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ドキュメンタリー 『311』DVD

『i新聞記者ドキュメント』を映画館で拝見し、心をわしづかみにされた。自分が恥ずかしながら見逃してしまった森達也 監督が過去に携わられた作品をDVDで取り寄せることにした。

『311』は東日本大震災をから15日後に、森達也氏 綿井健陽 氏 松井要樹 氏 安岡卓治 氏が放射線の線量計片手に車を走らせて、生々しく何が起きているのかを追いかけたドキュメンタリー。ただ、何かしらの覚悟がないと観てはならぬ気がして、実際DVDを入手してから開封するまでに1ヶ月を要した。

私が今この作品を観なくてどうすると思った理由にはいくつかある。取り立てて言うと、いま〈新型コロナウィルス〉に国内外の関心事が一斉に向いており、それにつられる自分に一度ブレーキをかけたかった。ウィルス対策で起きていることと、フクシマに共通するものを感じるので整理するためにも。

私はこの呼び名が大嫌いなのだが、〈復興五輪〉招致のために、フクシマの放射能汚染は〈アンダーコントロール〉されたことにされている。国連の勧告もどこふく風、政府はフクシマの人への避難支援を打ち切り、帰還を強いている。汚染土は農地に再利用され、汚染水は海に流されようとしている。これで、〈無かったこと〉にされようとしている。

かたや、現在進行形で国内外のメディア、ネット上で大騒ぎの〈新型コロナウィルス〉。日本は完全にプリンセス・ダイアモンド号の件もあって世界からの信用は地に堕ちた。社会学者 宮台真司 先生の御言葉を拝借すれば、〈損得を越える正しさ〉を主張した 岩田健太郎 先生 の告発YouTubeは海外メディアに賞賛された。国内では保身に走ろうと反論に躍起になったわりには墓穴を掘った政治家等がいたような。

ここへきて、政府が〈感染者数増加抑制〉に取り組むべく、週明けにも新たな指針が示されるようだ。ただこの1ヶ月の動向をみていても、政府はフクシマのときと同じ手法で〈感染症〉すら意のままにしようとしている予感がする。

(リンク参照~医療機関たらい回し)
https://www.jiji.com/sp/article?k=2020022300336&g=soc

検査、計測しなければパンデミックは無かったことにできるとの算段か、人命軽視甚だしい。

また医療従事者に優先的に準備されたマスクにも薄気味悪さを感じる。なぜ〈日の丸〉を つける必要があるのか。〈ONE TEAM〉ような精神論を持ち出すつもりだろう。緊急時を乗り越えるためのチームワークと〈一生懸命やってるんだから文句を言うな〉の同調圧力を混同してほしくない。

(リンク参照~日の丸マスク) https://mainichi.jp/articles/20200223/k00/00m/010/065000c.amp?__twitter_impression=true

未曾有の大災害を経験したはずのこの国は、危機管理上何も進歩していない。むしろ政府の思惑としては、間近に迫ったオリンピック開催を強行せんと前のめり、かつインバウンドの数値目標のほうが重要のようだ。

『311』DVDにミニパンフが同封されていた。

森達也 監督の言葉
〈「がんばれニッポン」とか「日本はひとつ」それは絶対に違う〉

今年も〈3月11日〉をもうじき迎える。
92分の映像の前に、打ちのめされた。
この感覚をこの国に生き残った人間として忘れないでいたい。

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