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我が道を独りで行く

 人の善を好んで、人の悪を悪むことは、難しいことではなく、甚だしく度が過ぎてしまうこともある。ただ、己の善を好み、己の悪を悪むことだけが、痛切に感じれないものだ。【呻吟語 人情 6:46】          (私釈:人は、総じて、他人の善悪を、必要以上に論評するのに、自分自身の善悪の評価になると、必要性や重要性を感じないものである。故に、志を以て、自己評価の必要性や重要性を、痛切に感じなければならない。)

 仕事で、あり得ない程の、簡単で、常識的や一般的なことを間違えてしまっている。特に、他者本位の傾聴力と主体的な行動力が著しく欠けてしまっている。

 日々、自己嫌悪や不安・緊張・羞恥心で、一杯である。だが、これこそが自己啓発と社会貢献への道である。

 今、愛読している『呻吟語』は、中国の明王朝時代の哲学者の呂坤の著作であり、呂坤先生が、30年以上かけて、理論と実践・思考と経験を積み重ねて完成させた、中国史上、自己啓発の傑作の一つである。

 日本では、第二次世界大戦の前中後に亘って、政界や財界に絶大な影響を与えた安岡正篤先生によって、日本で初めて大きく顕彰された。その概要は以下の通りである。

 仕事が出来ず、簡単な事が分からなかったり、簡単な事を間違えたり、役に立たない書物を読み続け、そして、胡散臭い自己啓発に嵌り、しかも、訳の分からん哲学を志す物書きのおかしい若者、職場や社会からそう思われ、言われ、笑われ、心配され、不評を受けている。

 しかし、初志貫徹するだけだ。自分は、哲学を愛しており、それそのものが、自分であり、人生である。そして、自分は、自己啓発の本来の意味を確りと理解している。

 呂坤先生も、明王朝の退廃した末期時代に、哲学を否定され、自己啓発を嘲笑されて、そして、愛する祖国が、死後わずか24年後に、滅亡したのだ。先生の愛国心や忠誠心に満ち溢れた警告は、馬鹿にされて退けられ、碩学や蘊蓄が詰まった著作は、読まれず遠ざけられたのだ。

 さあ、また明日から、大恥や苦戦に挑もう。これから、自分と出会い、自分を必要とし、自分と協力し、自分が愛し、自分を愛してくれる大切な人々と、新しい未来に向かうために。

☝ベトナムの仏教哲学者で、日本語訳もあります。平和活動家であり、ベトナム現代史の偉人のお一人です。

ありがとうございます。心より感謝を申し上げます。