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動物病院での犬と猫の病気:下痢(10)  下痢の診断方法について③ 血液検査


千葉市で働く臨床経験17年目の獣医師です。

前回のnoteでは少し脱線してしまい、

動物病院の一次診療と二次診療の違い

についてお話をしました。


今回は話を元に戻し、

下痢の診断における血液検査についてお話ししたいと思います。

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4.血液検査
前回のNOTEの繰り返しになりますが、私のような一次診療を行っている町の動物病院では、大部分の下痢がここまでの問診、身体検査、便検査により原因の推測ができ、その原因に合わせた治療をすることで下痢は治ってくれます。

ここまでの治療で治らなかった下痢に関しては、
より稀な病気を考え次のステップとしては血液検査を実施することになります。

血液検査では見た目では分かりづらい内臓の状態が把握できます。

血液検査でわかる下痢につながる病気として代表的なものは以下の三つです。
1⃣ 中毒
2⃣ 膵炎
3⃣ 蛋白漏出性腸症


1⃣中毒

私が実際に今まで経験してきた中毒を疑う診察では、犬と猫でその原因は異なります。

はとにかく様々なものを食べます。

しかも厄介なのは、散歩中などでご家族が見ていないときに何かを食べてそれが何か分からないというものです。

一過性の消化不良等であれば、いままでの身体検査と便検査までの治療でたいがいは治ります。

それでも治らない犬に関しては、血液検査をしてみると肝臓の項目が跳ね上がっている時があります。

そのような時はその子の状態次第ですが、しばらく入院をして静脈点滴と肝臓の負担を和らげる薬を使用しながら様子を見ていくようになります。

基本的に中毒は食べたものが特定できていてその中和する薬などが分かっているとき以外は、点滴などの緩和治療をしながら回復を待つしかありません。

食べたものの毒性の強さや、動物のもともとの健康状態によっては緩和治療をしていても良くすることが出来ず、亡くなってしまうこともあります。

犬はとにかく

拾い食いをさせない!

それが中毒から愛犬を守る一番の方法です。

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一方に関しては、犬ほどいろいろなものを食べることが少ないので中毒はあまり多くありません。

しかしたまにあるのが

観葉植物の誤食です!!

猫は基本的に肉食なので植物を食べたくて食べているケースは少なく、どちらかというと遊んでいてかじってしまうケースが多いです。

いずれこのNOTEでも異物誤飲の話は詳しくしたいと思っていますが、犬と猫に食べさせてはいけない代表的な観葉植物は

ユリ科の植物です!!

個体差はありますが腎臓に負担をかけて場合によっては死に至るケースもあります。

犬や猫を飼われているご家庭は、何卒お気を付けください。

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次回は膵炎についてお話ししたいと思います。

続く


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