見出し画像

香港の小売売上高、12ヶ月連続の前年割れ

2020年3月2日に香港政府が小売売上高の動向について、プレスリリースを出しましたので、紹介したいと思います。

***

2020年1月の小売売上高合計は370億香港ドルと推定されましたが、前年同月比(金額ベース)で21.4%減でした。(数量ベース23.0%減)

なお、2019年12月の小売売上高合計は前年同月比(金額ベース)19.4%減です。2019年通年では、前年比11.1%減の4312億香港ドル(約6兆円)です。

逃亡犯条例改正案に対する抗議活動の長期化、さらには、旧正月の新型コロナウイルス感染拡大の影響も重なり、12ヶ月連続の前年割れとなりました。

香港政府は、「小売売上高の短期的な見通しは、新型コロナウイルス感染の状況がどのように展開するかに決定的に左右される」とコメントをしています。

***

Bloombergのグラフ(香港の小売売上高合計の前年同月比推移)を引用すると、以下の通りでした。

画像1

図 香港の小売売上高合計の前年同月比推移

ずっと右肩下がりというのは、駐在していた身からしても、実感通りです。香港政府のプレスリリースでは、セクター別の売上も紹介されていますが、スーパーマーケットの売上高は、10.2%増だったようです。米・即席麺などの主食、マスクやトイレットペーパー、消毒液などの日用品の爆買いがあった影響でしょうか。確かに、スーパーマーケットには長蛇の列ができていたので、これも実感通りです。

香港政府のプレスリリースを元に、セクター別の値を整理してみましたので、参考になれば嬉しいです↓

スクリーンショット 2020-03-03 19.54.43

宝石・時計・貴重品の下げ幅が大きいです。新型コロナウイルスが蔓延している中、贅沢品を買う人は少なかったと思います。ブランドショップの店員は、無給休暇を言い渡された、という話も聞きました。平時は、香港ではブランドショップが人気なのですが、今回は逆境です。ブランド品を扱う店で有名な、周大福は、来年度約2割に当たる、15店舗を閉鎖することにしたようです。

デパートや衣料品も苦戦しています。一方、食品などの必需品は、スーパーマーケット以外でも下げ幅はマシでした。

***

表作成の元にした政府発表データおよびBloombergの参考記事は下記の通りです↓

***

今回は、経済ネタで書いてみました。駐在してみると、統計データと実感の両方から現地の様子を考察できて面白いです。また、ニュースも紹介していきたいと思います。外食店への影響も気になるところ…

***

P.S. その1 アメリカでも、水や米、トイレットペーパーが買い占められているという報道がありました。英語では、Panic buyingというのだとか。中国・香港→日本→アメリカ、とどんどん波及していますね。早く市場に在庫が出回ると良いのですが…
P.S. その2 花崗岩がコロナウイルスに効く、というデマが広まっているようです。メルカリで5,000円で売られていたとか…自分で何でも調べられる時代ですが、やはり大切なのは「情報を見極める力」ですね。みなさんも気をつけましょう!


読んで頂いてありがとうございます!「参考になった」「楽しい内容だった」と感じてもらえたら嬉しいです。頂いたサポートは、今後の記事作成のための調査研究に活用させて頂きます。