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世界で最も高価な9種類の食べ物

神戸に来る人に何食べたい?と聞けば、「神戸ビーフ」とすぐ返ってくる。
それほどに神戸ビーフは有名だ。
欧米を中心に海外でも知名度が高い。

神戸ビーフにはブランド和牛の中でもっとも厳しいといわれる基準がある。
兵庫県内で生まれ育った未経産または去勢された和牛を、県内の食肉センターで肉にし、その肉質が基準以上のものに限られるのだ。

江戸末期、開港した神戸に押し寄せた欧米人の欲求を満たすため、農作業用の県産牛を用意したところ、神戸ビーフとして大人気となったとされる。
しばらくは明確な基準がなかったため、1980年頃には何でもありの無法状態となってしまった。
小学生の頃、「神戸牛は佐賀牛です」という佐賀県が作ったTVCMを混乱しながら見たのを覚えている。
このため1983年に厳格な基準が設けられ、2015年には「神戸ビーフ」「神戸肉」「神戸牛」「KOBE BEEF」が、地理的保護制度産品として認定された。

神戸ビーフ、松阪牛、近江牛を日本三大和牛と呼ぶ。
しかし松阪牛、近江牛には産地指定がなく、肉質の基準もない。
どこで生まれたどんな肉質の和牛でも、仔牛の頃に三重県や滋賀県に運んで育てれば松阪牛、近江牛になる。
松阪牛のうち高級なものは「特産松阪牛」と呼ばれるが、これはなんと兵庫県産まれの和牛であることが条件で、肉質の基準も神戸ビーフに似る。
もはや神戸ビーフであり、一般の松阪牛の2倍以上の価格で競り落とされるというから、兵庫県産の黒毛和牛の質の高さは群を抜いているといえる。

やはり神戸に来たら神戸ビーフ、という選択は正しいかもしれない。

***

とはいえ神戸人が神戸ビーフを常食しているなどということは決してない。
米メディアで「世界で最も高価な9種類の食べ物」に選ばれたほどだから。

一度だけ家族で三宮の鉄板を囲んだことがある。
6年前の話である。

明治18年創業、〈モーリヤ本店〉。

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鮮やかなバチ(起し金)さばきでニンニクのスライスを炒めて油に香りを移したあと、いよいよ肉が焼かれる。

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え? もう? と思う間もなく裏返され、6面すべてを焼いていく。
肉の旨みを閉じ込めるためだ。

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小さく切り分けた後も、6面すべて表面だけ軽く焼いていく。

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できあがりは…? ない! 写真がない!
どうやら生唾ゴクリと飲んで、あっという間に食べてしまったと思われる。

ということでネットから借りてきた。(©jetkiryuさん)

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そうそう、こんな感じで供される。
油に香りを移したニンニクはカリッとフライドガーリックになって再登場。

ほお張れば一瞬でとろけ、甘みが口の中に広がる。
そう、これが神戸ビーフなのだ。

***

誰か神戸に来ないかな。
何食べたい?の流れから、またこの美味にありつけるかもしれないのに。

(2022/5/2記)

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