発達障害と遺伝〜口には出さないけど、分かっていること
インターネット上では当たり前のように討論されているが、現実世界ではタブー視されがちな「発達障害と遺伝」というテーマ。
この手の話は大きな講演会であったりテレビ等のメディアでは言えないテーマの一つでもある。
しかし、当事者やその関係者は薄々気がついているとは思うけど、
発達障害って遺伝説がほぼ濃厚なのではないかという論がある。
それについてギリギリ話せる範囲で解説する。
1.発達障害者の血筋
例えば、特別支援教室や支援校、デイサービス等のイベントで発達障害がある子の親、兄妹(姉妹)とで会うことがある。
その子ほどではないが、細かい話や付き合いになると
「コイツも、軽度だけど発達なんじゃないかな。」
という経験が非常に多い。
例えば、重度のADHDと診断された子のお母さん。
子供の方はうるさいしアクティブだが、お母さんの方は全く一言も会話しないし、声をかけても頷くぐらいのコミュニケーションしか取れない。
ある程度正常な社会人であれば、会話の際にやりとりが最低限できないと、基本的にNGという風潮がある。
しかし、それができないという方には実はASD(自閉スペクトラム症)の人が多い。
自分の親戚も例に出すと、うちの妹も実は発達障害があるんじゃないかなと思わせる場面がちらほら。
食事の際、親戚が作った料理に対してストレートに「おいしくない」と失言したり、
韓国のアパレルにハマると、毎日のように韓国や輸入代理店から衣服が届いて、一度着た服は2度と着ないみたいな。その上、ヘアの整理整頓が一切できずゴミ部屋になるという。
一般的な感覚からすれば、いくら不味くても相手に気を遣って口に出さないことぐらい理解できると思うし、
洋服も着ないのであれば買わないし、ゴミ部屋と分かっているなら不要なものを処分したり、整理整頓したりする。
ADHDの特徴の一つに衝動性があるが、まさにそれ。
何がいいたいかというと、発達障害当事者がいれば、割と両親や兄妹も診断されないけど、発達障害グレーゾーンである可能性が高いという点。
2.遺伝とは認めたくない層の存在
発達障害は遺伝しないというのが、15年前の定説だったのだが、WISCやWAISなどの診断テストの精度がより精密で受けやすくなり、
発達障害の知識や理解などがネットの普及により、より人々に知られるようになったというのも大きい。
さらに、SNS等で割と簡単に当事者とコンタクトが取れたりできるのも、発達障害が広く知れ渡る原因でもあると思う。
しかし、中には発達障害は性格の問題だ。農薬のせいだ。と主張する連中もいれば、
甘えだ。環境のせいではないと思い込んでいる無能な教員も多数いる。
実際、教育学部の学生でもアンケートを取ると、発達障害は本人の性格が原因だとか、精神論的な処方で完治する。みたいな勘違いをしている方が多くてゾッとした思い出がある。
では、なぜそのような農薬や努力論でなんとかしようとする人が多いかといえば、
単純に勉強不足であったり心理学や精神医学を信用していない人であったりする。
教育の現場でも配慮をした上で、発達障害者と健常者が同じクラスで同じ授業をうける
「インクルーシブ教育」が話題に上がるけど、
いじめだとか、親の偏見、クラス制の問題点などを考慮すれば、今の日本の義務教育システムではほぼ難しい。
あくまでアメリカや北欧は教育に対して柔軟だからこそ、受け入れられたのであって、保守的な日本では困難。
遺伝も同様で、発達障害を遺伝だと国や学会が正式に公認してしまうと、
少子高齢化の時代に子供を作らなくなったり、障がい者に対する迫害が深刻化する。それゆえ、認めたくても認められないというのが実際も現状。
そのため、当事者や関係者は分かっていても声を高く出せないというのがリアル。
3.綺麗な障がい者像。
この中にテレビ番組制作者の方がちらほらいるので、本当に申し訳ないのだけど、
某24時間テレビや某ニュース番組に出演する「障がい者」の殆どが、実家が太かったり、モロにわかりやすい障害だったりする。
発達に限った話ではないけど、
感動ポルノ:健常者や非当事者が感動するような構成で作られた番組や映画。
の要素が強い気がする。
それプラス、障害者でもめちゃくちゃ美人な人はテレビに登場しない。
なぜなら、見た目では美人のせいで、健常者と同じ扱いを受けているから。
ルッキズムの問題もある。
実際、自分も周りにいろんな障害を持った方が存在するが、
某チャリティー番組の影響で、同僚や友達が対等に付き合えてもらえなくなったといった影響もある上、
本人からすれば、ITの恩恵や、医学の進化により多少の不便さが解消されているのにも関わらず、
障害者は綺麗であってほしい。苦しんでいる姿であってほしい。等の考えを無意識に持っている方々も多い。
それゆえ、当事者の一部は酒は入ると「誰々と騎乗位でヤッた。」とか「あいつは遅漏だった」みたいな絶対テレビや公では言えない話が盛り上がる。
皆さんが思っているほど、障害のある方は精神であれ身体であれ、健常者と性格は変わらないということ。
そのイメージの障害者像が普及したり、遺伝であるということが公になれば、24時間テレビや障がい者特集で儲けている出演者が儲けられなくなるという側面もある。
そのような要因もあり、テレビでは遺伝が関係しているとかは言えない。さらに、勘違いして差別に走る馬鹿もいるので当分はタブー視だろう。
4.優生思想
みんさまの記憶にも新しいであろう、相模原市障害者殺傷事件。
https://ja.wikipedia.org/wiki/相模原障害者施設殺傷事件
犯人である植松聖死刑囚が度々主張する「障害者は社会にとって害」という主張は
明らかに「優生思想」であろう。
優生思想とは、遺伝子的に劣った存在を排除し、優秀とされる人種を残そうとする思想である。
古くからナチスドイツがユダヤ人に対して「劣った人種」と定義して、大虐殺をおこなったという悲しい歴史がある。
さらにナチスはユダヤ人のみならず、障害者や同性愛者をも迫害・虐殺した。
アメリカにおいても、白人至上主義団体・KKK(クー・クラックス・クラン)が黒人をリンチし殺害するなどの暴挙を行ったことが知られる。
南アフリカ共和国ではアパルトヘイト政策により、黒人にとって不利になるような差別的政策が横行し、ネルソン・マンデラ氏が登場するまで、白人による黒人への差別や搾取が横行していた。
仮に発達障害が遺伝であるということを公に認めてしまうと、
障害当事者やその家族が社会的差別を受けたり、結婚の際不利になる等の問題が挙げられる。
日本においても、被差別部落出身の方に対しての就職差別や結婚が破棄されるなどの差別が横行してた。(今でも地方に存在する)
遺伝するという事実が真実であったとしても、その事実が一人歩きし、差別的思想が横行してしまう危険性がある。
過去に日本では優生保護法という名目で、障害者に対して不妊手術を国が行っていた。
そのような黒歴史が存在するからこそ、日本において発達障害遺伝説は分かってはいても、公認しずらいということであろう。