにくいものの、とはいえ「よりスピーディーに、より多くの生活者の認知をつくる」には未だマスメディアは王道です。

「②販売促進」

※「セールスプロモーション (SP)」ともいわれます

・割引、クーポン施策 
・景品添付(ベタ付け) 
・カード会員向けのポイント付与 
・プレゼントキャンペーン
・イベント など

販売促進の最大の特徴は、消費者の「購入意欲を即座に高め、購入を促すこと」が可能な点です。消費者が今買うことが得だと思わせる「インセンティブ(誘引)」を用意することで、即時的な購買行動を促します。短期間の売上形成においては効果を発揮しやすいため、企業が取り組みやすい手法です。また、小売りはスマホの普及によりクーポン施策などにより取り組みやすくなっています。


一方、デメリットもあります。
継続的に購入意欲が持続するとは限らない。
②頻繁に行うと、値下げされたときにしか購入されなくなる
③安っぽいブランドとみなされる可能性がある など

割引やプレゼントはポイントで行われるからこそ、希少性に価値が生まれ、一気に購入意欲が引き上げられるのです。

なお、有名ブランドが年間30%以上の期間、販売促進をすることはリスクがあるとされています。ブランディングとしての「長期的な目的とSPとしての短期的な目的」のバランスが重要です。商材特性やブランドイメージに合わせた実施が求められるでしょう。

「③イベントと経験」

・ 展示会
・ 見学会
・プロモーションイベント、サンプリングイベント
・記者会見 など

イベントとは、ターゲットに対して「ブランドのメッセージを伝達するための催し」です。「新製品を知り、理解してもらう」、「企業やブランドに対して好意的な態度を抱いてもらう」「PRとしてメディアにとりあげてもらう」など働きかけます。

正直、リーチの観点だけから見ると非効率です。マスメディアに比べ「1人当たり到達コスト」が低い点はデメリットでしょう。
しかし、イベントの特徴は「認知~理解~体験」まで一気に到達できることです。商材によっては購入まで到達可能です。(流通向けイベントなら、商品取扱いにもつながります。)広さはないが、深さがあるということです。

【補足として、有効なエビデンスを紹介】
キッザニア創業者のハビエル・ロペス氏が「エクスペリエンス・ピラミッド(経験ピラミッド)」として紹介した内容です。一般的に「人間は読んだものの10%しか覚えていないが、自分で体験したことは90%覚えていられる」というものです。

https://www.advertimes.com/20161025/article236778/  より

人が一般的に覚えている確率(メディアチャネル)
「文字を読む行為」10%(新聞、雑誌、メール)
「言葉を聞く行為」20%(ラジオ)
「視覚で見る行為」30%(テレビCM)
「聞くと見る両方」50%(ビデオプログラム)
「話したり書く」70%(インターネット)
「体験すること」90%(体験)

影響を与える人数の広さは少ないですが、深い認知をつくれることが強みといえます。ここでの示唆は、一過性の集客だけ考えるのではなく、深いブランド体験の一つとして捉えることで、ブランディングをより優位に進めることができるということです。

「④PR(パブリック・リレーションズ)、パブリシティ」


「Public Relations」は広報活動、または略してPRと呼ばれます。
広報活動(PR)
「株主」「取引先」「一般消費者」などあらゆるステークホルダーに対して自社の情報を提供し、 適切な関係を保とうとする活動です。

ひとくちに企業といっても「投資対象、求職対象、取引対象、購買対象」などあらゆる面があります。簡単にいえば、「価値ある企業」と思われるポジションを築くことで、ステークホルダーと良好な関係性をつくることで企業活動を優位に進めることができるのです。

単にモノが売れたらよいわけではなく、企業はこの「価値ある企業」になるために「ブランディング」を行うわけです。

企業ブランド価値ランキングより
https://gigazine.net/news/20151006-global-brands-list-2015/

②パブリシティ
メディアに対する情報提供を介した、公衆への情報発信手法であるPR活動の一種です。
王道の手法はプレス・リリースの送付で、TVや新聞などの報道機関に情報を提供し、記事やニュースとして企業活動や自社商品・サービスの情報を無償で報道してもらうための広報活動です。

メリットとしては、➀媒体がニュースとして取り上げてくれれば、金銭的な負担が少なく社会に周知されることもありえること。そして最大の効果は②「第三者」が取り上げることにより、「信頼度」が高い情報が伝わることです。信頼度が高いことで、マーケティング指標としては、「好感度」「購入意向」が高まりやすいことです。

逆にデメリットは➀「発信内容を企業側でコントロールできない」ことです。出目をコントロールできる広告と逆の位置に存在するといえます。
②「媒体側の一存によって露出が決まり、掲載されるか不明なこと」です。正直「博打」な一面もあり、固く認知を積み上げるには確実に露出される広告と組み合わせながら、PR活動を行うことが得策と考えます。

あと勘違いされがちですが、「PRはお金も手間もかかるよ」と株式会社GOの三浦崇宏氏も仰っています。

「⑤人的販売」

消費者に対して、営業マンや販売員が直接「製品情報を提供し、 購入意欲を増すように働きかけ、説得する行動」です。

・営業マン
・販売スタッフ
・訪問販売
・ホテルスタッフ
・スーパーマーケットのマネキン・試食員
・コーヒーショップなどの店舗スタッフ
・住宅展示場スタッフ など

人的販売の特徴は「媒体を通じて情報を伝達するよりも即時的な効果が期待できる」ことです。
一方でデメリットは、情報伝達力や販売サポート力など「個人の能力」によって成果が大いに左右されることです。そのため、販売スタッフは消費者や顧客と 良好な関係を築けるエキスパートとしての教育訓練を受けるのが一般的です。

スタバスタッフは「サードプレイス」の実現に向けた、接客教育を行う

【補足】
当たり前すぎて見落としがちですが、「良くも悪くも個人の能力に成果が左右されるという点」は重要です。マーケターはぶれやすい変数を信用してはいけません。なぜなら「人のブレ」など簡単に起きてしまうからです。逆説的には、人のブレを解消する仕組みづくりが求められます。

マーケティングは「商品が自然と売れる、売り込みが不要となる仕組み」を作ることが原理原則です。
例えば、まず考えられるのが➀「教育体制・マニュアル」の整備。
②他にはない魅力的なコンセプトの「製品」「店舗レイアウト・販売場所」といった強い武器を持たせることでセールスが優位に進めることも一手。
③広告を大量出稿するので、商品の大陳列をさせてくれませんか?などの商談手法もあるでしょう。

「⑥DM(ダイレクト・マーケティング)」

DMは「ターゲットを絞った消費者と直接的にコミュニケーションを行い、 反応や対話を求めるもの」です。

・ダイレクトメール、ダイレクトメッセージ
・カタログ送付
・オンラインショップ
・テレマーケティング など

ダイレクトという名の通り「個人」を対象として、それぞれのセグメントに異なる情報を発信することで、個々の趣向に合わせたプロモーションを行うことができることがメリットです。

コンビニやスーパーなどの開かれた流通が求められるマス向けの食品や飲料などには不向きです。しかしカバレッジは狭い分、対象を絞りやすいという強みがあります。

幅広い顧客層を狙うよりも、特定のエリアや、特定層にダイレクトに訴求することが有効な商材にはDMは効果的です。

➀「高単価商材」
②「エリア特定できる、店舗型ビジネス」
③「リピーター」
④「特定のお悩みを持つ購買層」
⑤「特定の関心・趣味嗜好を持つ購買層(マニアなど)」
⑥「toB向け商材」 など

スマホの影響で顧客データの吸い上げや顧客リストの管理も容易になったため、より顧客の維持と獲得にDMが有効活用できるシチュエーションも増えました。サブスクアプリなども、広告とDMを使い分けることで新規層の獲得と顧客ストック・リピート維持を行っています。

特性が違いを理解できればOK


トリプルメディアのコミュニケーションモデル

トリプルメディアとは、コミュニケーションツールの持つ特性を「企業のコミュニケーション活動における役割」という観点から整理したものです。ここでは、消費者を自社と価値共創するためのサポーターとすることが提案されています。

トリプルメディアのコミュニケーションモデル

【種類】
ペイドメディア
・テレビや新聞のように企業が料金を支払って(paid)利用するメディアです。「企業・ブランドから消費者へのコミュニケーション」ではペイドメディアが有効とされています。

②オウンドメディア
カタログや企業サイトのように自社で所有している(owned)メディアです。サポーターが価値共創において取り組むコミュニケーションでオウンドメディアが有効とされています。

③アーンドメディア
TwitterやInstagramのように消費者が自発的な情報発信に用いるメディアであり、ブランドについての評判を得る(Earned)ことを期待される。サポーターが消費者のなかに評判を伝播させるコミュニケーションではアーンドメディアが有効とされています。
(例)
Twitterで、「A商品、良かった。皆にもおすすめ!」といった投稿がされる

【目標】
トリプルメディアでは、それぞれの目標を下記のように定義しています。

ペイドメディアを通じて、消費者にとって企業・ブランドが「自分事化(Relevance)」される。
自分の悩みの解消や、喜びを増やしてくれる自分の向けのモノやサービスということを理解させ、自分ゴト化させるコミュニケーションを志向します。

②オウンドメディアを通じて、企業・ブランドとサポートとの間で関係性が強化される(Relationship)。知っている、興味を持っている商品やサービス、企業について、「理解する」「好きになる」「欲しくなる」といった態度や気持ち、ファンをつくっていくことを志向します。

③アーンドメディアを通じて、サポーターが知りえた情報や評価が消費者に評判(Reputation)として伝えられる。商品やサービス、企業について、メディアよって報じられる、ファンや購入者にSNSでオススメの投稿されることで、新たな消費者に評判として伝播され、購買行動などにつなげることを志向します。


今回は以上です!
~最後までお読みいただきありがとうございました~


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