見出し画像

生物学的観点からみたLGBT〜密度効果〜

大学受験のため、毎日図書館に通い勉強をしていたとき、ガイア仮説という考え方を知りました。

ガイア仮説とは、簡単にいうと地球全体を一つの生命体とみなす考え方で、生物や環境が相互に連携し、自己調整することで地球全体がバランスを保ち、生命を維持しているという考え方です。

この仮説の真偽は分かれているところですが、生物学者を志していた10代の私にとっては、とても斬新な考え方で、今でも影響を受けている仮説の一つです。

ただ当時、ガイア仮説を知ったとき、一つの新たな考えが私の脳裏に浮かびました。

際限なく、地球資源を使い尽くす勢いで消費し、際限なく増え続ける人間と、宿主である生命体が死ぬまで増え続けるガン細胞。
いったい何が違うのだろうか?

私が学生の頃は、人間を万物の霊長などと呼ぶ人もいましたが、むしろ人間は、地球やその他の生き物から利益を得るだけで何も与えていない。

共生ではなく、単なる寄生なのでは?

あれからうん十年経った今では、さまざまな経験や知識を経て、当時のような尖った考え方は多少丸くなりましたが、2023年、世界の人口は80億人を超え、そして今も増え続けています。

日本という島国は、超少子高齢化となり「異次元の少子化対策」と叫ばれていますが、生物学的にみたら、国境など人間が勝手に引いた線に過ぎません。

生命体の定義の一つとして、自己複製というものがありますが、むしろ増え過ぎたときは「密度効果」が起こり、産子数や生存率の減少を通じて増加率が調整、個体数が保たれるようになっています。

つまり、異なる遺伝子を持ったもの同士が子供を作り、子孫繁栄することが生物の自然の摂理であると考えられるのと同様に、世界の人口が80億人を超えた今、生殖にとらわれないパートナー、多様性としてLGBTが存在することもまた、密度効果による自然の流れの一つなのではないでしょうか。

人生の長さが50年足らずだった頃、10代で結婚、20代には出産、30、40代には子供を育て上げ、 50代で仕事を引退、残りは余生として過ごすという流れが常識でした。

でも今は、10代でも起業でき、70歳でも大学に行ける時代です。

このまま世界の人口が増え続けたら、食料、エネルギー、温暖化、砂漠化、環境破壊、全ての面において、人間の存続が危ぶまれることでしょう。

むしろ人間が死に絶えたとて、他の生き物たちは環境に適応し、進化し、生命として存在できるでしょうが、私たちはエアコンをつけなければ熱中症になり、服を着なければ凍え死んでしまう生き物です。

LGBTを不自然な存在とおっしゃる方もいらっしゃいますが、生物学的には、増え過ぎる増殖を抑えるための密度効果として、むしろ自然な流れと考えられるのではないでしょうか。

目先の10年20年にこだわるのではなく、これから育つ、未来を生きる子供たちのためにも、どうか知識と視野を広く持ってほしい。100年、500年先の未来を考えられるのなら、変化を受け入れ、いつ誰が引いたのかも分からない国境にとらわれずに、グローバルスタンダードに適応できる社会になってくれることを切に願います。

#多様性を考える

この記事が参加している募集

#多様性を考える

28,021件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?