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空中ブランコ

毎日お料理をするのでレパートリーが当然増え
楽しく没頭が出来る

小さい頃から良くお料理のお手伝いをしていた
両親は共働きだったので
朝に母が仕込んだ物や
用意された食材で夕飯を作った

毎日忙しそうな母は朝ごはんにお弁当に洗濯と
バタバタこなしながら夕飯これでお願いね
と、化粧も途中で出ていく
信号待ちの車内で口紅を引く母の姿が想像出来る

学校から帰ってきてから、部活終わってから
遊んで帰ってきてから

夕飯の準備が義務にも苦痛にも感じた日は多分無かったと思う
今となれば子供の頃から料理をさせてもらえた事にとても感謝している



思い出せるのに
母の味をもう二度と食べる事は出来ない

ふと、
これお母さんが作った唐揚げの味がする!と急に蘇り懐かしくなる事がある
日曜日のちびまる子ちゃんを見ると暖かい鱈の入ったお鍋を思い出す
好きだったハンバーグのソースを思い出してみたり
じゃがいもの入った具だくさんのお味噌汁の味だったりいろいろ思い出される

味ももちろんだけど
お母さんが作ってくれたという温かさと
そばに居る安心感や愛情いっぱいが心嬉しい
満たされる

これを含めてお母さんの味だったのね

今自分も、毎日料理をして子供達と食べる
今日の夕飯何?
美味しそう!
美味しい!
また作って!

とても嬉しくて心も嬉しい
満たされる

かつての母の味は私が継承して
私の味になり子へ向かっている

たまにどうしようもなく母のご飯が食べたいと
思う事がある
誰かが作ったご飯っていいな

私も食べたいな

高熱を出した時お盆に乗せてお母さんが
ご飯を部屋に運んでくれた
温かくてどんな薬より効くと思った

お母さんが帰ってきて祖母と喧嘩して
泣きながらご飯も食べず部屋に行ってしまった日
私がおにぎりを作って持って行ったら
とても喜んでいた

私もたまにお母さんのご飯が食べたいな

二度と叶う事のない願望
左右どちらの壁にも当たらず
空中ブランコに乗せたまま揺れている

為す術は無い

自分の中で分かりやすい物を例にしてみたが

このようなどうしようもない願いや思いは
どこかで終わりが来るのだろうか

たまに顔を出して心揺さぶって帰っていく

空中ブランコに乗せたまま
永遠に揺れ続けるしかないのだろうか

いつまで私は過去ばかり見ているんだとウンザリ










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