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『ワールドブルー物語』目撃者

この物語はフィクションです

なるほどね。
自分を変えたければ、意思力に頼らずに取り巻く環境を変えろってことね。

キリのいい所で読んでいた本を閉じると、コーヒーを口にした。

環境ねぇ…
そう つぶやくと、辺りを見渡してみる。
そこには いつも通りのワールドブルー株式会社お先します部の平和な世界があった。

始業10分前。
椅子に座ったまま大きく伸びをする。
さぁて、今日も頑張りますか。

「蒼林君、ちょっといいかな」
蒼木部長から声がかかった。
どうやら読書を終えるのを待っていたようだ。
お気遣いありがとうございます 部長。

毎朝、早目に出社してコーヒーを飲みながら本を読むのが日課。
今風に言うと朝活ってやつね。
その時間を大事にしていることを上司である蒼木部長は尊重してくれている。

「おはようございます。何でしょう?」
「蒼森君のことなんだが…」
トーンを下げる。

チラリと振り返ると、蒼森 育根あおもり そだねがデスク周りの掃除を行っていた。

なるほど、部長も気付いていたか。
「と、言いますと?」
敢えてとぼけて訊ねてみる。

「そういう事だ」
俺が承知なのを分かってる。
全てを言わなくても、お互いに表情やトーンだけで会話が成立する。
この些細なやり取りが楽しい。

「了解です」
「それとなくな。あの年代はナイーブだから、な」
「分かってます」

部長に背を向けると、まっすぐ蒼森へと向かった。

「よお!育根そだねくん」
蒼森の首に腕を回して、グイと引き寄せる。
「暗い顔して、彼女と喧嘩でもしたか?」

後ろから部長の「あちゃー」という声が聞こえたが気にしない。
変に気を回した方が話にくくなることもあるんですよ、部長。

「ち、違います。喧嘩なんてしてませんから」
分かってるよ。
休憩の度に楽しそうにLINEしてるもんなぁ。

「じゃあ、どうした?思い詰めた顔しちゃって」
「実は…見ちゃいけないものを見たというか…」
ふーん。
「18歳以上なんだから、観たいの観ればいいじゃない」
「いや、そういうのじゃなくて!…すみません、あの部屋、使えますか?」
蒼森が声をひそめて言った。

思ったよりも深刻…か。
「なんだ。そんなに変な性癖があるのか。ちょっと興味あるな」
「い、いや、だから…」
「いいから行くぞ」
首に腕を回したまま蒼森を連れ出す。
チラリと部長を見ると、小さくうなずいた。

連れ立って部屋に入ると、照明とは別のスイッチを入れた。
スイッチに内蔵されたランプが赤から緑に変わる。

「さあ、コレで誰にも聞かれる心配はないぞ。どうした?」
さて、何が飛び出すか。

「…多分、犯罪の現場を見たんだと思うんです」
「犯罪?」
「ええ。実家のすぐ近くの路地裏で、男が2人向かい合っていて、片方が銃を向けていて…消えたんです」
「消えた?」
そんな話が飛び出すとは…

「消された…殺されたってことか?」
「そうじゃないんです。本当に消えたんです。消えて…代わりに男女ふたりがそこに突然現れたんです」
「おいおい。なんだそれは?」
「本当なんです!…それから、暗がりから女がもう1人出てきて…」
それを信じろって言うのか?

「そいつら何者だ?」
「分かりません…怖くなってすぐに逃げ出したから…」
逃げ出したのは賢明だったな。
かなり危険な匂いがする。

「何か覚えてることはあるか?特徴とか何でもいい」
「…寿司柄のスカート…」
「は?」
「後から出てきた女が寿司柄のスカートを履いてたんです」
俺はからかわれてるのか?
男が消えて、男女が代わりに現れて、寿司柄のスカートだ?

「あと、オールグリーンって聞こえた気が…」
オールグリーン?マイトンか!?
奴なら有り得ない話じゃない。

「今の話を蒼木部長を交えてもう一度頼む。すぐに呼んでくるから!」
部屋を出た直後、ドアが閉まりロックがかかった。
え?
「おい、育根くん?」
おかしい。
外からロックが解除出来ない。
ドアを叩く。
聞こえる訳ないか。

マズイな…

すぐに蒼木部長を連れて戻ったが、ドアにはロックがかかったままだ。

「蒼林、なぜ外からロックが解除出来ないんだ?」
「分かりません。そんなはずないんですが…」

すると、ロックが解除される音と共にドアが開いた。

部長と顔を見合わせて、部屋の中へ入ると、床に倒れている蒼森育根あおもりそだねの姿が目に入った。
「育根!」
意識がない。…息は?…ある。
何があったんだ?

「蒼林、一旦医務室へ連れて行こう」
「はい」


                ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




「そうか、あの装置は完成するのか…。まだ、変に騒がれたくないんだ。悪いが記憶は消させてもらったよ」

真っ暗な部屋で、モニター越しに様子を見ていた男はつぶやき、蒼色のヘッドホンを外した。

神経質に爪を噛むと、ぬるくなったエナジードリンクを胃に流し込んだ。

#ワールドブルー物語




219話目。
どうも、あおです😄
小説家です。
大きく出てみました。


ごめんなさい、言い直します。
気持ちは小説家です。
小心者です(あはは…)

最近はワーブルを考えている時が一番楽しいかもしれない。

さて今回は、
アルロンさんの【ソーシャリー・ヒットマン外伝14「蒼き路地裏にて」】
を目撃してしまった、蒼森育根あおもりそだね蒼林企業秘密あおばやしきぎょうひみつの目線で描いてみました。



そして最後に登場の謎の男は、
マイトンさんの【蒼い月が見ている】
で、初登場している蒼樹あおいつきです。


蒼樹と、メインとなる部屋は、
【『ワールドブルー物語』サークル】
で登場しています。

より楽しむために上記の作品も合わせてお読みください。


前回は消えた男を追った未来の話を書きました。


今回は現代の話です。
こんな交錯の仕方も面白いかなと思います。

あなたもぜひ参加してみてください。
参加費無料です(笑)
好きに話を広げちゃってください。




ところで、『ワールドブルー物語』って何?
って方はコチラを
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今、どんな内容になっているの?って方は
マイトンさん発信のウィークリレター最新版を
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追うのが大変!って方は
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ビジュアルがあると更にイメージしやすい!
アルロンさんの【ビジュアル資料館】
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そして、『ワールドブルー物語』に関連する記事はマガジンにまとめてあります。
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皆さんの参加をお待ちしてます!


物語を書くのが好きな
note初心者の方も歓迎です。


ワールドブルー物語に参加すると、参加者さん同士での「スキ」や「コメント」の交流や物語内での交流も楽しめます。

他の参加者さんも素敵な記事をたくさん投稿しているので、noteを続けるための分かりやすい情報も手に入れやすいと思います。

noteを楽しむきっかけにもなると思いますので、お気軽に参加してみてください。

#ワールドブルー物語


という訳で今回は、

いつもの如く、続きは丸投げ!

ってお話でした。


今日も最後まで読んで頂き、ありがとうございました😊
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