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社会人の学習について分析してみた2(令和3年社会生活基本調査より)


つづき

「なぜ社会人は勉強しないのか?」を分析について引き続き行いたいと思います。パート1で報道では学習時間13分と言っていましたが、働いている人(有業者)と無職の方の統計が一緒になっていました。有業者だけを抜き出してさらに年齢を25~64歳までに5歳刻みにした統計は下記になります。

総務省 令和3年社会生活基本調査より作成

平均すると6~7分ぐらいでしょうか、目も当てられません。ただしこれは平均値です。統計によると9割以上の方が普段は0分です(25~30歳で94%)。計算しやすいように9割が何もしていないとすると残りの1割の方が60分~70分程度学習をしていることになります。日々その継続が続きます。
次のグラフがその結果ではないでしょうか。

追記。探していたデータがありました。
条件:有業者で雇用されている人
行動者の学習・自己啓発・訓練(学業以外)について
週全体で一日平均139分、行動者率2.2%
統計的には一握りの方が土日を含めてよく学習している。
行動者率=行動者数÷各属性(有業者で雇用されている人)の10歳以上人口×100(%)

総務省 令和3年社会生活基本調査より作成

雇用されている方(ビジネスパーソン)の年間収入と学習時間平均時間です。1000万以上から明らかに平均学習時間が伸びています。収入に余裕ができたから学習している?学習して自己研鑽、スキルアップをして収入を伸ばしてきた?答えは言うまでもなく後者でしょう。

総務省 令和3年社会生活基本調査より作成

なぜ社会人は勉強しないのか?

仕事の忙しさ

 日本人の社会人が勉強しない理由の一つとして、仕事の忙しさが挙げられます。特に、日本の労働環境では長時間労働が一般的です。タスクが山積みで毎日が慌ただしく、勉強に割ける時間が確保できない社会人が多いのが現状です。働き方改革ってなに?定時を過ぎても業務が終わらず、結果的に自分の時間を持つことが難しくなってしまいます。

家族やプライベートな時間の優先

 家庭やプライベートな時間も、社会人が勉強をしない理由の一つです。仕事が終わった後は家族との団らんや友人との交流、自分自身の趣味やリフレッシュのための時間を優先する傾向があります。特に家庭を持つ社会人にとっては、育児、家族サービスや家庭内の雑事が待ち受けており、勉強に時間を費やすことが難しい状況です。

学ぶモチベーションの低下

 学ぶことへのモチベーションが低下していることも、日本人の社会人が勉強しない要因です。日本の雇用システムでは、終身雇用や年功序列が依然として根強く残っており、積極的にスキルを身につけなくても安定した職を保てるという安心感があります。そのため、自ら進んで学ぼうとする意欲が低くなり、結果的に勉強時間が少なくなってしまうのです。ただしこの考えは業界にもよるでしょうか50代前半ぐらいまでの方であればかなりリスキーな考え方です。

学習は若者がするもの

 社会人が学習から遠ざかっている理由の一つに、「学びは若い者がするもの」という誤解があります。多くの場合、この考え方は年齢に関係なく学ぶべきであるという現代の教育観と矛盾します。実際には、年齢を重ねた社会人ほど、経験を活かして新しい知識をより深く理解することが可能です。

どのように学習すれば良いかわからない

 学習を遠ざける要因として、私が思う特に注目すべき点の一つに、「卒業後に長く学習していないため、どのように学習すれば良いかわからない」という問題があります。学生時代以来、真剣に勉強していない多くの社会人は、自己主導での学習方法や時間の管理が難しいと感じています。これは、システムで自動的に進行する学校教育から、自分で内容やペースを決める自習へと変わるため、新たな学習方法に適応ができないためです。

どうするか?

社会人が勉強するメリット

どうしたらよいかの前に。今はVUCA(ブーカ)時代と言われています。VICAとは以下4つの単語の頭文字をとった造語です。一言でいうと「先行きが不透明で、将来の予測するのが難しい」
そんな世の中にどう対応するかがほぼメリットになります。

V(Volatility:変動性)
U(Uncertainty:不確実性)
C(Complexity:複雑性)
A(Ambiguity:曖昧性)

  1. キャリアの向上 常に変化する社会や職業環境の中で競争力を維持するには、新しいスキルの習得やスキルの高度化が必須です。学習を通じて資格や最新の業界知識や技術を身につけることで、昇進やキャリアチェンジの機会が広がります。

  2. 自己成長 学び続けることで自己の潜在能力を引き出し、自己実現につながります。新しい知識を学ぶことは、物事を多面的に問題解決能力や批判的思考力を養うのに役立ち、仕事だけでなく私生活においても豊かな人生を送る基盤となります。

  3. 社会的ネットワークの拡大 セミナーやワークショップ、オンラインの集まり、学校などに参加することで、同じ興味を持つ人々と出会い、新たな人脈を築くことができます。これらの繋がりは、情報共有やキャリア機会につながる可能性があります。

社会人が勉強を続けるための対策

  1. 時間管理の工夫 忙しい日々の中で学習時間を見つけるには、効率的な時間管理が必要です。例えば、通勤時間を活用する、昼休みに短時間の学習をするなど、日常生活の隙間時間を利用することが有効です。
    私の場合はテレビを見るのを減らしました。今では朝晩のニュースとシーズンで3アニメぐらいです。

  2. 学習の目標設定 目標を具体的に設定し、それを達成するための計画を立てます。小さな目標から始めて徐々に大きな目標に挑戦することで、モチベーションを保ちながら継続的に学習を進めることができます。
    まずは本を読むことから始めるのもありです。習慣をつけることが大事です。
    キャリアプランの設定というと難しそうに感じますが、自分がどんな将来を目指すかを設定してそのためになにが必要かを考えることが大事です。

  3. 学習リソースの活用 リアル本、オンラインのコース、ワークショップ、メンターシップ、スマホアプリなど、多様な学習リソースを活用しましょう。特に、自分の学習スタイルやニーズに合った方法を見つけることが重要です。

  4. サポートの導入 家族や友人、同僚に学習計画を共有し、彼らからのサポートや理解を得ることが、学習継続の大きな助けとなります。私は試験日を家族カレンダーに記載していますし、日曜日試験の時は大体金曜日は試験休み(有給休暇)を取得しています。また、ネット上のSNSコミュニティやグループに参加して、仲間と切磋琢磨することも効果的です。合格体験記や学習方法などの情報も収集してください。

余談
私が新入社員の人材育成に関わるようになって、1年目から業務上必要な資格取得を推奨しオリエンテーション、研修にも取り入れました。今回が3年目の取り組みとなりますが、最初の年代(現3年目)としていなかった(4年前以上)では学習意欲に大きく違いがあります。新入社員でも勉強すれば取れる資格を取った最初の年代はその後も別の資格にチャレンジをしていました。その上の世代とは明らかに取得資格者数が違います。鉄は熱いうちに打てとは言ったもので新入社員から当たり前のように受験させたせいか卒業後もある程度は学びを継続しています。3・4年では業務で差が出る段階ではない業界ではありますが、新入社員から資格取得から学びを継続している年代がどうなるか楽しみです。

まとめ

社会人が学習を続けることは、キャリアの成長だけでなく、個人的な充実にも繋がります。仕事の忙しさや家庭の責任を理由に学習から遠ざかることなく、積極的に学び続けることが可能です。何よりも、学び続けることは自分自身の可能性を広げ、変化する世界に適応するための鍵となります。

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