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今日もおいしいアイスコーヒーを

——神戸の人はみんなモロゾフのコップ持ってるんやてー!

モロゾフのコップとは、モロゾフのガラス製のプリン容器のことだ。
見た目にも頑丈なそれは、いかにも使い捨てではなく、ちゃんと再利用してねと言わんばかりの存在感を放っている。

©モロゾフ製菓

神戸の人はみんな、という枕詞はモロゾフが神戸のパティスリーだからだ。
たしかに子供の頃、プリンといえば母の作ったスの入ったプリンか、モロゾフの高級プリンの両極だった記憶がある。
だから、逆に怪しげなプッチンプリンが食べたくてしょうがなかった。

いや、話が逸れた。

今でこそモロゾフは全国のデパ地下に入るナショナルブランドだが、スタートはロシア革命で神戸に亡命してきたモロゾフ氏が創始した。
モロゾフ氏は共同経営者だった日本人に裏切られて追い出され、今のモロゾフはモロゾフ氏とは無関係だ。
モロゾフを飛び出したモロゾフ氏(ややこしい)はコスモポリタン製菓を興したが、それも今はない。

あぁずいぶん話が逸れた。
どうも神戸の話になると熱が入っていけない。

かくして神戸ではモロゾフのコップを再利用する人が多いという都市伝説が生まれた。
まぁ確かに多いだろう。

しかしこのコップ、頑丈そうに見えて実は耐熱ではない。
モロゾフのプリン製造工程では蒸し焼きプロセスがあるが、それになんとか耐えられる程度で、正式に耐熱を謳う容器ではないというのだ。
急な温度変化には耐えられない可能性があるので、水を飲むか、蕎麦ちょこにするかくらいが安全。

突然だが、マーロウ(神奈川)のビーカープリンをご存じだろうか。

©マーロウ

神奈川や東京にしかないローカルなプリン。
素材にも製法にも妥協のない焼きプリンがうまくないはずがない。

そして名前にあるとおり、容器は目盛りが入ったビーカー仕様。
何より耐熱なので、レンジだろうが煮沸消毒だろうが何でもござれだ。
素材は実験器具の本家ビーカーとまったく同じで、とにかく薄くて軽い。

©マーロウ

この容器を再利用しない人はいないだろう。
計量カップとしても使え、1/3、2/3カップの目盛りまであって超便利。
たとえばラム50ml、炭酸100mlでモヒート!なんかによくない?

うちでもまれにモヒートしちゃうが、いつもそんなオサレなものを飲むわけもなく、多くはソフトドリンク使い。
アイスコーヒーやアイスティーは多めの氷に熱々のコーヒーや紅茶を一気に注いでこそうまいのだが、耐熱ゆえの安心感。

©へんいち

台風のおかげか、朝晩すっかり冷えるようになってきた。
でもまた10時くらいになると耐えがたい熱帯の暑さがやってくるだろう。
そしたらマーロウ、君の出番だ。
今日もおいしいアイスコーヒーを楽しませておくれ。

——横浜の人はみんなマーロウのコップ持ってるんやてー!

(2024/9/1記)

チップなどいただけるとは思っていませんが、万一したくてたまらなくなった場合は遠慮なさらずぜひどうぞ!