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小説、SSなど

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思いつきで書いたSS置き場です。
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#DHTLS

サワガニ姫 4

サワガニ姫 4

数日間愛らしい妖精姿のサワガニ姫と暮らした。
だが、その日はやってきた。
「ねえ、私、故郷の川の様子を見てきたいわ」
俺は慌てた。
「川に帰っちまうのか?」
「違うわよ、あなたも来るのよ。蟹になって」
!!俺も蟹に!
「私があなたを蟹に変えるから、故郷の蟹たちに挨拶してちょうだい」
え、それって…
「も、もしかして結納??」

「あなたさえよければ」
はにかむサワガニ姫。

人間、俺は人間だ。

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耳の穴から見える心臓

耳の穴から見える心臓

おかしいぞ、俺、つまりタカヒロは耳掃除してただけなのに。
なんだ?この動悸は?

「この野郎!ここから出しやがれ!」
声がする、タカヒロの胸から。
「俺はこんな狭いとこ嫌なんだよ!出て行くぞ」

タカヒロはあたふたしながら
「誰だお前、俺の体の中にいるな!?」と叫んだ。

すると
「俺はお前の心臓だよ、もうこんなとこで脈打つのはまっぴらだ。今からそのガサゴソしてるとこから出て行くからな!」

ガサ

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逆噴射小説大賞第一作目

逆噴射小説大賞第一作目

山の神さま

木の枝を払いのけ先を見通すと細い川が見えた。俺は山道を迷ったのだ。
なんのことはない山すその神社を通り、登山道を道なりに歩き、いつしか道なき道の石がきを登っていた。そしてここがどこかわからなくなった。

だが川があるなら楽勝だ。俺は近づこうとした。そして、足を膝まで飲み込まれた。
なんだこれは!俺の知ってる山じゃないぞ。
川すそには枯葉の積もったぬかるみだらけだ!

そこここで蛙が鳴

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bug

僕たちはパソコンの中に住んでいるbug。
主人が使ってる時にはパソコンでいたずらして、
夜、寝てしまったら機械から抜け出し窓から外へ出て虫に戻る。

夜露を浴びて鳴き、冷たい水の中で狩りをし、星空を飛び回る。

そして翌朝にはパソコンの中に戻るんだ。

とっても楽しいよ、君もおいでよ。

終わり

ちょこちょこルースター・マン

ちょこちょこルースター・マン

「さあ、まき終わったぞ」
今年も鳥インフルエンザ対策の消毒液撒きだ。

ケリーとミノは自らの足を消毒したあと休憩してミルワームをつまんだ。

「ミノ、ミノ。俺が見染めてた雌鶏がいなくなった。」
ケリーがおろおろしながら話しかけてきた。

「落ち着け、ケリー。そいつは雌鶏だろう。お前と添い遂げるのは無理だ」

無理もない。ケリーは元は雄鶏だ。雌鳥に恋するのも自然なのだが…

鼠達がひしめくなか、ケリ

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それはジェノサイド

それはジェノサイド

ここは忍殺世界。
現世から来るのは私には造作もない。

いきなり現れたのは鎖付きバズソーの男。
ジェノサイド。
だが今目にした彼は所々が人間に戻っている。

アイサツはせず、こっそり後をつけることにした。
彼は薄暗がりの隠れ家でニンジャの肉をくっていた。誰の肉だろう。

「こそこそ覗き見する奴ぁ誰だ?」

ドーモ!別世界のモータルです!

私はアイサツもそこそこに聞いた。
「なぜ人間にもどりかかっ

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ルースター・マン 完結

ルースター・マン 完結

ヘッドレス・マイクは簡単に言うと火炎放射器だ。そんなに物騒な武器じゃないんだが焼かれることが多い鶏には恐怖なんだ。

その時だ!ご丁寧にアジトの玄関からエラを大きく張ったアナバス・フィッシュ・マンが5人なだれ込んできた!

「おお!ついにきなすったか!」

ケリーが食いつこうと突進するアナバス・フィッシュ・マンを横跳びに退けると後ろから蹴って背びれを切り裂いた!
惜しい!身には届いていない!

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ルースター・マン 8

ルースター・マン 8

「俺たちの必殺技を借りたいんだって?」
逆鱗丸は俺の目を覗き込んで言った。

「そうだ。しかも数が多けりゃ多いほどいい」
「ふむ、しかしあの技だけでは決着はつかんだろうな」
「それはわかっている。だから最終兵器を出す。」
その最終兵器とはヘッドレス・マイク。

禁断の奥の手だ。

逆鱗丸が目を丸くする。
ヘッドレス・マイクを出すのか!!

ああ、ケリーとも話し合った。
完全にケリをつけるにはヘッド

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ルースター・マン 7

ルースター・マン 7

ケリーはひとりごちる。ミジタ・ケイディコム・ケージマンは昔は普通の養鶏家だった。
ある時悪い仲間があいつを誘ったんだ、闘鶏賭博に。
それからだ、ルースター・マンが世に現れ、イカれたミジタが鶏たちへ魔の手を伸ばしていった。

ケリーは昔のミジタに可愛がられて育った。その愛情が歪み、ミノと逃げ出した時に糸が切れたんだ。

そして俺はミノと共にルースター・マンとなった。

あの鶏舎を知っているからこそ、

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ルースター・マン 6

ルースター・マン 6

「やい!ミジタ!あの貴重な卵を返して欲しければ闘鶏の軍鶏たちをお前が管理してるやつみんな解放しろ!さもなきゃ長尾鶏の卵はこっちで預かるぜ!どうせ生まれてもろくでもないことしやがるんだろ?
じゃ、わかったな! ミノ&ケリー」

軍鶏を解放しろだと?!ふざけたことを。興奮剤を開発するのにどれほどかかった?!去年元が取れてやっと稼ぎどきだぞ!

ミジタは言った。
「トサ・ドッグ・マンとアナバス・フィッシ

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ルースター・マン 5

ルースター・マン 5

ここはミジタ邸。
さまざまな卵、目も眩むような美しい羽根、見たこともない突然変異種の鶏が所狭しと飾られている。

「主人、こんなものがブラック・ミノルカから」
使用人のレター・オープン・マンが告げる。

「なに?ミノルカからか!?」中身をあらためるミジタ。そして…
「あの貴重な卵が盗まれたと!?なぜ私に伝えないのだ!」
「現場を目撃したコレクター・マンがスネーク・マンに呑まれました」
「それにして

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ルースター・マン 4

ルースター・マン 4

この長尾鶏の卵をネタにミジタの野郎を追い詰めるのさ。闇闘鶏をやめないとこいつを孵化させてこっちで育てるってな!

現ナマツリーの金も使い道は決まってる。
もっともっと生やしてできる限りの養鶏場を買収するんだ。

そして俺は変種ルースター・マンのトサ・ロングテール・マンに連絡を取った。
アイツらは優雅にみえるがそんじょそこらの軍鶏じゃ敵わないほどの奴らなのさ。

続く

ルースター・マン 3

ルースター・マン 3

俺たちは現ナマツリーの種を持ってアジトに来た。

アジトの場所は言えねぇ。人間は信用できねぇ。
種を螺旋状に巻いたつるに括り付けると電源を入れた。
すると見事に現ナマツリーに札束がいくつも実った。
「やったな、ケリー。種子が古くてちと不安だったが」
「ああ、まずは成功だ。このカネでどうする?」

ミジタには命にも変えていい宝物がある。
世界最高の長尾鶏の卵だ。腐りもせず割れもせず、そいつはミジタの

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