蒼い月が見ている
アタシは河合伊予
このピンクで甘ったるいお店がアタシの仕事場。
店の名は『ラブリーメイドカフェ☆冥土の土産』てゆうねん。
メイドと冥土をかけたはんねんて。ちょっとかわいいよな。
でもアタシ恥ずかしくて絶対お店のこと友達に言えへん。
普段はこう見えてもクールビューティ伊予で通してるから、
こんなフリフリ着て『萌え萌えキュン☆』って星☆飛ばしてるなんて絶対言えへんわ。
なんでアタシがこんなところでバイトしてんねん、って?
聞きたい?
一つはやっぱりお給料かな。
他の飲食店と比べたらたくさんもらえんねん。
あとは面白いお客さん多いからかな。
たいていはちょっと気持ち悪いひとが多いねんけど、
たまにこうゆうお店に慣れてないひとがきたら
思わず「かわいい!」ってなっちゃう。
あの常連でゴールド会員のお兄さんもちょと気になる。
いつも新作メニュー頼んでくれるねんけど、絶対笑わへんねん。
それやのに、『萌え萌えキュン☆』は誰よりも一生懸命やってくれはる。
渋い顔してるけどその顔に「くそ!うまいじゃねえか」って書いてあるのがバレバレなんもかわいい。
最近ちょっと顔見ぃひんけどそろそろ来てくれはるかな?
そうそう、この前すごいドラマみたいなこともあってん!
なんかスーツ着たメガネのおとこの人が突然倒れて、一緒に食べてたはずのおばあちゃんが突然男の人に代わってどっか行ったと思ったら、今度は女のひとが突然出てきてひざまくらしてはんねん。
え、なに言ってるかわからへんて?
まあ聞いて!
そんでな、その女の人が突然泣き始めてあたしもなんかわからんけど泣けてきて。多分あのひと、あの男の人のことほんまにスキなんやなって。
二人見てたら なんかいいなって思ってん。
そしたらカワイイ猫ちゃんが出て消てみんな突然消えてん!!
一体どういうことなんやろ???
あーそんなことよりアタシも恋したいわ。
誰か素敵な男の人、膝枕してあげたい。
今度あのクールなお兄さんに声かけてみよかな。
さすがに店長に怒られるかな?
そう言えば最近あの高校生見ぃひんな。
いつもきれいな青色のヘッドホンして一番奥の席に座って静かに『ベリーキュートプリンセスのラブリーベリーパンケーキ』食べはるねん。
学生でこのお店通う人珍しくて覚えてたけど、勉強忙しくなったんかな。
また来てくれはったらいいんやけど。
あれ、でもどんな顔してはったか思い出せへんわ。なんでやろ???
あっお客さんや!
「おかえりなさいませ!ご主人様!!」
今日も明るい店内には元気なメイド達の声がする。
ここはワールド・ブルー株式会社の地下2階にある小さな部屋。部屋の電気は消えている。
真っ暗な部屋にはたくさんのモニターがあって不気味な光を放っている。
モニターを見れば会社のあらゆる場所にカメラが設置されていることがわかる。
この部屋の存在を知るものはほとんどいない。
何のためにここにあるのかも分からない。
モニターの前には一人の少年が座っていた。
頭にはきれいな蒼色のヘッドホン。
少年の名は蒼樹。
蒼広樹の息子である。
この会社の創業者の息子だ。それなのに彼の存在を気にする者はいない。
まるでもともといなかったかのように。
樹は真っ暗な部屋で右手の親指の爪を噛みながらモニターに見入っている。
アオイツキは表舞台には出てこない。
彼は何を想い何を照らすのだろうか。
最後まで読んでくださりありがとうございます。
最近急速にストーリーが進んできたワールドブルー物語。
こちらにこれまでの関連作品がまとめられています。
ストーリーを追いたい方はこちらの記事の後半を読んでください。
そこから以下の4本で話は急展開しております。
打合せも何もなく続いているのが奇跡にも思います。
今日のお話はこれを受けての箸休めとして書き始めたのですが、
やはり何かちょい足ししたくなってしまいました。
今まで出てこなかった重要人物を出してみました。てへぺろぺろ。
蒼さんも楽しんで書いてます。↓↓↓
あなたも主役です。
ぜひあなたの物語を私たちに聞かせてください。
サポートいただきありがとうございます😊嬉しくて一生懐きます ฅ•ω•ฅニャー