休憩室読書中座記

海辺の町のそちこちを動画や写真、文章で綴っています。かつて横須賀市上町にあり、現在は船…

休憩室読書中座記

海辺の町のそちこちを動画や写真、文章で綴っています。かつて横須賀市上町にあり、現在は船越の音楽教室内で不定期に読書のできる『休憩室』を開室しています。どなたでも無料で本を読みながら休憩や情報収集ができます。 最新情報はTwitterの@uwaq217にて。

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  • 写真部

    写真や写真のことを主に展開した記事をまとめました。横須賀のまちを歩いたものが多いです。

記事一覧

読書中座記:クロード・レヴィ=ストロース『悲しき熱帯』への誘い

”私は旅や探検家が嫌いだ”という書き出しで第一章が始まる民俗学の本を、今日は紹介していきたいと思います。南米はブラジルのアマゾン奥地へ、民俗学の調査行に出かけた…

フィルム上映会準備note7:繋げてみたいお店と人

今回の上映会では、映画を上映することの他にもう一つ計画があります。それは横須賀と三浦にある面白いお店と人を、映像上映という会を足がかりにして繋げてみたいという計…

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休憩室読書中座記:レイモンド・カーヴァー著『夜になると鮭は・・・・』

シルヴィア・ブラスの『ベル・ジャー』を読み終えたあと、少し朦朧としたような読後感が残っていて次に何を読もうか考えてしまいました。そこで手に取ったのが読みさしにな…

フィルム上映会準備note6: 上映作品『営倉』とはどんな映画なのか?

10月12日に横須賀の上映会で写す映画、ジョナス・メカス『営倉』(英題:The Brig)について今日は少し書いていきます。メカス映画のなかでも異色と位置付けされる理由と、以…

読書中座記:『ベル・ジャー』 ガラスの中のシルヴィア・プラス

一度書いた感想を消して書き直している。どうもひっかかることがある。『ベル・ジャー』は精神を病んだ若い女性の自伝的小説で、この本をすいすいと二日半で読了した自分は…

Jonas Mekas『営倉』 フィルム上映会予約開始のお知らせ

日記映画の印象が強いジョナス・メカスの別の側面を垣間見ることのできる映画『営倉』を24年10月12日に横須賀でフィルム上映します。メカスの主要作品とはことなり、”許可…

考えない日記:写真で振り返る六月の景色と三浦半島

今日は七月の三日です。時々仕事で逗子へ行くのですが、ここ数日がその日でした。逗子へ行くと小ぶりな砂浜と波の穏やかな海がちょうどよく、休憩時間や仕事の前後に海岸を…

考えない日記:【写真部】 木々と1000m

シンボルツリーというものがある。おうちの庭や公園などにその場所を名指す目印として植えられた木。「〇〇さんの門柱の木、素敵ですね」などと言われる木。 しかし、それ…

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フィルム上映会準備note5: 速報『開催日と会場の決定』と、これまでの流れ

第5回 『ジョナス・メカスさんの映画を横須賀でフィルム上映します』 あっというまに時間が過ぎていき前回の投稿から数ヶ月経ちました。今日は速報として上映会場と日取り…

直近の開室日のお知らせ

【開室情報】 *『休憩室』とはどなたでも無料で読書や地域の情報交換ができる”本の読める休憩場所”です。 その他の最新情報についてはTwitterで発信しています。 . . . …

読書中座記:イーユン・リー著『千年の祈り』

最近読み終えた本から一冊紹介します。朝食後に一編ずつ読み進め、あっというま読了してしまいました。どのお話も個性的ながら、そこには一貫して漂う影と、失敗したものや…

休憩室直近開室日のご案内

【開室情報】 *『休憩室』とはどなたでも無料で読書や地域の情報交換ができる”本の読める休憩場所”です。 その他の最新情報についてはTwitterで発信しています。 . . . …

横須賀ブックミュージアム2024で出会った書籍たち

 横須賀市に立地する二つの博物館とともに開催される一箱古本市『横須賀ブックミュージアム』をのぞいてきました。今年出会って連れ帰った本をいくつかここに紹介します。…

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フィルム上映会準備note4:先輩に相談

映画に関する活動を長年されてきた大先輩二人に会いにいきました。  横須賀。地味に東京から距離があり、かといって超田舎へ行くというほど首都や横浜とも離れていない街…

横須賀三浦にまつわる独立系小冊子3選

この半年、横須賀三浦半島にまつわる素晴らしい冊子を手にする機会をえました。どれも個人が制作した小冊子ながらその内容と視点に力を感じるものばかりでした。せっかくな…

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フィルム上映会準備note3:私設の会場案

別案閃く  前回のnoteでは候補にしていた市の施設が、チケットを広く販売する方法での会場利用が難しいと判断されたことを書きました。安価な市の施設を借りることを前提…

読書中座記:クロード・レヴィ=ストロース『悲しき熱帯』への誘い

”私は旅や探検家が嫌いだ”という書き出しで第一章が始まる民俗学の本を、今日は紹介していきたいと思います。南米はブラジルのアマゾン奥地へ、民俗学の調査行に出かけたレヴィ=ストロースが著した『悲しき熱帯』(川田順造 訳 中央公論社)、この本は単に民俗学、人類学の著作と割り切るには随分と不可解な書物です。というのも、著者自身が書くことに羞恥と嫌悪を感じ、彼の地ブラジルを去ってから十五年も経過してると冒頭に記しているのです。 アマゾンの未開の原住民を訪ねた書物でありながら、時に話は

フィルム上映会準備note7:繋げてみたいお店と人

今回の上映会では、映画を上映することの他にもう一つ計画があります。それは横須賀と三浦にある面白いお店と人を、映像上映という会を足がかりにして繋げてみたいという計画です。 その考えもあり、今回は横須賀の飯島商店というオルタナティブスペースで開催することに決めました。ということで、今日はそのあたりのことと、繋げたいお店の紹介を書いていきます。 当日出店して頂くお店の紹介 上映会当日は、会場の入り口部分に小さな販売スペースを設け、古書店二組に出店して頂きます。 ①古本屋 汀線

休憩室読書中座記:レイモンド・カーヴァー著『夜になると鮭は・・・・』

シルヴィア・ブラスの『ベル・ジャー』を読み終えたあと、少し朦朧としたような読後感が残っていて次に何を読もうか考えてしまいました。そこで手に取ったのが読みさしになっていたレイモンド・カーヴァーの『夜になると鮭は・・・・』でした。 カーヴァーの短編や詩は好きで、何冊か読んでいますが、この本の最後には村上春樹さんとの短い対談があります。そこで村上さんはカーヴァーの作品と日本の伝統的な小説のあいだにある共通項として次のように述べます。 まさにカーヴァーらしいこのことを読みたくなった

フィルム上映会準備note6: 上映作品『営倉』とはどんな映画なのか?

10月12日に横須賀の上映会で写す映画、ジョナス・メカス『営倉』(英題:The Brig)について今日は少し書いていきます。メカス映画のなかでも異色と位置付けされる理由と、以降の映像に共通する部分などを紹介できればと思います。*後半はネタバレを含みますので途中で注意報を入れます。 映画『営倉』とは? 『営倉』とは英語でいうところのThe Brigで、アメリカの兵隊矯正施設の名称です。軍人が過ちを犯した際に入れられる、兵隊用の監獄、拘置所のような施設をさします。映画『営倉』

読書中座記:『ベル・ジャー』 ガラスの中のシルヴィア・プラス

一度書いた感想を消して書き直している。どうもひっかかることがある。『ベル・ジャー』は精神を病んだ若い女性の自伝的小説で、この本をすいすいと二日半で読了した自分はある程度心身が健康なのだ。 『ベル・ジャー』 シルヴィア・プラス著 小澤身和子訳 晶文社 過剰な劣等感を抱えた主人公の学生エスター。彼女の瞳の中から、欺瞞に満ちた世界をともに覗き見るように始まる小説『ベル・ジャー』 母子家庭で、敬虔なプロテスタント信者の母親とともに育つこと、狭い視野、いい子を期待されること。女性

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Jonas Mekas『営倉』 フィルム上映会予約開始のお知らせ

日記映画の印象が強いジョナス・メカスの別の側面を垣間見ることのできる映画『営倉』を24年10月12日に横須賀でフィルム上映します。メカスの主要作品とはことなり、”許可なく跨ぐことを禁止された白線のある世界”を撮影した映像です。16mmフィルムプリントで写します。 予約開始日 2024/8/14(水) 昼12時より特設サイトにて予約を開始します。以下リンクより概要をご確認の上、お申し込み下さい。 https://kozatohen.com/thebrig/ 上映会日時:

考えない日記:写真で振り返る六月の景色と三浦半島

今日は七月の三日です。時々仕事で逗子へ行くのですが、ここ数日がその日でした。逗子へ行くと小ぶりな砂浜と波の穏やかな海がちょうどよく、休憩時間や仕事の前後に海岸をふらりと歩きます。 六月の逗子 でもそれも六月までです。七月からは海開き。砂浜には海の家が立ち並び、人も倍増します。日中は暑さも手伝い、リラックスした息抜きの散歩はしばし中断。海辺には注意書きの看板も沢山増えて、秋から春までとは少し異なった姿を見せます。 夏は水温も高くなるので海上の空気は霞みます。遠くに富士山が

考えない日記:【写真部】 木々と1000m

シンボルツリーというものがある。おうちの庭や公園などにその場所を名指す目印として植えられた木。「〇〇さんの門柱の木、素敵ですね」などと言われる木。 しかし、それとは別に個々の印象に刻まれる木々や植物というものも自然の中には存在する。誰かが見せようという意志をもって植えたわけでもないのに、なぜがそこを通るたびに目にとまる、印象に残る木がある。 初夏の生い茂った草が視界を狭めたその先に、半ば朽ちながら一部は立派に新緑を生やしている木が現れた。自分のものではないツタを抱え、隣の木

フィルム上映会準備note5: 速報『開催日と会場の決定』と、これまでの流れ

第5回 『ジョナス・メカスさんの映画を横須賀でフィルム上映します』 あっというまに時間が過ぎていき前回の投稿から数ヶ月経ちました。今日は速報として上映会場と日取りが決まったことをお伝えするとともに、アップできていなかったここまでの流れをまとめて載せたいと思います。 上映する映画はジョナス・メカスさんというNYを拠点に活動された方のフィルム映画です。作品タイトルや内容についてはまた後日正式な開催情報を公開します。 開催日は2024年10月12日土曜日(三連休初日) 上映

直近の開室日のお知らせ

【開室情報】 *『休憩室』とはどなたでも無料で読書や地域の情報交換ができる”本の読める休憩場所”です。 その他の最新情報についてはTwitterで発信しています。 . . . 直近>>2024年7月27日の土曜日に船越にて開室いたします。 【会場】 横須賀市の船越仲通り商店街にある『音楽教室』に休憩室の本を置かせていただきます。会場は京急田浦駅から徒歩2、3分、郵便局の数件先にあるガラス張りの店舗一階にある音楽教室です。 https://goo.gl/maps/6xsnk1

読書中座記:イーユン・リー著『千年の祈り』

最近読み終えた本から一冊紹介します。朝食後に一編ずつ読み進め、あっというま読了してしまいました。どのお話も個性的ながら、そこには一貫して漂う影と、失敗したものや取り残されてしまったものの気配があります。 『千年の祈り』イーユン・リー著 篠森ゆりこ訳 新潮社 著者は北京に生まれ育ち、十七歳の年の六月四日には天安門事件が起こりました。のちにアメリカへ移住し、彼の地で中国のことを書いています。本書『千年の祈り』はアメリカで発表したデビュー作を含めた短編集。性別や年齢にとらわれず

休憩室直近開室日のご案内

【開室情報】 *『休憩室』とはどなたでも無料で読書や地域の情報交換ができる”本の読める休憩場所”です。 その他の最新情報についてはTwitterで発信しています。 . . . 直近>>2024年5月25日の土曜日に船越にて開室いたします。 【会場】 横須賀市の船越仲通り商店街にある『音楽教室』に休憩室の本を置かせていただきます。会場は京急田浦駅から徒歩2、3分、郵便局の数件先にあるガラス張りの店舗一階にある音楽教室です。 https://goo.gl/maps/6xsnk

横須賀ブックミュージアム2024で出会った書籍たち

 横須賀市に立地する二つの博物館とともに開催される一箱古本市『横須賀ブックミュージアム』をのぞいてきました。今年出会って連れ帰った本をいくつかここに紹介します。 『鰰 本体接岸 ハタハタフィーバーの謎を追う』新装増補版 yukariRo編集部  こちらはタイトルにあるとおり魚の「鰰」についての小冊子です。本書は2013-2014年に「取材した私たちでは5分と立っていられないような寒さと強風のなか」(本文より)秋田県男鹿の漁港で水揚げされる鰰にまつわるあれこれを写真と文章で

フィルム上映会準備note4:先輩に相談

映画に関する活動を長年されてきた大先輩二人に会いにいきました。  横須賀。地味に東京から距離があり、かといって超田舎へ行くというほど首都や横浜とも離れていない街。そんな横須賀で数十年に渡り自主上映やフィルム・アーカイブをされてきた大先輩がいるのです。 自主上映とフィルム保存  今ではなかなか想像することが難しいのですが、数十年前の当時は横須賀や小田原、鎌倉、横浜などに映画の自主上映クラブがあり、自分達の見たい映画や紹介したい作品のフィルムを借りてきて定期的に上映会を開く

横須賀三浦にまつわる独立系小冊子3選

この半年、横須賀三浦半島にまつわる素晴らしい冊子を手にする機会をえました。どれも個人が制作した小冊子ながらその内容と視点に力を感じるものばかりでした。せっかくなのでここで三選を紹介します。 まずはこちら。 『ヨソモノ 横須賀ぐらし。』 (発行所 ヨソモノブックス) この本は2024年の3月末に出版された冊子で、移住者を含む外からの目線を主体としています。横須賀の日常の街や人を、インタビューや写真を通してみつめなおす書籍です。 掲載された写真から製作者の意図が十分に伝わりま

フィルム上映会準備note3:私設の会場案

別案閃く  前回のnoteでは候補にしていた市の施設が、チケットを広く販売する方法での会場利用が難しいと判断されたことを書きました。安価な市の施設を借りることを前提に構想を練ってきたので一旦振り出しに戻ります。しかし、歩きながら考えていると別の案が急に浮かびました。 小規模な会場への構想変更  当初考えていたのは市営の小劇場でした。しかし、考えを柔軟にすれば一回の上映で百名規模の観客を収容する会場ではなく、こじんまりとした場所での開催も可能性があることに気が付きました。