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海外駐在をなぜオススメするか

新型肺炎の流行や景気の後退など、暗いニュースが多いですが、こんなときだからこそ、海外に目を向けて、駐在をオススメする理由を書いてみたいと思います。

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1.スキルアップに繋がる

駐在を通して、これからの時代に求められる、3つの能力を向上させることができたと思います。具体的な能力の内容を順番にご紹介します。

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①マネジメント力(事業や組織の運営能力)

駐在中は、日本で働いていたときよりも職位が上がる場合が多いです。日本のような階層型の組織ではなく、社長との距離も近いです。

そのため、個人の裁量が大きく、自ら意思決定を行い、事業や経営を担うことになります。私の場合、取引先との交渉や本社との調整をある程度一任してもらえ、自分の判断で進めることができました。同年代と比べて、マネージャーと同等の経験を一足先に積むことができると思います。

また、社長など、駐在先の経営陣から直接仕事の進め方(哲学)を学ぶ機会も多いです。特に若手の場合、日本の直属の上司が社長という人は少ないでしょうから、貴重な機会です。どのような判断材料からどのように意思決定をしているか、どのような哲学で組織を運営しているか、よくみておくべきです。

後、私の場合、日本ではコンサルタントをしていたので、事業を直接担うことは少なく、企画やサポート業務が中心でした。一方、駐在先では、事業の企画→営業→受注→納品まで一通りすべての業務を経験できました。今後は、コンサルタントも事業の運営能力まで求められる時代だと思っているので、駐在前と全く別の経験ができたことは、とても有意義でした。経験できる業務の幅が広いことも魅力です。

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②語学力

これは色々な人が指摘しているので詳しくは書きませんが、実務の場合、必要に迫られるので、語学学校よりも迅速に語学が身につきます。同僚との打合せ、取引先との商談などを通して「生きた表現」を学べます。

英語はもちろん、余力があれば、現地語も学ぶと良いでしょう。さらに、職場だけでなく、日々の環境でも、海外の言語に触れることができます。

ただ、私の場合、業務で使うだけでは少し足りず、平日朝や夜にネット講座や動画を観て自習をしました。何となく過ごしてしまうと、意外と身につかないものなので、適宜自習で補うのも良いと思います。(日本人同士/日本語ができるローカルと話してばかりなど、楽な方向に流れがちですね)

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③コミュニケーション能力

今後は日本でも、国籍・文化・歴史・思想など、異なるバックグラウンドを持つ人と協働する機会がますます増えていきます。語学力だけでなく、相手との差異を尊重しつつ、相手の関心を理解して、自分の意思も通していく能力が求められます。

「語学は基盤として重要ではあるが、①専門性、②コミュニケーション能力、③相手へのリスペクトが土台となる」と以前書きましたが、駐在経験はコミュニケーション能力を向上させる機会でもあると思います。

私自身、香港人の同僚、中国大陸・台湾・ASEANの取引先など、様々なバックグラウンドの方と仕事をしました。それぞれの国・地域で、仕事への姿勢・価値観は違いましたが、どれが正解ということはありません。それを受け入れつつ、いかに最善の結果を残していけるか、が大切ですね。

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*以前の記事は下記の通りです。Erin Meyer氏の書籍「The Culture Map」を引用しながら書きましたので、ご関心がありましたら、読んで頂けると嬉しいです↓

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2.キャリアアップに繋がる

駐在を終えて、元の職場に戻る場合でも、転職する場合でも、人材としての市場価値は高くなるはずです。転職市場価値が高い理由は、以下の記事でも説明がされていますね。

海外在留邦人数調査統計(外務省)によると、2017年10月1日時点の駐在員の人口は、27.3万人でした。(在留邦人|民間企業関係者|本人の値、同居家族含まず)労働力調査(基本集計)(総務省)によると、2017年の平均就業者数は、6,530万人とされ、民間企業の駐在員の割合は、約0.42%です。とても希少ですね!

*駐在を終えて帰国した人数が27.3万人には含まれませんので、駐在経験者の人口は、実際にはもっと多いです。それでも全体に占める割合は小さいと思いますが…
*2020年3月現在、詳しい分類まで追えるのは、2017年10月1日の値が統計上、最新となっています。統計のリンクを貼っておきますね。

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なお、駐在員人口の国別ランキングを作っている人もいました。外務省の統計から2017年の値に更新することもできるのですが、今回は、この方のサイトより、2015年のランキングを引用させていただくことにします。1位中国、2位米国、3位タイで、全体的にアジアが多くランクインしていますね。

*香港だけの値は、外務省の海外在留邦人数調査統計に公表されておらず、残念…

表 駐在員人口の国別ランキング(2015年)

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駐在員の人口が少ないこと、1.に書いた通り、マネジメント力・語学力・コミュニケーション能力で差別化ができることから、活躍の場が広がるはずですね。私も駐在から帰国後のキャリアについては、まだ模索中なのですが、この経験を最大限活かしていきたいものです。

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3.仕事観・生活観が変わって打たれ強くなる

日本の常識は海外では通用しません。例えば、以下のような気づきがありました。

【仕事観】
・残業はしない→就業時間内で最大のパフォーマンスを出す
・休暇は権利、有給休暇は使い切る→メンバーの休暇計画を念頭に仕事を組み立てる
・言いたいことが100%伝わることはない→何度も繰り返しわかりやすく伝える
【生活観】
・仕事ばかりが人生ではない→家族や友達との時間、自分の時間を大切にする
・時間/計画通りにはいかない→臨機応変、寛容になる
・ハプニング続出→プラス思考、ハプニングも楽しむ

色々な人が言っているので、当たり前かと思うかもしれませんが、自分事として経験できたのは、やはり大きいです。私の場合、ハプニングとして、デモや新型肺炎など、駐在中には本当に色々なことが起きました。しかし、同僚や友人同士で励まし合ったり、事業のリカバリープランを考えたり、とハプニングがあったからこそ、できた経験もあります。それも含めて上手く付き合っていけるか、が大切だと思います。

海外で暮らすと日本の良さ(仕事きっちり、時間通り…などなど)もよく見えるようになります。日本の良さを認識した上で、その方法が唯一絶対ではない、とも思えるようになり、駐在を通して、打たれ強くなった気がします。

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新型肺炎というハプニングにより、早期帰国となってしまいましたが、ここまで書いたように、海外駐在は、自分を大きく成長させてくれます。新型肺炎の流行が収まっていけば、またグローバル化の方に揺り戻しがあると思います。内向き思考となりがちな今だからこそ、逆に「海外で働く」というキャリアに目を向けてもらえればと思います。

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次のサイトでも、海外駐在のメリットが紹介されています。私も駐在前、参考にさせてもらいましたので引用しますね↓

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!

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P.S. その1 私は日本国内でコンサルタントをしていた経験を活かしつつ、事業パートナー/顧客の元に「研修出向」という形で海外駐在をしました。ちょっと珍しい例かもしれませんが、よかったら下記記事もどうぞ。
P.S. その2 日本の良さとして、高品質な商品・サービスを大変安価に得られる、水道水が飲める、夜でも安全、などなど色々挙げられますね。特に、香港では、物価・家賃が相当高くてびっくりしました。物価についてはまた別の機会に書いてみます。
P.S. その3 毎日新聞によると、タイのバンコク高架鉄道(BTS)が新型コロナウイルス対策を伝えるために制作、公開した動画「COVID-19:ウイルスに抵抗するダンス」がSNSで話題になっている、とのこと。これで手洗いとか意識する人増えるのかな??やっぱり理解できない、異文化もありますね…


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