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「甘噛みするだけのロボット」は社員の妄想から生まれた|甘噛みハムハム開発チーム座談会

こんにちは。ユカイ工学 PRの青井です。

2022年3月8日、ついにクラウドファンディングがスタートした「甘噛みハムハム」。開始3分で目標金額を達成し、現在では1,000人を超える方からご支援をいただくことができました。たくさんの応援本当にありがとうございます。

さて今回は、甘噛みハムハムの誕生を楽しみにお待ちいただいているみなさんに、クラウドファンディング開始前に行った社内座談会の様子をお届けします。

甘噛みハムハムはどのようにして生まれたのか? 開発メンバーとともに振り返ります。

プロフィール

※ 写真のぬいぐるみは製品とは異なります。

小畑 承経(Obata Yoshinobu) - ハードエンジニア
逆求人サイトでQooboを見て興味を持ち、修士課程卒業後に入社。主に受託開発を担当。エンジニアとしては、筐体設計・ファームウェアの開発が主な担当。2021年に大学院の博士課程に進学し、人体模倣ロボットの研究に従事。

山本 奈都美( Yamamoto Natsumi ) - エンジニア
かわいい・遊べるロボットが作りたい一心で2019年4月にユカイ工学に入社。Petit Qooboの生みの親。エンジニアとしては主にインタラクションデザイン・ソフトウェア開発を担当。ハードウェア開発や環境整備も好き。

冨永 翼( Tominaga Tsubasa ) - CMO

最終面接で「3分落語」を披露し株式会社タカラトミーに入社。営業を経て、新規企画を行う部署へ。数多くの商品を世に出す。2016年にユカイ工学へ。国内海外のプロダクト事業を担当。猫舌の妻・息子2人と暮らす。

鷺坂 隆志( Sagisaka Takashi ) - CTO
2007年12月東京大学大学院在学中に、CEO青木と共にユカイ工学を創業。以来、主に自社のコミュニケーションロボットのハードウェア開発をリード。エンジニアとしての主な仕事は、部品選定、回路設計、ファームウェア開発など。

原田 詩織( Harada Shiori ) - デザイナー
Qooboファンミーティングをきっかけに、ユカイ工学に入社。ユカイnote大臣。PRにまつわるプロジェクトを中心にデザインを担当。甘噛みハムハムプロジェクトではロゴやWEBサイトなどデザインを手掛ける。

羽田 一洋( Hada Kazuhiro ) - エンジニア
2019年3月まで電子機器メーカー量産工場に勤務。モノづくりが好きでとことん仕事がしたい思いで就活し、2019年4月にユカイ工学へ入社。自社製品の量産から受託開発など幅広く担当している。

開発チーム座談会

----- 「甘噛みハムハム」のアイディアはどこから?

原田 最初は2020年のメイカソンでの冨永さんのアイディアですよね。私は入社して初めてのメイカソンだったのでよく覚えてます。

メイカソンとは?
毎年ユカイ工学が社内で開催しているものづくりイベント。社員全員が参加し、5~6名ずつのチームに分かれて約2~3ヶ月程度ものづくりに取り組む。アイディア出しから、デモンストレーションができる試作、プレゼンまでを行う。Qooboもメイカソンで生まれたプロダクト。

 冨永 メイカソンのチームが決まった後、アイディアを持ち寄る会があって、その時に出したんですよね。最初はあまりウケがよくなくて苦悩の期間がありました。でも、やっぱりいいよなと思って、2回目のアイディア会でも出して、強引に進めました(笑) 

ハムハムする仕組みって意外と手軽に作れるんじゃないかと小畑くんにお願いしたら、小畑くんがすぐに「こうやったらできますよ」と言ってくれて。頼もしかった。


----- 最初のデモ機はどんなふうに生まれたのでしょう?

小畑 最初はぬいぐるみの想定じゃなかったんです。ぷにぷにするものが作れたら面白いかなあと思っていて。
ハムハムする仕組みは1週間くらいで作って、外見はモデリングで試作したんですが、外見を作るのは難しいねという結論になりました。

そのあと、既製品のぬいぐるみと組み合わせてみることにしました。ぬいぐるみにメカを入れてハムハムさせてみたら「いいじゃん」と。結果的に、最初のデモ機は今とあまり変わらない形になりましたね。

冨永 でも、製品化にあたってぬいぐるみをどうするか悩むだろうなと思いました。リアルな動物にしすぎても気持ち悪いかもしれないし、アホっぽいのも違和感があるし……
そんな時に、ぬいぐるみを数多く手掛けるりぶはあとさんと出会って、「ねむねむアニマルズ®」のミケネコのゆずとシバイヌのコタロウを知ったんです。

ゆず・コタロウ

原田 りぶはあとさんのぬいぐるみはどの子も可愛いのですが、甘噛みハムハムにはこの2匹がぴったりでしたね。

冨永 ゆずはよく映えるんです。女優さんの隣にいても負けないと思ってます。

羽田 コタロウは優等生な可愛さを感じます。この2匹のバランスがいいですよね。


----- 社内メンバーにプレゼンしてみて、いかがでしたか?

冨永 メイカソンの発表当日、プレゼンをしたらハムハムを体験したい人が列を作ってくれて嬉しかったなあ。勝った!と思いました。

メイカソンの甘噛みハムハム発案チームのプレゼンの様子

山本 プレゼンの衝撃が凄かった。「甘噛みをされたい葛藤から、全人類を解放する」とか。体験したい!ってなりましたよ。

冨永 言っちゃったよね(笑)

鷺坂 あのプレゼンを見た時には「またおもろいこと言ってるな〜」としか思わなかったけど、ああいう表現こそ、広く伝えるのには役立ったと思います。

冨永 「甘噛みハムハム」という名前も、すんなり決まってよかったです。

原田 最初から「冨永節」が効いてましたよね。甘噛みハムハムは見た目とは裏腹に、ユカイらしい良い意味で狂ってる部分がにじみ出ている。

私はQooboが好きで入社したのですが、甘噛みハムハムもそれに近い「狂愛」みたいなものがにじみ出ていて、世の中の人も「またヤバイものが出てきた……」と感じてくれているんじゃないかなと思います。


----- これまでにどんなトライアンドエラーがありましたか?

原田 たとえばサイズでしょうか。少し大きいサイズと小さいサイズの2つで迷いましたが、小さい方を選んで良かったなと。社内の他のメンバーにも試してもらいフィードバックをもらっていました。

色んな人にファンになってもらえたおかげで、トライアンドエラーを繰り返せたと思います。社内にもファンがいるのって強いですよね。ファンの熱量がよりクオリティを上げてくれるんです。


----- 甘噛みのしぐさ(ハムゴリズム)は、どう決まっていったのでしょう?

小畑 最初に、自分が6つくらい考えたんです。怒り、悲しみ、あくび、楽しみ。そのあと山本さんにパスしたら、20~30くらい出てきて、驚きました。

山本 2021年の夏ごろだったかな。私はメイカソンのチームメンバーではありませんでしたが、「ハムハムの動きって誰かやるんですか?」と鷺坂さんに聞いたら「小畑さんが頑張っている」と。ハムハムにさせたい動きがあって、やらせてもらうことになりました。

小畑 「もうお前を離さないハム」とかしぐさを細分化してきて、「そうくるか!」と。

山本  当時のアイディアだけでも40くらいありましたね。実装しきれなかったものもありますが。

冨永 甘噛みについてこんなに考えてる人いないだろうと思います。一つひとつの甘噛みしぐさに名前付ける人もいない(笑)

原田 山本さんはPetit Qooboのふるまい作りも担当されていて、その時も思ったんですけど、愛情が深いなあと。さすがだなと思いました。


----- いよいよクラウドファンディングスタートですが、皆さんどうですか?

冨永 「社内を動かすには熱意を持ってやれ」がメイカソンの意義でもあると思うのですが、本当に「ここまで熱意がないとダメなんだな」と感じました。甘噛みハムハムの他にもメイカソンでは面白い作品が出てきます、製品化するためには発案者が自ら周囲を巻き込んで動かなきゃいけない。
クラウドファンディング、どのくらい支援が集まるだろう……楽しみです。

原田 欲しいと言ってくださる方が多くてうれしいです。もっと賛否が分かれるんじゃないかとドキドキしていたのでほっとしています。

冨永 プレス発表直後の「CES 2022」で反響がよく、そのあとテレビやWebメディアなどで紹介してもらったのを見て、もしかしたら、もしかするのかな……と思っています。不安をちょっとずつ乗り越えています。

原田 ものづくりって、ものを売らなきゃいけないからハードルが高いですよね。でも、ユカイのクラウドファンディング史上一番を取りたいです。

山本 そういえば、クラウドファンディングのリターンの中で特にサコッシュとおしゃぶり付きの「お世話セット」を気に入ってるんです。おしゃぶりのアイディアを出した時、チームメンバーからいい反応をもらえて嬉しかったので、すぐに試作しました。

コタロウがくわえているのが試作品のおしゃぶり

原田 そのスピード感、ユカイの強みですよね。それに「いち早くお届けする」だけじゃない、クラウドファンディングならではの楽しみがあると思いました。


----- ユーザーさんには、どんな時に甘噛みハムハムを使ってほしいですか?

冨永 動物を育てたことや、子育ての経験がある方には、特に共感いただけると思います。
それに、一回噛まれるとどんどん好きになることがわかる。座りながら、TV見ながら……気持ちいいと思います。

羽田 男性でも違和感ないですよね。

山本 男性の知り合いに見せたら「中毒性があるね」「もう少しやっていいですか?」と繰り返してました。

鷺坂 仕事しながらも使えると思っています。Web会議に参加しながら、手はハムハム。会議しながら癒やされるのもアリですね。

原田 デスクに置けるサイズだから、作業中「ああ〜だめだ〜」と思ったらハムハムできるんですよね。「在宅ハムハム」とか「オフィスセット」みたいなのもいいかもしれない。

山本 ハムハムチャージできます!

羽田 お出かけの時にもいいかもしれません。運転中、眠くなったときとか。

山本 小さいと外に連れ出せるのがいいですよね。公園にも抱いていける。

原田 ハムハムに慣れると、だんだん手が寂しくなってくるんですよね。クセになる魅力がこの子たちにはある。だからこそ、多くの方に甘噛みハムハムを体験してもらいたいです。

----- 甘噛みハムハム開発チームのみなさん、ありがとうございました!


編集後記:妄想することを楽しみ、形にする

初めて甘噛みハムハムのプレゼンを聞いたとき、正直「また冨永さんが奇妙なものを〜」と思いました。不安になりながらも実際に噛まれてみると、思わず笑顔になっちゃったんですよね。今ではもう無意識に甘噛みハムハムの口元に指をいれています。

甘噛みハムハム誕生のきっかけである「メイカソン」には私も毎年参加し、「こんなロボットがいたらいいな」という妄想をチームで形にしてプレゼンしています。ユカイ工学のみんなって、妄想を楽しそうに話すんです。そしてすぐ作ってみちゃう。

そんな環境にいると妄想でも応援されて当たり前に感じてしまっていたのですが、「それが何に役立つの?」「人を助けてくれるの?」「必要なの?」という意見が出る方が自然なのかもと思いました。先日行ったアイディアワークショップでも「役に立たないけど、自分が欲しいもの」が多く出ていましたが、「それ面白いね」「こうしたら作れそう」と盛り上がっていました。

現実から離れたクレイジーな妄想でも、ユカイ工学ではポジティブな反応やすぐ行動に移す反応が返ってくるんです。むしろ、クレイジーであればあるほどかもしれない。そんなところがユカイ工学の魅力なのかもと改めて感じました。

もうすぐ、今年度のメイカソンがはじまります。一体どんな妄想が生まれ、そしてどんな姿になって動き出すのでしょうか。職種に限らず、誰もが企画者になれるメイカソン。楽しみでしかたがないです。



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