当事者の言葉①
数日前、通所リハビリを利用中の、小脳梗塞という疾患の利用者さんから、「私は小脳っていうところの脳梗塞ということは入院してた時に聞きました。だけど、今まで病気の名前しか説明されたことないの。」という話の流れとなりました。
このような会話は、今の職場でも前職場でもずっと聞きます。
病気になってすぐの時(急性期リハビリ)は、生命を維持することで精一杯の時期である為、あまり自身の病気についてゆっくり説明を受けることは少なく、また、仮に説明を受けていても、ご本人の頭の中は全然整理されていない為、イマイチ実感が湧かない、という人は多いです。
そして、数ヶ月リハビリを頑張って(回復期リハビリ)行い、無事に自宅退院します。そして、まだまだ生活で困ることがある為、介護保険・医療保険・地域での体操教室等を活用しながら、何らかの形でリハビリを継続します(生活期リハビリ)。
まさにこの生活期となり、ご本人がイメージしやすい実生活に戻った、まさにこのタイミングで、ご本人が考える理想(病気が完治)と現実(何らかの後遺症)とのギャップが生じてきます。しかも、この【現実】については、今まで携わった医療職の方々は意外としっかり伝えられていない(=伝えていたとしてもご本人には伝わっていない)ケースも少なくない気がします。
今、自分はそういう時期(生活期リハビリ)の方々と一緒にリハビリをし始めて、数ヶ月が経っています。
通所リハビリに通われている利用者さんには、発症後3〜4ヶ月の人もいれば、10年以上経過している人もいます。
皆さん、とても穏やかな顔をしていますが、【元気だった頃の当時の自分】と比較しながら日々戦っている気がします。
そんな中で多くの利用者さんがご自身の病気について、今まで詳しく説明を受けていない(=理解しやすいように伝えられていない)ことは、あってはいけないことのように感じます。
今後のご自身の生活を現実的に考えていく上で、【病気を知ること】は必要不可欠な要素だと思います。
自分は上記のことがリハビリを提供するうえで当然ではありながら大事な要素だとい思うので、医学書→一般書→更に専門用語を徹底的に省いて、相手に伝える作業を、今練習中です。
日々の利用者さんとのやり取りは、このnoteにも少しずつ載せていきたいと思います。
やっぱり相手の理解が深まると質問が増えてきます。そして、理解が深まることで、質問もどんどん具体的な内容になっていきます。その結果、利用者さんの主体性が上がっていき、こちらから日々の生活や心身の状態について尋ねなくても、どんどん質問をして頂けるようになってきました。
【リハビリをやるのは、セラピストではなく、利用者さんご本人】という感覚は、ことばで説明してもなかなか伝わらなくて、ここ数年悩んでいましたが、伝えなくても感じてもらうことが大事だなと最近思います。
日々、勉強です。
人生の先輩方の色々な考え方に触れられるこの職業(リハビリ:作業療法士)は本当に楽しい仕事です。
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