【コラム】パンにお酒は合うのだろうか?
夜にパン、食べますか?
これまでのコラムでは、シェフと一緒にコンビニの商品を使ってパンをアレンジしてみたり、
パンをよりおいしく食べるためにリベイクを極めてみたり。
バカンスnote制作メンバーのパン偏差値が爆上がりする企画をお送りしてきましたが、今月もやります。
7月は「パンはお酒に合うのだろうか?」というソボクな疑問を深堀っていきたいと思います!
さて突然ですが、パンを食べるシチュエーションを想像してみてください。
こんな風になる人も多いのでは。
正直、パンとワインの組み合わせはなんとなくアリかも・・と思ってはいても、それ以外の組み合わせはピンとこなかったりしますよね。
でも夜はやっぱり家でお酒を飲むシチュエーションも多いはず。
せっかくなら、夜もおいしくパンが食べたい〜〜!!
お酒でパンはもっとおいしくなる
パンとお酒のことを教えてくれたのは、弊社ファイブスクエアの田中 良(=良さん)。場所は系列店の日本酒バル・米屋 イナズマです。
社内では社長の右腕として。そして対お客様としては、イナズマでは日本酒を、創業店舗のアイリッシュパブではビールをお客様に提供したり。さらにソムリエ資格も持っていて、豊富な知識と経験でお客様を笑顔にしてくれるアツい人なんです。
そして最初に結論を言ってしまうと、お酒でパンはもっとおいしくなる。さらに、自由に合わせる楽しさが食卓を楽しくしてくれる! というのが、良さんの話を聞いていてわかったこと。ぜひぜひ、パンの可能性の広さを一緒に体感していただけると嬉しいです。
家に置いてあるお酒のストックも減っちゃうかもしれません(笑)
では早速本題に入りましょう。「おしえて! りょうさん〜!」
カギを握るのは、パンの「味の要素」
用意したのは、バカンス両店舗の代表的なパンたち。シンプルなものから惣菜系、甘い系などさまざまです。
クロワッサンの場合
ーたとえば夜にクロワッサンを食べるっていうシチュエーションがあったら、良さんなら何を合わせますか?
良さん「一番わかりやすいのは、樽香(たるこう)があるシャルドネなんかの白ワインがいいんちゃうかなー」
ー樽香・・・!
良さん「熟成や発酵に使用される木樽由来の香りのことを樽香って言って、香ばしさや甘さがクロワッサンのバターやパンの甘みに合うと思う。あとはシャンパンかな。黒ぶどうを使っていると、コクとかバニラっぽいニュアンスも出てくるから、バター系と合わせるとめっちゃいい」
ーたとえばクロワッサンならバターが効いてるから、それに負けないような味わいのお酒を持ってくるのが正解?
良さん「そうそう、正解やし一番わかりやすいと思う。 (お酒とパンの味わいが)近づきやすくなるよね〜」
ーちなみに日本酒も合うんでしょうか?
良さん「日本酒の場合は、ちょっと酸味のあるのがいいかな。「風の森」とかが合いそう。日本酒はワインに比べると淡白だから、パンそのものにある酸味と合わせてみてもいいかも」
まずは惣菜系パンがおすすめ
ーパンの味わいを想像して合わせてみるといいんですね!
良さん「そそ。惣菜系とかの方が合わせやすいかもね。具材とかパン自体の味のイメージに合わせてお酒を選んでみるとうまくいくはず。家でシンプルなパンを食べるときなら、チーズやおかずを添えてみるとより味わいが膨らみやすくなると思う」
ーこの肉まんの餡が入ったベーグルなんかはどうでしょう?
良さん「餡が結構ジューシーやから、同じくジューシーな赤とかがいいんちゃうかな」
ーなるほど。これなら私みたいな素人でも想像しやすいかもです。逆に、ちょっとプロっぽい視点というか、「え、それ合うんや?!」みたいな意外性のある組み合わせも教えて欲しいです!
良さん「せやなぁ〜・・・。それでいうと、あえてふくよかな味わいの日本酒を持ってくるとか。生酛(きもと)造りとか、山廃(やまはい)仕込みって言われるような、いわゆる昔ながらの作りをしているものがおすすめ。常温からぬる燗ぐらいまで温度を上げたりして。ちなみにこの日本酒はチーズがメインのパンにもめっちゃ合うよ」
ーチーズ系とふくよかな味わいの日本酒。覚えときます。
良さん「ぶっちゃけ、パンにチーズが入ることで、合わせる日本酒のレパートリーはかなり増えるんよ。たとえば白カビとかコクのあるタイプはさっき言ったような日本酒でもいけるし、熟成古酒って言われるような甘み・旨みが強いお酒とブルーチーズのしょっぱさを掛け合わせることで〝甘うまじょっぱい〟おいしい味わいになるんよ」
ーおもしろい!でも自分で選べるかなぁ・・・
良さん「できるできる! 剣菱の日本酒さえあれば大丈夫!」
ーそれでいいんですか!?(笑)
良さん「いや、マジで。結論、剣菱さんてホンマにすごいマルチプレーヤー。熟成させた古酒とかのお酒をブレンドして、それぞれランクを作って販売してるんよ。一般的にスーパーで販売されている剣菱さんのお酒もそう。だから〝甘濃い〟〝うま濃い〟ような味によく合う。例えば洋食ならミートソース系やクリーム系、和食なら煮付けみたいな醤油系とかさ。そういう味わいのものと、燗酒にした剣菱はよく合うんよね」
あんこ系のパンには日本酒を
良さん「あとは、あんこと日本酒もおもしろいで。あとは赤ワイン」
ー!?
良さん「赤ワインは、ちょっとジューシーで果実味たっぷりなやつ。ナチュールワインでよくある〝豆っぽい〟風味と小豆が合うんよね。スイートポテトを使ってるパンにもいいと思う!」
チョコレートとウイスキー
ーチョコレートを使ったパンはどうでしょう?
良さん「ウイスキーがええんちゃうかなと。やっぱりこの二つの相性はいいよね」
ーデザート感覚で食べる甘いパンとお酒っていいですね。バカンスの人気商品の「ハニートースト」を温めて、アイスを乗せて、ワイン・・も良さそう。ミルク系のリキュールとか、ちょっと果実っぽい赤ワインとか。
良さん「めっちゃ最高。そうやって遊ぶのが楽しいよね」
ソーセージ系には素直にビール(笑)
ーなんだかちょっとずつわかってきた気がします。ソーセージはビールでしょ(笑)
良さん「そうそう、そんな感覚でOK!(笑) じゃあこれに日本酒を合わせるとしたらどんなんが良さそう?」
ーえーっと・・・結構お肉がジューシーやから、キリっとしたものよりは旨みのある日本酒とか・・? 良さんならどんな日本酒を提案しますか?
良さん「燗にしておいしいものかなぁ。大七とか。あとは、変わったところで天狗舞とか。ちょっとスパイシーだったり、いろんな味のニュアンスがある昔ながらの作りの日本酒がいい感じに寄り添ってくれるんじゃないかなと」
合わせ方のコツはあるけど、直感と楽しさが一番
記事に書いてはいませんが、実際にはもっとマニアックなマリアージュのお話も出てきたりして、勉強になった回でした。
でもなにより、「これ合うんかな?」「いや、どうかな?」「めっちゃおいしいやん!」みたいな食の楽しみが広がったことが一番の収穫。
合わせ方の基本やコツはあるけど、ぜひ直感や楽しさを大切にして、お酒×パンを楽しんでみてください!
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次回は8/1更新予定です。
お客様からの「こんなパンが食べてみたい!」という声を、実際にシェフが形にしてみようと思います!
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