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【interview-02】すべてはその笑顔のために~ヘアサロン“アンリ”・井村公一さん

現場の最前で輝く人を取材する、viewtralのインタビュー。
あの人の輝く笑顔の裏に隠れている素敵な出来事、絶え間ぬ努力。。
きっとここまで歩んできた道は、私たちに「生き抜くヒント」をくれるはず!

心と身体を取り扱うプロフェッショナル・ロングインタビュー第2弾。
今回は、兵庫県西宮市のヘアサロン「アンリ」のオーナー・井村公一さんを取材させていただきました。


■プロローグ


きらきらと太陽の光を寄せては返す波の上に、真白な帆を上げたたくさんのヨットが港に停泊している穏やかな風景。やさしい潮の香りがする風が心地よく街の中を流れています。

そんな心地の良い風景に馴染んだ、兵庫県西宮市西宮浜のヘアサロン“Anri(アンリ)”。地元のお客様だけでなく、遠方からのお客様も多いお店です。

実は、オーナーの井村公一(いむらこういち)さんは長崎県のご出身。
慣れないこの地にサロンを開かれてから今年で14年を迎えます。(2023年8月現在)
美容師という職種柄、流行には敏感な今どきの男子でいらっしゃいますが、芯はなかなかの九州男児。

ヘアサロンAnri(アンリ)を中心に、“Pensee(パンセ)””Lien(リアン)”の3店舗の運営に精力を注がれています。
ブレない考えとその行動力の源はどこから来るのか。
お店とともに成長されて来た、経営者としての顔ものぞかせてくれました。

■インタビュー本編


最初の夢は「体育の先生」


たくさん手段がある今の時代じゃなくて、選択肢が限られた環境にいたから夢が潰れた時は、ただただ漠然と過ごしていた時代がありました。

美容師になりたいと思った最初のきっかけは、男子特有の「モテたい」が根底にあったのかも知れない(笑)でも今思うと、自分の家族の存在が大きかったと思う。

viewtral:先ずは、「美容師になろう」と思ったきっかけを教えてくださいますか?

井村公一さん(以下 “井村さん”):学生の頃はずっとサッカーをしていたこともあって、最初は体育の先生になりたいと思っていたんですよ。今の時代だったら多分、その道は諦めてなかったと思うんです。

僕が生まれ育ったところは長崎県で田舎だったこともあって、かなり成績の良い高校に行って大学に進学する道しかなくて選択肢が限られていた。それがネックで断念しました。

viewtral:環境って大きいですよね。それでも、自分の道を決められたのは早かったと思いますが、決め手となるものはあったのでしょうか。

井村さん:しばらくは、ただただ漠然と学生時代を過ごしていましたね。

夏休みやお正月の長い休みの時に、お金を貯めてわざわざ福岡まで遊びや買い物に行って、そこで流行のファッションやヘアスタイルなんかに興味を持ち始めました。

その年代にありがちな、男子特有の「モテたい」という気持ちが根底にあったのかも知れないですが、もう一つのきっかけは、自分の妹が美容師を目指して頑張っていたんです。これがもう筋金入りで(笑)一直線に頑張っていましたね。


親を超えたい・・という思い。


うちの両親が飲食店(焼き鳥屋)の経営をやっていたので、自分も何か商売をしたいという漠然とした気持ちはありました。
だけど、両親と同じことはやりたくなかった。いろんなことが影響して美容師になったと思っています。

それに僕は、東京じゃなくて、天下の台所「大阪」で試したかった。
商売をするのが一番難しいところが「大阪」だと聞いたから。

遠方からのファンも多い、オーナースタイリストの井村公一さん


viewtral:
長崎で美容師をされてから、大阪に進出されたのですか?

井村さん:いえ、最初から大阪です。最初は散髪屋さん(理容師)をしていました。大阪に来た時は、業界では大きな会社の社員で勤めていましたね。

卒業後に直ぐに勤めた会社で、まだ免許も持っていない10代の頃にマネージャーまで任されて、大変でしたが放任主義のような会社だったので、自由にやらせてもらって面白かったです。古き良き、昭和〜平成の時代ですね(笑)

viewtral:そこで勤めながら理容師でということにはならなかったのですか?

井村さん:ならなかったですね。ずっと「美容師」をしたかったので。美容師になると決めた時、理容師の免許も持っておいた方がいいよとアドバイスくれた方がいて、勤めながら通信制で資格を取りました。

viewtral:素人からすると、理容も美容も髪に関する技術は同じような感じがします。行く人のカテゴリーが違うだけというか(笑)どんな違いがあるのでしょう?

井村さん:全く違いますね。確かにカテゴリーが違うのもあるかも知れませんが(笑)

例えて言うなら、画用紙を四角く切るのが理容師さんで、画用紙を丸く切るのが美容師さんですかね。どこまで型に沿ってキレイに切れるかが勝負な理容師さんに対して、感覚的な部分(センス)を大いに生かして切れるかが美容師なんです。どっちが正解というのはないんですけどね。

viewtral:理容師さんはちょっと堅物な感じ、美容師さんは遊び人な感じに思えるのは、あながちそういう仕事の仕方が影響しているのかも知れませんね。

井村さん:そうかも知れませんね(笑)

良く言えば万能。 悪く言えば堅い。


僕のカットの仕方は少し理容師の経験があるのでそれが出ている部分もあります。良く言えば万能。悪く言えば堅い。自分のお店のスタッフにもどうしても「キッチリ」を求めてしまうんですよね(笑)

井村さん:自分のカットの仕方を「3Dカット」と呼んでいるんですが、八角形や十二角形に当てはめて、そこの角をキレイに切っていくやり方なんです。どこから見てもキレイに見えることが良い点なんですけど、悪い点で言うと遊び心がないんですよ。雑誌で紹介されるような、本当にセンスのある美容師さんは、柔らかい遊びのスタイルが作れるんですよね。

viewtral:美容師を目指された時、開業時の助っ人となる方に出会われたとお聞きしました。兵庫県の西宮浜にある第一号店のAnri(アンリ)を開業された当初の印象に残っているエピソードをお聞かせいただけますか。

井村さん:22歳の時に理容師から美容師になって、28歳でAnri(アンリ)を開業しました。この業界では遅い方だと思います。お店を開いた時は何もかも初めてづくしでしたから、店舗を借りる契約や税金のことなんかも知らないことだらけで本当に大変でした(笑)

開業時に手伝ってくれたT君とは、大阪の会社で出会いました。
彼の出身は島根県の隠岐島というところなんですが、彼のお母さんが地元で美容師をされていて、ある程度経験を積んだら将来はそこの後を継ぐと言ってましたね。

美容の世界は彼の方が先だったので、シャンプーのし方も一から見習いました。実は、理容資格のことは、彼のお兄さんの同級生がたまたま同じ業界にいらっしゃったので、その方にアドバイスをもらったんです。

今振り返ると、人の出会いによって後に自分の仕事が大きく影響していったことは多いですね。

天下の台所「大阪」で。

大阪では会社員で働いていましたが、10代でマネージャーを任されてそれなりに責任の範疇が大きい仕事をしていました。大阪での仕事は甘くなかったし大変な部分はやはりありましたが、それを上回るくらい刺激的で面白かったですね。最初に開業したアンリは大阪ではありませんが、関西圏でしたかったんです。

viewtral:美容業界を目指された時、東京ではなく大阪を選ばれています。また、第一号店を西宮浜という土地を選ばれたのは何かきっかけがあったのですか?

井村さん:僕は最初から「大阪」と決めていたんです。だって大阪は「天下の台所」でしょ?(笑)商売をするのが一番難しいと聞いていたんで、そんなところ(大阪)で商売のイロハが分かればどこでも通用するんじゃないかって思っていました。

ここに決めたのは環境的なものでしょうか。お店の前がヨットハーバーでしょ?いつも目の前にヨットが見える港があって、市内にはないのんびりとした雰囲気が気に入りましたね。その時は穏やかな空気を求めていたんでしょうか。(後に、大阪府堺市で2号店 Pensee(パンセ)を開業)

アンリのすぐ前にある、西宮浜ヨットハーバー

viewtral:第1号店Anri(アンリ)開業からPensee(パンセ)、Lien(リアン)と3店舗も経営されていらっしゃいますが、事業を拡大された背景にはどんなことがあったのでしょうか。

井村さん:いろんな思いはありますが、やっぱりこれも自分がどこまでできるか挑戦したい気持ちがありましたね。

このまま美容師としてカットやパーマなどを提供するサービスをしていても、そこからの発展がないじゃないですか。
美容師をされている方、個人で店舗経営をされている方は特に同じ壁にぶつかることがあると思いますが、このまま自分がイチ・プレイヤーとして仕事をしていても、同時並行でビジネスを生み出す(利益を上げる)ことができない。大きな発展はできないんですよ。

そう考えた時、アンリから生まれる姉妹店の展開に挑戦しようと思ったんです。

今は、男性も女性以上に気をつけたい「美」に対する感覚が高まってきていると思います。ヘアスタイルはファッションの一部。その人の個性を決める重要なポジションです。

特に、若い男性の美意識が高まって来ていますが、僕の今のマイブームは「目のたるみ」を解消する美容グッズを探すのにハマっています(笑)男性向けの化粧品や美容グッズもどんどん更新されて来ているので、探すのも楽しいですね。

viewtral:カットの技術やカラーのセンスなど、アップデートしていくことがたくさんあると思います。どのように技術やセンスを磨いたりしていらっしゃいますか?

井村さん:業者さんからの情報はもちろんですが、普段から男女関係なくあらゆる年代層の雑誌は見ますね。ヘアスタイルだけじゃなくて、ファッションやメイクも見ています。

今年の流行は何色?


どんなファッションが流行っているのか、どんなメイクが流行るのかとか。その一連でヘアスタイルがあるので。コロナが流行していた時は難しくなりましたが、休日に大阪市内に出歩いては街行く人のヘアスタイルやファッションを観察していますね。

viewtral:男性も女性も年齢を重ねていくとどうしても髪の毛に艶がなくなってきたり、薄くなってきたりします。市場には溢れるほどのヘアケアに関する商品がたくさんありますが、その中で井村さんが注目されているヘアケア法にはどんなものがありますか?また、「今注目しているヘアケア商品」などがあればご紹介ください。

井村さん:年齢を重ねるとどうしても髪の質も変わってくるので、ヘアスタイルを決めるのも難しいですよね。僕のお店にはいろんな年代のお客様がいらっしゃるので、そういった相談に対して僕なりのアドバイスができるように心がけています。

今は、Refaさんから出ている「リファロックオイル」は注目していますね。タオルドライした髪につけてからドライヤーするのですが、翌日髪がはねにくいんです。これは入荷してもすぐに完売するほどの人気商品ですね。

少し前にアンリからヘア&ボディの両方に使えるオイルを出しました。素材にこだわったもので、髪にも身体にも優しいオイルです。アンリのヘアアイテムのラインナップとして、ミルボンのシャンプーやトリートメントを中心に、Refaなどの頭皮マッサージ機器やヘアケア製品を取り揃えて、出来るだけお客様の状態にあったものを選別できるようにしています。

viewtral:将来の展望、挑戦したいものはありますか?

井村さん:この8月お盆明けから、アンリのお店が店舗改装工事に入ります。開業から14年目ですが、スタッフも増えて、心機一転新たに頑張っていきます。

従来のヘアサロンから、どれだけ新しいことに挑戦できるかという視点で事業も展開していきたいなと思っていますが、今は秘密です(笑)

ヨットハーバーに隣接する緑豊かな広場。春には桜が満開になる。

■エピローグ


小さなお子さんから、お母さん、お父さん、おじいちゃん、おばあちゃん・・学生から、サラリーマン、自営業の方まで、様々な年代、いろんなご職業の方が集まってくるお店、アンリ。

若い時は、都心でお店を出したいと思ったこともあったけど、ここで開業して本当に良かった。いろんな人と接することができるお店で、いろんな人の人生に触れることができた。これは形で確認することはできないけど、人から取られることのない僕の大きな財産。

金言いただきました!笑
そんなふうに思える井村さんが、とても素敵ですね。

美容師という枠にとどまることのない、一人の経営者としても、ますます魅力的に輝いていらっしゃいます。今後の展開も非常に楽しみですね。

ぜひ、次回もインタビューさせてください!viewtralも応援しています。

■お店紹介


Hairsalon Anri

Anri(アンリ)

住所:兵庫県西宮市西宮浜4-14-2 マリナパセオ2F
電話:0798-32-0378 (ご予約優先・お電話でも受付可)
予約サイト:Anriホームページ から予約可
営業時間:10:00〜19:00
定休日:毎週月曜日、第2・第3月火連休
アクセス:阪神本線西宮駅・J R神戸線西宮駅よりバス10分程度


Pensee par Anri

Pensee(パンセ)

住所:大阪府堺市北区百舌鳥梅北町2-53-3 上電工ビル1F
電話:072-269-4433 (ご予約優先・お電話でも受付可)
営業時間:10:00〜・Cut:〜19:00・Perm/Color:〜18:00
定休日:毎週月曜日 / 第2・第3火曜日
アクセス:※駐車場はお電話時にお問い合わせください
JR阪和線・南海高野線 三国ヶ丘駅西口より徒歩5分
南海高野線 百舌鳥八幡駅より徒歩6分
JR阪和線 百舌鳥駅より徒歩7分


Lien par Anri

Lien(リアン)

住所:大分県大分市上田町3丁目2-15
グランモールきたじま2F
予約受付: Hotpepper Beautyから予約可
営業時間: 9:00〜17:00
定休日:日曜日・祝日
アクセス:久大本線古国府駅から徒歩約15分(車3分)

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