見出し画像

第5回 ぐるめぐる神戸

昨日〈ぐるめぐる神戸〉を開催した。
毎回異なるテーマに基づいて、神戸のうまいものを食べ飲みし、解説しながら街歩きを楽しむ会。
早いものでもう第5回だ。

今回のテーマは「神戸洋食/神戸スイーツ」。
開港以来150年、神戸には名だたる洋食店、スイーツ店がずらり。
そんな数ある名店の中から僕のチョイスでご案内。
旧居留地の散策もセットにした。

参加者に配布した〈旅のしおり〉

今回ご参加いただいたのはこちらの3名だ。

ちなみさんは昨日が初めましてだった。
ぐるめぐるに新しい方が参加されるのって、やっぱりめっちゃ嬉しい。

前日まで1週間も降り続いたノアの箱舟のような雨は一転して上がった。
週間予報を睨みながらずっとヤキモキしてきたのが嘘のよう。
集まったみなさんから、へんいちさん持ってますねぇと言われるが、いえいえ、みなさんの日頃の行いの賜物に違いない。

まずは市役所へ。
え? ぐるめぐるやろ? なんで市役所?
実は神戸市役所は24階が無料展望ロビーになっていて、120mからの眺望を楽しめるのだ。
今日歩くエリアをまず最初にざっと上から見下ろそうという狙い。
長らくワクチン接種会場になって閉鎖されていたが、最近ようやく展望ロビーとして復活したのだ。

いやぁ、雨上がりの晴天は眺望には最高の条件だった。
海側(南側)はこちら。

海側)東遊園地、フェリーターミナル、ポートアイランド、神戸空港を望む

山側(北側)はこちら。

山側)目抜きのフラワーロード、鉄道各線三宮駅、北野異人館、六甲山系を望む

やっぱり海、山が近い!

続いて1Fロビーでスライドを使って神戸洋食・神戸スイーツについて解説。

昨日使用したスライド

予習してからのほうが、洋食もスイーツもぐっと味わいが増すだろうから。

みっちり学んでから伺ったランチは、創業1933年の〈グリル十字屋〉。
3日かけて仕込むデミグラスが絶品の老舗だ。

グリル十字屋(写真は別日に撮ったもの)

店の前にはすごい人だかり、2時間待ちくらいのウェイティングだった。
あぁ予約しておいてよかった…

一歩足を踏み入れた瞬間、タイムスリップするかのような半地下の店内。
予習のおかげか、全員一致して頼んだのが「シチュービーフ」。

グリル十字屋「シチュービーフ」

トロントロンのビーフはナイフ不要。
デミグラスはあくまでサブだけど、実はメイン?というほどしっかり深みのあるソース。
昼から贅沢させてもらった。

店を出て訪れたのは東遊園地。
遊園地と聞けばジェットコースター、なのだが、この東遊園地は公園だ。
明治の外国人居留地の東に設けられた外国人のための運動公園であり、ここからサッカーや野球などが全国に広まっていった。
ただ当時はまだ公園という名称がなかったので、遊園地と呼ばれたのだ。

続いてその南にある「日本でいちばん短い国道」174号線へ。
わずか187.1mだが神戸港の物流を支える重要道路として国道になっている。
不動産屋の表記(1分80m)でいけば、徒歩2分強で走破できる国道。

日本でいちばん短い国道

左に写る「神戸税関」は平日なら押収された密貿易の麻薬が展示されてたりしておもしろいのだが、昨日はあいにく土曜日のため見られなかった。

右に写る、旗の立つ建物は「KIITO(旧・国立生糸検査所)」だ。
明治から昭和初期にかけて国の重要な輸出産品だった生糸(絹)の輸出前の検査をする国立検査所だったところ。
その後その役割を終え、現在は神戸市立の「デザイン・クリエイティブセンター神戸」として〈KIITO〉の愛称で親しまれている。

KIITO2F展示室

中はカフェあり、アート系のワークショップありでなかなかの賑わい。
2Fには旧検査所時代に使っていた検査器具が展示されていて興味深い。

続いて向かったのは「海軍操練所跡」。
幕末に勝海舟が創設した幕府海軍の訓練所で、塾頭はかの坂本龍馬。

海軍操練所跡

勝海舟は幕臣だが、幕府の瓦解を予見していた勝の下には倒幕派も多く集まり、結果、幕府から睨まれてわずか1年で閉鎖になった。

ここから町の方へ少し戻って、レトロビルが多く残る旧居留地へ。
現代のビルでは見られない細かな装飾があちこちに施されているのがレトロビルを見るときの最大の楽しみ。

まずは英国チャータード銀行の神戸支店として1938年に建てられたチャータードビル。

チャータードビル

以前ここにはレストランが入っていたことがあり、大きなウォークイン金庫?の重厚な扉の奥にトイレがあっておもしろかったのを覚えている。

旧居留地にはレトロビルが豊富と書いたが、明治期に整備された最初の旧居留地にはこんなビルはもちろんなかった。
当初は外国人が居住する2F建てのかわいい洋館(今でいう異人館)が建ち並んでいたが、その後の時代の変遷ですっかり失われたのだ。
現在、唯一当時の面影を残すのがこの「15番館」だ。

明治の面影を伝える旧居留地15番館

ひっそりたたずむ明治期の洋館と、林立するビルのコントラストが眩しい。

その横には明治5年に整備された「国内最古の下水道」が展示されていて、現在もなお居留地の地下では雨水管として活躍しているようだ。

日本最古、レンガ造りの下水道

ネットで「国内最古の下水道」で調べるとどういうわけか東京都の「神田下水」がずらりと出てくるが、そっちは明治17年やから全然最古ちゃうやん。

商船三井ビルディング。
大正11年、旧・大阪商船(現・商船三井)ビルとして建てられ、現在もなお神戸支店として現役使用中。

商船三井ビルディング

角が曲面を描くビルが旧居留地に多いのは、当時のはやりだったのだろう。
このビルもやはり装飾がいちいち美しい。
大正期建造の大きなビルとしては、東京も失われ、大阪も失われ、この商船三井ビルが国内現存最古となる。

旧居留地を抜け、向かったのは乙仲通。
過去に海運業者「立業」で賑わい、今はその跡の雑居ビルにオシャレな店舗が集まるエリアだが、そぞろ歩きの観光客の多いこと多いこと。
歩いているのが外国人でなくほぼ日本人というところがちょっと嬉しい。

乙仲通の人気パティスリー、いや、今や神戸の三大パティスリーといわれる〈モンプリュ〉へ。

モンプリュ(写真は別日に撮ったもの)

予想していたことではあるが、店内、店外にウェイティング客があふれていたので、各自お目当てのケーキを買ってテイクアウト。

きっと店内で食べるのは無理だろうと思って次の行き先にメリケンパークを用意していたので、そこで海を見ながらケーキをパクリ。
ここは以前、文子さんの青空キャリコンをした場所でもある。

モスラちゃうで、モンブランやで

僕は洋酒のきいたモンブランを、他の3名はなぜか示し合わせたようにタルトタタンを選び、口々にうまいー! サクサクー! しっとりー!と叫ぶうるさい4人組。

海を臨むメリケンパーク南岸には、まるで京・鴨川べりかと見まがうような等間隔の人たちが人生を語り合っていた(想像)。

メリケンパークオリエンタルホテル、レストランクルーズ船〈ルミナス2〉

ぐるりとウォーターフロントを歩いて神戸の海を満喫したあとは、再び町の方へ戻って〈元町ケーキ〉へ。
繊細な御三家のスイーツとは一線を画した、素朴なケーキが並ぶ店。
それもそのはず、店のコンセプトは「子どもを想う母親のおやつ菓子」。
最人気は〈ざくろ〉という名のいちごショートだ。

ざくろ

口に入れるたび、ホワホワー! とろけるー! イチゴ好きー!とまたうるさい4人組。
いや、だってホンマにホワホワとろけるから! イチゴうまいから!

その後、元町商店街や南京町(中華街)、旧神戸証券取引所、三宮神社などをぐるっと散策し、第1部終了。
ここでちなみさんは帰宅され、入れ替わりにHana父さんの奥様が合流。

第2部は元町近辺で飲もうと思っていたが、時計を見るとまだ16:30。
ダラダラと三宮まで歩き、17:00になるのを待って前回のぐるめぐるでRuby✩さんと行った日本酒のスタンドバーへ。
そこで実にいろんな話をした。
実は京都つながりの4人だった、なども明らかになり、世界の狭さを笑う。

朝の早いHana父さんご夫婦はほどよい時間でご帰宅、Ruby✩さんと次の店へ行ったらなんとnoterさんに出会い!
その方は最近note書かれていないので、お名前出してよいか分からず、ここまでにしておくが、もうただびっくり!
こんなこともあるのか!とただただ嬉しくなってしまった。

赤穂・坂越産蒸し牡蠣

最後に行った店で食べた蒸し牡蠣は、兵庫赤穂・坂越産。
べらぼうにうまい。

Ruby✩さんとは、サラリーマン、副業、フリーランスみたいな話を延々と。
何かアドバイスされた気もするし、した気もするが、アカン、いい加減お酒が回ってよく覚えていない。
そういえば前回もよく覚えていないと書いた気がするが…

ぐるめ、そして、めぐる。

ご参加のみなさま、おつかれさまでした。
楽しんでいただけましたでしょうか。
僕はもうとびきり楽しみましたよー!
歩きすぎて右脚のつけねが痛いですが。

次回第6回は6月頃を予定。
次は神戸を少しだけ飛び出して、僕の生まれた明石へも行ってみようと考えている。

また〈アテンド神戸〉というサービスもやっている。
〈ぐるめぐる神戸〉は僕の行きたいところへ行き、食べたいものを食べるグループツアーだけど、〈アテンド神戸〉はお客様のご要望に応じて僕がコースを用意し、いっしょに歩くもの。
そちらは随時受け付けているので、ご興味ある方はぜひどうぞ。

今回ご参加いただいたちなみさんからも、さっそくぐるめぐるぽ(ぐるめぐる+ルポ)をいただいた。
ありがたや。

(2024/2/25記)

この記事が参加している募集

おいしいお店

この街がすき

サポートなどいただけるとは思っていませんが、万一したくてたまらなくなった場合は遠慮なさらずぜひどうぞ!