#DHTLS
耳の穴から見える心臓
おかしいぞ、俺、つまりタカヒロは耳掃除してただけなのに。
なんだ?この動悸は?
「この野郎!ここから出しやがれ!」
声がする、タカヒロの胸から。
「俺はこんな狭いとこ嫌なんだよ!出て行くぞ」
タカヒロはあたふたしながら
「誰だお前、俺の体の中にいるな!?」と叫んだ。
すると
「俺はお前の心臓だよ、もうこんなとこで脈打つのはまっぴらだ。今からそのガサゴソしてるとこから出て行くからな!」
ガサ
逆噴射小説大賞第一作目
山の神さま
木の枝を払いのけ先を見通すと細い川が見えた。俺は山道を迷ったのだ。
なんのことはない山すその神社を通り、登山道を道なりに歩き、いつしか道なき道の石がきを登っていた。そしてここがどこかわからなくなった。
だが川があるなら楽勝だ。俺は近づこうとした。そして、足を膝まで飲み込まれた。
なんだこれは!俺の知ってる山じゃないぞ。
川すそには枯葉の積もったぬかるみだらけだ!
そこここで蛙が鳴