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社会人の学習について分析してみた1(令和3年社会生活基本調査より)
はじめに
社会人にとって、学習はキャリアアップや自己成長に不可欠な要素です。しかし、多くの社会人が学習を始めることすらしませんし、始めることに躊躇しているのも事実。なぜ多くの社会人が勉強から遠ざかっているのでしょうか?よくニュースでも日本の社会人は他国に比べて学習しない、週平均13分が学習時間しかないなど報道されています。
もし一度も目にしたことがないようであれば「フィルターバブル」で入手情報が「バブル(泡)」の中に孤立している可能性があるので情報端末の設定を見直ししましょう。
さて今回は「どんな人が勉強しているのか?」「なぜ社会人は勉強しないのか?」を分析していきます。作っていたら長くなったので後者はpart2にします。
前提条件
分析職業(有業者)
1_農林漁業従事者
2_農林漁業従事者以外の者
201_うち管理的職業従事者
202_うち専門的・技術的職業従事者
203_うち事務従事者
204_うち販売従事者
205_うちサービス職業従事者
206_うち保安職業従事者
207_うち生産工程従事者
208_うち輸送・機械運転従事者
209_うち建設・採掘従事者
210_うち運搬・清掃・包装等従事者
学習・自己啓発・訓練の種類
1_外国語 11_英語 12_英語以外の外国語 2_商業実務・ビジネス関係(総数) 21_パソコンなどの情報処理 22_商業実務・ビジネス関係 3_介護関係 4_家政・家事(料理・裁縫・家庭経営など) 5_人文・社会・自然科学(歴史・経済・数学・生物など) 6_芸術・文化 7_その他
どんな人がどんな学習をしているのか?
分析概要
〇行動者率: 41.9% (過去1年間に学習・自己啓発・訓練を行った人の割合)
〇学習・自己啓発・訓練の種類: 多種多様 (講演会、通信教育、各種学校、資格取得など)
〇男女別行動者率
・男性: 40.7%
・女性: 43.4%
〇職業別行動者率
・農林漁業従事者: 24.8%
・農林漁業従事者以外の者: 42.4%
・管理的職業従事者: 52.7%
・専門的・技術的職業従事者: 60.7%
・事務従事者: 47.3%
・販売従事者: 41.6%
・サービス職業従事者: 41.8%
・保安職業従事者: 36.0%
・生産工程従事者: 27.2%
・輸送・機械運転従事者: 23.1%
・建設・採掘従事者: 27.3%
・運搬・清掃・包装等従事者: 26.0%
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学習の動向
学習行動者率の高い職業:
管理的職業従事者 (52.7%)
専門的・技術的職業従事者 (60.7%)
農林漁業従事者 (24.8%)
学習行動者率の低い職業:
運搬・清掃・包装等従事者 (26.0%)
輸送・機械運転従事者 (23.1%)
建設・採掘従事者 (27.3%)
専門職と管理職の学習熱心さ
専門的・技術的職業従事者や管理的職業従事者は、学習活動に最も積極的です。これらの職群は外国語(特に英語)、商業実務、ビジネススキル、そして専門技術に関連するコースに特に高い参加率を示しています。これは、これらの分野がグローバル化や技術進化の影響を直接受けやすいため、継続的な学習が職務遂行に直接影響しているからでしょう。また学習をする人は管理的職業従事者になりやすいとも言えます。
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生産・運輸従事者の学習参加率の低さ
一方で、生産工程従事者や輸送・機械運転従事者は、全体的に学習参加率が低い傾向にあります。これらの職業は具体的な技能が中心で、日常業務が忙しく学習時間が確保しづらいことが原因かもしれません。また、これらの職業で必要とされる技能が、従来型の学習プログラムを必要としない場合も考えられます。
職業別の学習・自己啓発活動
管理的職業従事者
行動者率: 52.7%
活動の焦点: 外国語、ビジネス関連スキル
分析: 管理職は高い行動者率を示しており、特にビジネススキルの習得に注力しています。上位3種類: パソコンなどの情報処理 (30.7%)、商業実務・ビジネス関係(総数) (40.0%)、英語 (15.9%)
専門的・技術的職業従事者
行動者率: 60.7%
活動の焦点: 専門技術、外国語
分析: 最も学習意欲が高いグループであり、自身の専門性を深めるための技術や知識の習得に力を入れています。また、専門職としてのキャリアアップを目指す動機も大きいです。上位3種類: パソコンなどの情報処理 (30.9%)、英語 (22.1%)、商業実務・ビジネス関係(総数) (36.0%)
事務従事者
行動者率: 47.3%
活動の焦点: 情報処理、事務技術
分析: 事務職の者は中程度の学習活動率を示しており、特に情報処理技術や効率的な事務作業を可能にするスキル向上に注力しています。上位3種類: パソコンなどの情報処理 (24.5%)、商業実務・ビジネス関係(総数) (30.6%)、英語 (15.9%)
販売従事者
行動者率: 41.6%
活動の焦点: 商業実務、顧客サービス
分析: EC化やデジタル化の進展により、オンライン接客やマーケティングに関する知識・スキルを習得するための学習も増えている可能性があります。上位3種類:商業実務・ビジネス関係(総数) (26.5%)、パソコンなどの情報処理 (17.9%)、英語 (11.8%)
サービス職業従事者
行動者率: 41.8%
活動の焦点: 介護、顧客サービス
分析: 人と接する機会が多い職業特性上、対人スキルや特定のサービス技術の向上が求められます。高齢化社会の進展により、介護に関する資格取得のための学習も増えている可能性があります。上位3種類:商業実務・ビジネス関係(総数) (16.1%)、介護関係 (12.8%)、パソコンなどの情報処理 (12.9%)
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性別による学習の違い
男女で見ると、男性は技術的な分野や外国語学習に、女性は介護や家政関連の学習により多く時間を割いています。これは社会的な役割や期待が反映された結果であり、職場や家庭での役割が学びの選択に影響を与えていると考えられます。
性別別
・男性: 40.7% 女性: 43.4%
学習・自己啓発・訓練の種類: 男女差はほとんどない
〇行動者率の高い職業:
・男性: 管理的職業従事者 (51.3%)
・女性: 管理的職業従事者 (61.6%)
〇行動者率の低い職業:
・男性: 運搬・清掃・包装等従事者 (25.4%)
・女性: 輸送・機械運転従事者 (37.6%)
学習の種類別の参加率
外国語(特に英語)学習は、専門的・技術的職業従事者や管理的職業従事者に最も人気があります。これはおそらく、これらの職業が国際的な業務を扱うことが多く、言語スキルがキャリアアップに直接影響するためでしょう。
商業実務やビジネス関連の学習も同様に、管理職や専門職によく見られます。特に、パソコンや情報処理関連のスキル習得が重視されています。
介護関係や家政・家事関連の学習は、サービス職業従事者により高い関心が見られます。特に女性では、家庭関連スキルの向上に注力していることが伺えます。
まとめ
社会人の学習活動に関する最近の動向を分析してみると、職業別で学習への取り組みに大きな差があることが明らかになりました。特に管理的職業や専門的・技術的職業に従事する人々は、自己成長とキャリアアップのために積極的に学んでいます。
個人的にも管理職や専門職として働く中で、技術教育に携わる立場から見ても、技術系社員の学習が事務営業系社員よりも活発であることを感じています。これは企業の教育システムや資格推奨の方針が影響している部分も大きいです。過去には企業が終身雇用を理由(転職させないため)に社員のあえてスキルアップを促さない文化もありましたが、今は変わりつつあることを実感しています。
自身が自らのキャリアを主体的に考え、学びを続ける重要性が高まっています。学びの遅れを取り戻すには遅すぎることはなく、どんな時点からでもスキルアップは可能です。企業としても、個々の社員の成長が企業全体の競争力を高めると認識し、支援体制を整えていくことが求められていると感じます。
パート1のまとめとして、社会人にとって学習は自己成長とキャリアアップのために不可欠です。学びを支援する文化、学びをする文化(ラーニングカルチャー)を根付かせることが、個々のキャリアだけでなく、企業の持続可能な発展にも寄与すると思います。
![](https://assets.st-note.com/img/1717302291845-clXTy0U8nH.png?width=1200)
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