禍話リライト 忌魅恐『開かずになった自習室の話』
提供者である、鈴木さん(仮名、女性)
彼女が、某大学の院生だった頃の話。
大学院生ともなると、論文執筆の際に参照する書籍の量が膨大になる。
それらを持って大学と自宅を行き来するのも、かなりの重労働である。
それ故、ほとんどの大学でそうであるように、鈴木さんは学部から割り振られた自分の部屋、研究室に、書籍や資料を置いていた。
鈴木さんの通う大学は、学部生と院生で使用する建物が分かれていた。
院生用の棟は、表向きは夜間は閉鎖されることになっているが、実際は個々人に入り口の鍵が