動物病院での犬と猫の病気:下痢(4) 動物病院の便検査について
千葉市で働く臨床経験17年目の獣医師です。
前回のnoteでは
愛犬愛猫の最後にした便を動物病院に持ってきてください!
という話をさせていただきました。
今回からはいよいよ動物病院でのお話をしていきます。
ご家族から持ってきてもらった便を使用し、動物病院では主に以下の3つの便検査を行っています。
① 肉眼的検査
② 便検査 直接法
③ 便検査 浮遊法
以下に3つの便検査に関して簡単に説明をしていきます。
① 肉眼的検査
肉眼的検査はその名の通り、見た目から得られる情報を得ます。
主に便の量、やわらかさ、色、臭い、粘液付着の有無、血液付着の有無などをチェックします。
② 便検査 直接法
持参してもらった便のうち、爪楊枝の先ほどの量をスライドグラスにのせ、それを直接顕微鏡で見ていきます。
主に腸内細菌のバランスや寄生虫の有無、消化状態などをチェックします。
③ 便検査 浮遊法
持参してもらった便のうち小指の先ほどの量を使用し、飽和食塩水(食塩をもうこれ以上溶けないという量まで入れた食塩水のこと)を用いて行う検査です。
この検査を行うことで便の中の寄生虫の卵を浮かび上がらせて見つけやすくします。
特殊な便検査は他にもいろいろありますが、この3つの検査を行うことで必要な下痢の情報の大部分を得られることが出来ます。
そのため下痢の診察においては
この3つの便検査と、ご家族からの下痢に関する情報、そして実際の愛犬愛猫の診察から得られた情報より、獣医さんは目の前にいる子の下痢の原因と治療方法を考えていきます。
便検査に関してはもっと詳しくお話ししたいことがあるのですが、それをよりよく知ってもらうには
そもそも下痢とはどのような状態なのか?
を知っていただいた方が理解してもらいやすいと思いますので、次回そのあたりのお話をしたいと思っています。
つづく
参考文献:勤務獣医師のための臨床テクニック
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