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安定した料理こそ、まさに庶民的なB級グルメ

愛媛に住んでいたのは1999年から2017年にかけて。
ちょうどその頃、世の中でいわゆるB級グルメブームが巻き起こった。

もともとB級グルメは、A級より1級下の料理を意味する言葉だったが、安価でうまい庶民的なものを指して言うようになった。
その後さらに、地域でよく食べられているものを指すようになり、ご当地グルメ的な意味合いに。

2006年からB級グルメの日本一を決する「B-1グランプリ」が開催され、その言葉は一気に全国に広まった。
僕が愛媛にいたのはその頃だ。

愛媛のB級グルメの代表格が今治の〈焼豚玉子飯〉。
ごはんに甘辛タレがかかり、焼き豚と半熟の目玉焼きが載る。
卵を崩しながら焼き豚、ごはんと絡めてハフハフ食べるヤツだ。
その昔、中華料理店のまかないとして出されていたものを、独立した店主がメニュー化したといわれる。

前職で村おこしの品を全国で売り歩く中、ある百貨店で向かいのブースが焼豚玉子飯になり、実演していたのがその店主だった。
「食べたことなかったら一回食べてみて。お代いらんから」
もう夕方だったが、休憩時間も取れずに朝からぶっ通しで立っていたので涙が出るほど嬉しく、でも交代がいないから販売台の陰にしゃがんで食べたその焼豚玉子飯のうまかったこと。

そんなことをぼんやり思い出していた昨日の午前中、突然食べたくなった。
今治は遠くて行けないが、ちょうど日曜だし作っちゃえ。

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焼豚はいっぱいに敷きつめるのが正式だが、ケチってみた。
だってお値段高いので。
目玉焼きは二玉載せるのが正式だが、一つにしてみた。
だってコレステロール高いので。

これはやっぱりうまい。
味は…焼豚+目玉焼き+タレ+ごはんと聞いて誰もが想像するその味だ。
こういう安定した料理こそ、まさに庶民的なB級グルメ。

しかし、グランプリ優勝を狙って新メニューを開発する動きもあって、B級グルメが指すものはどんどん変容している。
そういうの、僕は賛成しかねるけど。

***

土曜の昼は、どん兵衛を久しぶりに食べたくなって買いに行った。

画像1どん兵衛 天ぷらそば、108円

と突然、そのまま作ってもいつもと同じじゃないかと悪魔が囁いた。
僕はその声に従い、ゆで麺のそばも買った。

画像2ゆで和そば、28円

麺の入れ替えをしてみたくなったのだ。
どん兵衛の麺は水で洗って盛りそばに(↘)、ゆで麺はどん兵衛に(↙)。

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ゆで麺が違和感なく食べられるのは予想どおりだが、インスタント麺のどん兵衛が麺だけでも食べられるレベルだったのが驚きだ。
こんな実験、何の役に立つかは知らないが。

日曜に突然B級グルメという言葉を思い出させたのは、前日のこの実験のせいかもしれない。

(2022/2/7記)

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