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神戸でジャズに酔いしれる

大正12年、神戸。
日本で初めてプロバンドがジャズを演奏し、のちに神戸は「国内のジャズ発祥の地」といわれるようになった。
今もジャズが盛んだ。

毎年10月には〈神戸ジャズストリート〉が開催され、パレードを皮切りに、ライブハウス、ホール、教会などでステージが繰り広げられ、ジャズのはしごを楽しめる。
全国あちこちで開催されているジャズストリートの嚆矢であり、多くのジャズストリートが神戸を参考にして作られている。

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画像2(©神戸ジャズストリート公式)

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神戸にはジャズレストラン、ジャズバー、ジャズ喫茶がとにかく多い。
ライブ演奏あり、レコードありで、その数たるや、ジャズ業界人をもうならせるほど。
なかでも有名なのは、神戸のジャズ界を牽引してきた老舗のジャズクラブ〈ソネ〉だ。

画像3〈ソネ〉(©月刊神戸っ子)

昭和44年に開業した〈ソネ〉では、サックスの渡辺貞夫、トランペットの日野皓正といった日本を代表するプレイヤーを育てたという。
今でも若手からベテランまで数々のプレイヤーが毎夜生演奏を行っていて、ジャズを聞きながら、優雅に食事を楽しめるのだ。

画像4〈ソネ〉のジャズライブ(©月刊神戸っ子)

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ステージまではまだ少し時間があるようだ。
まずはのどを潤し、腹をこしらえる。

画像5(左上から)サイドカー/オーガスタセブン/オードブル
アレキサンダー/赤ワイン/黒毛和牛サーロインステーキ

お酒も、料理も、雰囲気も、うまい。
舌鼓を打っていると、次第に客が増えてきた。

そろそろ演奏が始まる頃合い。

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おぉっと、柱と頭がジャマすぎるっ!
オーガスタセブンを飲んでいた頃は前に誰もいなかったのになぁ。

でもそれほど広くない店内は、ピアノ、ベース、ドラムの音色に包まれて、照明をぐっと落とした中でスポットライトが当たるボーカルの甘い歌声が響き渡るから、少々の柱や頭は気にならない。
そもそもこの柱がなければ震災でやられていたと聞けば、柱さまさま、文句など言えるものではない。

プレイヤーたちの息づかいが間近で聞こえるような距離感。
テクニックにしびれ、ほぼアドリブという絶妙な間合いに感嘆しながら、心地よい夜の大人の時間が、過ぎていく。

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神戸観光は大阪のついでに日帰りで十分という説が広く流布していて、神戸のホテル業界は嘆いているらしい。
神戸に足を運んだら、ぜひ〈ソネ〉を1日の終わりに訪れて、余韻を耳に1泊してほしい。
朝はまた、港に昇る朝日が心地よい目覚めを約束してくれるから。

(2021/7/17記)

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