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医者と獣医の仕事ってどう違うの?

今日の一言。

「隣の芝生は青い。」


そもそも医者と獣医はどこが違うのか。


両者はいずれも国家資格を必要とする職業だが、同じ資格では無い。


それぞれに必要な要件を満たした修学を経て、

それぞれに医師国家試験、獣医師国家試験を合格して、

それぞれ医師免許と獣医師免許を取得し、

それぞれの仕事をする。


どちらの免許も、劇薬や麻薬の取り扱い、検査や認定権など許されている行為に共通する部分もあるので、公務員や企業、研究分野などでは同じ領域で働くこともあるが、他に対する”医療行為”はもちろん全く別々だ。


ざっくり言うと、

医師はヒトを治療する。

獣医師はヒト以外の動物を治療する。


私は犬猫をメインとする臨床獣医師しかやったことがないので、今日話すのは普通の動物病院での話だ。


違う生き物を診ているが、末端病院での仕事の大まかな流れは一緒ではなかろうか。


1. 患者さんが来院して、診察をする。(問診、聴診、触診など)

2. 必要なら検査をする。(血液検査、超音波検査、レントゲン検査など)

3. 診断をつけて治療をする。(一般処置、手術、投薬など)

4. 更なる精査が必要な場合、診断や治療が困難な場合は二次病院に紹介する。(大学病院や一般二次病院でCTやMRI、その他の精査、処置、手術を受けてもらう)



診療の流れはほぼ同じなのだが、獣医師目線で見た医者との違いは、


・患者本人が喋らないこと。

(小児科で赤ん坊を診る医師は同じ気持ちじゃなかろうか。)


・患者本人が高確率で協力的でなかったり、攻撃してきたりすること。

(これも小児科や精神科などでは人間もあることだろう。)


・外科、内科、耳鼻科、皮膚科といった区分けが基本的に獣医になく、臨床現場で全てを網羅しないといけないこと。

(最近は専門に特化した動物病院もあるが、一般的ではない。ヒトでは医者と歯医者は別だが、獣医師は歯科も一般病院でやる。)


・診ないといけない生き物の種類が無限大であること。

(見たことも触ったこともない動物を連れて来られると泣きそうになる。)


・動物種という横幅が広すぎて、それぞれの分野を深く掘り下げられないこと。

(歴史の長さの問題でもあるが、人医療よりほとんどの分野で遅れている。)


・医薬分業が為されてないこと。

(動物病院は常に院内処方だ。獣医師が自分好みの薬を取り扱い、それを自由に処方できてしまう。ヒトの場合も院内処方はあるが、医師と薬剤師はまた別の資格。

ヒトの場合は異なる資格保有者による薬のダブルチェックができているので、医師は診療に専念できるし、患者さんの安全性も保てる。うらやましい。)


・給料が劇的に違う。

(医師の平均年収は1000万を超える。対して獣医師の平均年収は500万程度だ。勤務医なら300万ほど。あくまで平均なのでさらに低い獣医師はたくさんいる。

私が大学卒業後初めて勤務医をしていた頃は月¥3万の陽の当たらないワンルームで、浪費する習慣が無くとも生活が苦しく、飼い主さんから頂いた菓子折などでやり過ごしていた。)


・需要に対しての獣医師の供給数が少ないので、休みたくても代わりがいない。

(ヒトの子供の数よりペットが多い時代。さらに犬は毎年の予防接種の義務付けや、その他のワクチン、寄生虫予防など、動物本人と一緒に住む人間を守るために、ヒトより毎年やらないといけないことが多い。

しかし、前の記事で話た通り、毎年9300人の医学生ができるのに対して、獣医学生は年に930人だ。

そして、そのうち約半数は人間の食べ物を守るための畜産関係や、生活を守るための公務員、薬の開発などの一般企業に就職する。供給が足りていないので、常にブラックな働き方が必要になってしまう。)


他にもあるような気がするが、ちょっと気持ちが疲れたのでこの辺で・・・(泣)


医者を羨ましく思うことを挙げよ、と言われたらいくらでも出てくるが、医者の仕事も大変だろうことは容易に想像がつく。


労働環境も然り。


「医者の不養生」という言葉があるが、本当に、自分のことを省みる間も無いほど過密に働いているお医者様は多い。


患者が喋る、というのもある意味トリッキーなことがあるだろう。


検査や治療に対しての理解を得る、ということが獣医とは違う困難さがありそうだ。


隣の芝生はなんとやら。



とりあえず、せめて獣医師の収入は上がって欲しい。



明日から月曜ですね。

また1週間がんばりましょう!

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