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ごきげんいかが?桃色のお城で優雅にお茶しましょう♪

冥土カフェの場所は、、と。
スマホの地図を見ながら指定された場所に向かう。

なんだ、意外と『御八堂』の近くじゃないか。子供の時にはこんな店はなかったはずだが。

白を基調とした建物にはどでかいピンクのリボンがついている。
看板にはまあるい文字で『ラブリーメイドカフェ☆冥土の土産』とある。

ここだ。
こんなに目立つ外観なのにこれまで気付かなかったとは、ちょっと視野が狭くなりすぎたか。

運命の時までもう時間がない。
焦っているのだ。

早く

早く愛殺文開発の黒幕をなかったことにしなければ。



店に入ろうとした瞬間目の前に現れたのは約束していた男ではなかった。


「やあ、すぬ婆じゃないか」


「マイトン坊ちゃん。ここには弾ちゃんは来ないよ。」


弾ちゃんーーー。

ああ、今日約束していた男の名前か。
コードネーム『ウルフバレット』は聞いていたが名前は知らなかった。


「すぬ婆がこんな昼間に顔を出すってことは緊急事態かな。」


「そうさね。状況が変わった。そんなところさ。
あんたと波ちゃんが好き勝手やるもんだから、会の方もうるさくてね。」



会というのは『はよ開けんかい委員会』のことだ。
またあのじじいどもが騒いでいるのか。
いつものことだが煩わしい。
いっその事あいつらもーーー。



「いけないよ、坊ちゃん。会の上層部もあんたの目的の為にはいつか役立つさ。なんでもかんでもなかったことにしちゃあいけない。


「やっぱりお見通しか♪ いつからか、すぬ婆はお説教ばっかだな。

アハハ。用はすんだかな?

せっかくだからここの名物「ベリーキュートプリンセスのラブリーベリーパンケーキ」を食べていこうと思ってんだけど。

あ、一緒に行く?それはそれでおもしろいよね。」


「まあ待ちなね。
あたしもずっと情報を探ってきたんだ。
年寄りがここまで出張ってきたんだから最後まで話は聞くもんだよ。」


すぬ婆の雰囲気が変わった。
こうなるとこちらもふざけている場合ではないか。


「情報?聞かせてもらおうか」



「なんだい。やっと聞く気になったかい。
じゃあ順を追って話そうか。
立ち話もなんだからやっぱり入るかね」


すぬ婆はニヤリと背後の『冥土』を指さして笑った。




「おかえりなさいませ、ご主人様、お嬢様」


「ご、ご主人さま?お、、お、お嬢さま??」

なんだこのピンクの内装は。
この世は蒼と緑しかないと思っていた。
こんな世界もあったとは。


「今日もあんたたちいい挨拶だね。ほれ、お小遣いだよ」


隣のすぬ婆は動じることなく給仕服の少女たちに飴を配っている。

普通の飴ならよいのだが。。


案内された席に二人で座る。


周りを見渡すと若い女子グループかカップルがほとんど。
一見すると孫とおばあちゃんの我々は明らかに浮いている。
これまでに経験したことのない嫌な汗がジワリと出てくる。


「『ベリーキュートプリンセスのラブリーベリーパンケーキ』一つ。それから『ラブリーフェアリージャニュアリーフェブラリーコンテンポラリーストロベリーゼリー』のクリーム多めを一つ頼むよ。」

慣れた調子ですぬ婆がオーダーする。


「実はあたしはここのゴールド会員なのさ。いろいろと密談するには打ってつけでね」


「そ、そんなことよりさっきの続きをーーー。」


「おまたせしましたぁ~☆『ベリーキュートプリンセスのラブリーベリーパンケーキ』ですぅ~☆」


おいおい、なんてタイミングで入ってくるんだ。
目の前のトレイには、志茂田景樹をスイーツ化したようなパンケーキのようななにかが鎮座している。その上部は、生クリームやらストロベリーソースやらカラフルなチョコスプレイがたっぷりと乗っかっている。
くそっ、美味そうじゃあないか。


さてようやく話の続きを、と思ったら目の前の店員が両手をハート型にして、なにやらつぶやいている。

なに? 美味しくなるおまじない?もういいよ。

ってすぬ婆も手をハート型にしている。

ハートというよりはそれは気功砲だよ、すぬ婆。


こうなったら仕方ない。ええい


「おいしくな~れ! 萌え萌えキュン☆」



「まず弾ちゃんはここには来ない。
仕事はキャンセルされたから坊ちゃんがあの子にこだわる理由はないのさ。」


パンケーキに夢中で反応が遅れた。
理由を聞く前にすぬ婆が続ける。



「実はね、蒼木部長もあんたと同じ未来から来ていたのさ。あたしは知ってたんだけど何も言わず様子を見ていた。
そしたら坊ちゃんと蒼木がこのままだと対立することになりそうだった。
目的は同じなのにね。だからちょいと介入したのさ。」


「ふぉれふぁら?」


「坊ちゃん、パンケーキを飲み込んでからにしな。
見た目と違ってうまいだろ。ここのスウィーツは。」


得意げなすぬ婆はさらに続ける。


「ここからは蒼木らのチームと一緒に動いてもらう。


狙うのは






蒼林


あの爽やかイケメンが黒幕だった。
というか、蒼林という人間が本当にいるのかも怪しいね。


昔怪人20面相って話があってね。あのときあたしはまだ小さくて、近所の公園によく行ったもんさ。紙芝居のおじさんってのが笛吹きながらくるんだ。あとは黄金ケツバットだったか。ーーーーーー」


すぬ婆の昔語りが止まらない。



それにしても黒幕が蒼林だって?!なんてことだ。

灯台もと暗しとはこのことか。



その瞬間猛烈な吐き気が襲ってくる。


オロロロロロロロロロロロロロロロ



まずい。なんだこれは。くそまずい。くそい。いやくさい。
う、わ、まずい。おえっ、おうううーーーえっ、ぐぅ、あっ
まずい!

これはドリアンか!


「どうして、すぬ婆・・・」





目の前のすぬ婆はゆっくりと眉毛のあたりの皮膚をつかみぐいっと前にひっぱった。



目の前に現れた男に驚愕する。

「あ、あ、、、あおばやし!!!!!」



「ほんっとに甘いねぇ、ぼっちゃんは。
これはほんの挨拶だよ。
おれは正々堂々とやり合うのが好きなんだ。
これでフェアに戦えるだろ」


うすれゆく意識の中で自分に駆け寄る姿が見えた。待機させていた波か。。いつも苦労をかける。。。


「な、、、、み、、、、、にげ、、、、、、、ろ。」





最後まで読んでくださりありがとうございます。
誰か助けてください!!ワールドブルー物語、急展開です!!!

前回アルロンさんから明かされた衝撃の事実。

呑気にこの続きを書こうとしていたら、どんどん話が転がってしまいました。

明かされた黒幕!
マイトンと波は無事なのか?
蒼木部長はどこに?
ほんとうのすぬ婆は?
誰がこの世界を守るんだ!?


と一つ目の大きなヤマを作ってしまいましたので、何か搔き立てられた方はどうぞ続きをお願いします。
もちろん、並行世界でゆるりとワールドブルーの日常を綴るのも大歓迎です。

ここまでのお話は以下にまとめました。

ワールドブルー物語ってなんなん?って方はこちらをご覧ください。

世界の蒼広樹が言ってます。

あなたも主役です。

ぜひあなたの物語を私たちに聞かせてください。


#ワールドブルー物語
#蒼広樹
#黒幕が明かされる

サポートいただきありがとうございます😊嬉しくて一生懐きます ฅ•ω•ฅニャー